Jul 9, 2022

表現の自由を守る候補者意見交換会アンケート結果(参議院議員選挙)

大田区議会議員のおぎの稔です。今回の参議院議員選挙、表現の自由が一つのテーマとして話題になりました。

私の方でも、表現の自由を守るをテーマにして掲げていた候補者たちに対してアンケートの送付、また意見交換会を開催いたしました。

当日の演説会の様子はこちら。是非、ご視聴ください。⇒https://youtu.be/LQgJ49tXHbQ

意見交換会;参加者

☆コメンテーター:坂井崇俊(AFEE代表)

●比例代表

赤松健(自民) ・藤末健三(自民) ・くりした善行(立憲) ・要友紀子(立憲) ・村田しゅんいち(社民) ・たるい良和(国民)

●東京選挙区

荒木ちはる(ファースト)

主催:オタク議員集団(順不同)

===============

アンケート①

●問1:憲法21条の「表現の自由」について、意見があればお願いします。

各候補者のコメント(回答順)

ふじすえ健三(自民、比例) 日本国憲法が保証する人権の大きな柱であり、改正すべきではありません。

松浦大悟(維新、比例)表現の自由は民主主義の根幹である。

くりした善行(立憲、比例) 与党より、参院選改選後に憲法改正を発議することが明言されており、その中で表現、言論の自由が大きく制限されかねない内容となっている。憲法21条については堅持されることを求め議論に臨んでいく。

赤松健(自民、比例) 現在の憲法21条は、何らの留保なく、「一切の表現の自由は、これを保障する。」との力強い規定であり、守りぬく必要があると考えている。自民党改正草案の21条については、表現の自由に対して、「公益」及び「公の秩序」による留保を付するものであり、到底賛同できない。このようなものが、議員になったときに党内から再度発議されそうになったら全身全霊をかけて阻止する。もし成立したら議員を辞める。

たるい良和(国民、比例) 表現の自由はエンターテイメント以前に、民主主義の基本中の基本

村田しゅんいち(社民、比例) 「表現の自由」が保障されていなければ、12条「普段の努力」の充分な行使ができません。人権の要に位置づく権利だと考えます。

にひそうへい(共産、比例) 憲法21条は戦前の日本の反省から定められたものです。大日本帝国憲法は、集会や結社の自由を認めていましたがそれは法律の範囲内のことで実際は新聞紙上レイヤ治安警察法、治安維持法でおよそ自由とは言えないものでした。現行憲法は一切の表現の自由を保障することによって、国民が主権者としての役割を果たし日本の民主主義を前進させることを期待しています。

要友紀子(立憲、比例) 法や多数決で制限することが決してあってはならないのが憲法21条の表現の自由です。 また、特定の表現物や作品、創作が、存続の危機にさらされるような行き過ぎたゾーニングについても慎重であるべきと考えます。なぜならば、憲法21条の表現の自由には、ほかの人権や権利の行使に関してよく付け加えられる「公共の福祉」という言葉が一言も入っていません。つまり、憲法の言う表現の自由というのは、公共の福祉に反しようが、反しまいが、表現の自由が大切ということを謳っているからです。



荒木ちはる(ファーストの会、東京) 
「表現の自由」は国民一人ひとりの自己実現に資すると共に、表現を受け取る国民の知る権利にも資する、極めて重要な基本的人権の一つです。萎縮効果が生じることがないよう、その規制は最大限の配慮をされなければなりません。 例えば、都政においては、他県のようなゲーム規制条例に関し、都議会において東京都から「科学的根拠に基づかない内容で、条例による一律の時間制限などを行うことは考えていない」旨の答弁を得ています。子どもたちには、情報リテラシー(ネット・ゲームとの関わり方等)の学びの支援が極めて重要と考えます。


 

●問2:刑法改正で「侮辱罪」が厳罰化されたことについて、表現の自由の観点から意見があればお願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) 従来の侮辱罪の刑罰が非常に軽く、バランスを欠いていたことは確かです。しかし、虚偽でない事実の指摘によっても侮辱罪が適用され得るという点については、公権力による乱用がないよう注意深く見守る必要があります。

松浦大悟(維新、比例) 一定の評価はするが公人への対処など懸念が残る。維新は対案として表現の自由にも十分配慮したインターネット誹謗中傷対策法案を議員立法で提出している。

くりした善行(立憲、比例) 実質的に科料9000円上限など、侮辱罪の実効性を疑問視することは当初からあった。ネットの誹謗中傷の問題はあり、実効性を高めることは大切。一方で厳罰化されたことによって、警察による逮捕も可能となり、恣意的運用の懸念はました。政治、行政批判については個人に対するものなどとは違い、社会的に許容されるべきレベルが異なる。自分が批判されたことで訴訟をちらつかせる公人などもいるが、そうしたことを後押し濫用を防ぐためにも侮辱の定義についても踏み込んだ議論が行われるべき。

