Oct 25, 2016

業界内の自浄で健全化を。出演者支援団体と意見交換!

アダルト産業実演家権利擁護団体、一般社団法人表現者ネットワーク(AVAN)代表理事の川奈まり子様とお会いし、出演者への支援・権利擁護の取組や、業界内の自浄の歴史についてのお話を聞き、意見交換をさせて頂きました。

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●労働環境の適正化

 

出演者は一般的に立場が弱く、権利を主張しにくい現状にあるためAVANでは以前問題になった出演強要等、人権侵害、契約上の問題などを防ぐ為に、問題が生じた際に相談できる相談窓口の整備や、共通フォーマットの業務委託基本契約書の作成・普及を目指しています。

メディアでも扱われた過去の事件などを契機に、業界内でも環境の整備、改善は進んできており、今後も進めていきたいという認識を多くの方が持っているとお聞きしました。

 

労働問題は、アダルト産業だけでなく日本社会の抱える課題でもありますが、こうした労働基本契約の明確化、普及の動きがアダルト産業を起点に、話題になり広がっていけば、社会全体にとっても大きな問題提起になるのではないでしょうか?

 

個別の話をすると、例えば政治の世界などにも広がっていってほしいと考えています。

聞いた話ではありますが、長時間労働をしている議員秘書が、自分で長時間労働や残業などなかった事になっている勤務表を作成、提出している事例もあると聞いた事があります。

労働に関わる法律なども審議する政治の世界で、どこまで労働契約が守られているのか?怪しいものです。

他にも労働契約、環境が整備されていない、明確化されていない業態、職務は多くあるのではないでしょうか?社会全体での改善を望んでいます。

 

 

●アダルト産業と表現規制

 

アダルト産業に対し、適切な形でない公権力の規制を許してしまえば、そこを突破口に表現・言論の規制へと繋がっていく恐れもありますが、表現規制だけではなく、出演者、制作従事者の権利、生活上の困難についても、私達は目を向けなければならないと考えています。

なぜ、その必要があるのか?

 

社会全体で個人の権利を擁護し、困難を解消していくという点もあります。

社会から見えにくい現場、支援の手が届きにくい業態の中で起きている問題については早急に改善されるべきでしょう。

 

一方で、私はアダルト産業を契機に、成人向け、また表現・文化・娯楽産業で働いている方々への公権力の規制・管理強化が行われるのではないかと懸念をしています。

 

以前、とある人権団体が児童ポルノ規制の文脈で出した報告書では「児童がポルノ産業により性的に搾取されることを根絶するために、すべての演技者・ 出演者の年齢確認資料の保管」としたうえで「出演者の個人情報(氏名・年齢・住所がわかるIDの保存)を流通・販売・配信 等関連業者に交付し、警察等の照会にいつでも対応できる体制を確立すること」と提言がされていました。

 

現実の児童に対する虐待の成果物でもある児童ポルノを根絶していく事に異論はありませんが、これを行うことで違法ではない作品出演者、製作者の人権、権利を侵害する事にはならないのか?

例えば、これがアダルト含むマンガ、アニメなどの産業にも適用された場合、声優、俳優などの出演者に・・・・管理が製作者まで広がれば、マンガ家、作家、イラストレーターなどの住所、氏名が販売店、流通、配信業者に交付され、警察の照会にいつでも対応できるような管理体制に置かれる事となります。

 

彼らは「自分の個人情報を他者がいつでも見られる環境におかれている恐怖」を想像できないのでしょうか?

権力の介入・管理を安易に許してしまう事は、表現規制という形意外での産業従事者への人権侵害にも繋がります。

 

●スティグマと業界の今後の取組について

 

最後に、出演者の抱えるスティグマと、望みたい今後の取組についてお話します。

 

アダルトビデオの国内での発売タイトルは年約24000本、制作メーカーは国内に230社以上あり、大きな産業となっています。

その中でAV実演家の約9割が女性。現役出演者は約4000名。OG含めると約15万人と言われていますが、出演者以外の制作従事者を含めれば、この比ではないでしょう。

 

 

こうしたアダルト産業で働く方々のセカンドキャリア、セカンドライフは課題となっています。

特に出演者、従事者であることが後ろめたい事、負の刻印(スティグマ)のように扱われている現在の日本社会では難しいであろうことは想像に難くなく、社会の理解が必要です。

アダルト産業については、皆様も好き嫌い、持たれる感想も大きく分かれるとは思います。

ただ、思い返して頂きたいのは、彼らは犯罪行為に加担したわけでも、反社会勢力でもありません。その立ち位置に立ち、一度社会全体で考える必要があるのではないでしょうか?

 

 

業界にも、スティグマを軽減し、社会の理解を得る為にやるべきことはあります。

業界自体が自浄、環境改善を更に行い、その取組のアピール、外部との話し合いを進めていく事が、今後、社会から求められていくでしょう。

社会貢献などを通じて、社会との接点も増やしてい必要もあるでしょう。

それが巡り巡って、出演者を現在、未来に向かって守る事につながっていきます。

 

反社会勢力の介入を防ぎながら、業界は健全化、一般産業化を行なっていく必要があります。

私からも健全化を更に進めると共に、行政・政治との対話の窓口もしっかりと開いて行って欲しいと要望しました。

 

 

 


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社会から注目を浴び始めたばかりの課題であり、まだまだ解決、改善すべき課題も多いと思いますが、私としては業界の事情の取組、そして支援に携わる方々の取組を見守っていきたいと思っています。

 

 

一般社団法人 表現者ネットワーク AVAN様のHP

AVAN

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