赤松健(自民、比例) 表現は自由に行うことができなくてはならないが、その表現によって他者の権利利益を侵害した場合には責任をとらなくてはならない。 改正前の侮辱罪は、法定刑が拘留又は科料のみであったため、公訴時効が一年だった。ツイッター等の海外のプラットフォームを利用して行われた侮辱行為は、捜査機関が投稿者を特定するのに一年以上かかってしまうことがほとんどで、そもそも被害届や告訴状も受け取ってもらえない、仮に受け取ったとしても、時効期間の経過で起訴できないという問題を抱えていた。 今回の侮辱罪の法定刑の引上げは、社会的評価を毀損された被害者の救済の観点から評価できる。 一方で、表現が萎縮する可能性もあるので、法の適切な運用がされるよう常に注視し、対応しなければならない点については、今回の附則に基づき、3年後に必要な措置を講じたいと考えている。

たるい良和(国民、比例) 侮辱罪の適用の線引きが明確でないので、思い通りの表現することに萎縮してしまいかねない。

村田しゅんいち(社民、比例) ネット上の誹謗中傷・差別・デマに対する法規制は必要。ただし、社会的評価の低下を要件としない侮辱罪については、とりわけ非対称な権力関係の場合に表現規制の装置として使われる可能性があり、2年後の再検討に向けて運用の注視と場合によっては抗議行動をしなければならない。

にひそうへい(共産、比例) 2019年の参院選のとき、安倍首相(当時)の演説中に「安倍辞めろ」「増税反対」などのヤジを飛ばした聴衆が、法的根拠がないまま警察に強制的に排除されました。この事件は今年3月、札幌地裁が表現の自由を侵害したものとして断罪しました(道側は控訴)。侮辱罪の厳罰化は、権力者や政府の政策に対する批判・批評を「侮辱」と認定し、捜査当局が恣意(しい)的な判断で規制・処罰できるようにするものです。明治時代に自由民権運動を圧殺するために導入した讒謗律のようなものはまったく評価にあたいしません。

要友紀子(立憲、比例) 表現の自由、言論の自由の観点から、侮辱罪に限らずですが、定義が非常に難しいものを法律にすることに反対です。また、一般の市民を侮辱することと、権力のある立場の人を侮辱することは意味が違うため、そこを切り分けて考え判断していくのが大事と思いますが、そのへんのことがなおざりになっている以上、厳罰化には反対です。


荒木ちはる(ファーストの会、東京) インターネット・SNS等において、個人に対する過激・悪質な誹謗中傷事例が生じているのは事実であり、その対策の強化は重要と考えます。他方で、政治家や法人への批判や、公益性のあることについては適用の除外や特に慎重になるように気を付けるべきです。表現、言論の自由の観点から過度な萎縮効果を生むことがないよう慎重な法運用が必要です。

 

 

●問3:「表現の不自由展」に関する訴訟について、表現の自由の観点から意見があればお願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) 名古屋市も主体となって開催した芸術祭において、一部の展示の内容を理由に後から公金の支出を停止しようとすることは、表現の自由の阻害につながると考えます。

松浦大悟(維新、比例) 公費を支援する展示会は表現の自由に配慮しながら適切かつ安全が確保できるように運営する必要がある。

くりした善行(立憲、比例) 名古屋市が、展示の内容に踏み込んで補助金の不公布を決めたことは、自治体による検閲にあたり大きな問題がある。イベントが人権を明確に侵害していない以上、地方自治体や国を含む行政が、内容の良し悪しについて踏み込むことはあってはならない。賛否が分かれる内容であっても、発表の機会自体は確保されるべき。 大きな騒動のように伝わっているが、表現の不自由展にかかわるところは予算としては全体の中では小さく、それを全体のことのように取り上げたことにそもそも大きな問題があった。

赤松健(自民、比例) 「表現の自由」や「検閲の禁止」の趣旨から、文化芸術への補助金・負担金は、表現自体が違法ではない限り、表現内容を理由として決定したり・決定を取り消したりすべきではないと考えている。 一般の人が「好き」「嫌い」を言うのは表現の自由として問題ないが、公的機関が場を提供しているはずなので、その中で何が繰り広げられるかは寛容にならないといけない。ただし、例えば展示内容が主催者の企画テーマから外れていたら仕方ないこともありうる。

たるい良和(国民、比例) 公金の援助を受けないのであれば、自由であるべき。

村田しゅんいち(社民、比例) 権力による表現の自由に対する攻撃にNOが突きつけられた適切な判決だと思います。

にひそうへい(共産、比例) 表現の不自由展」には、日本軍「慰安婦」像を象徴する「平和の像」などが展示されましたが、これにたいし名古屋市側は、「日本人の心を踏みにじるもの」(河村たかし市長)などとして、公金支出を拒否しました。当該判決が、「芸術活動は多様な解釈が可能なうえ、ときには斬新な手法を用いるので、鑑賞者に不快感や嫌悪感を生じさせる場合があるのも、ある程度やむを得ない」とのべるとともに、「芸術活動の性質に鑑みれば、不快感や嫌悪感を生じさせるという理由で、ハラスメントなどとして芸術活動を違法だと軽々しく断言できない」として、「表現の自由」の観点から展示を擁護したことは、重要な判例になったと考えます。

要友紀子(立憲、比例) 河村市長は昔、盗聴法に反対していた方と記憶していますが、表現の自由に関しては寛容さを欠き、市長という権力によって「金を出さない」という裁判をしていることには納得がいきません。また、憲法21条の表現の自由には、ほかの人権や権利の行使に関してよく付け加えられる「公共の福祉」という言葉が一言も入っていません。つまり、憲法の言う表現の自由というのは、公共の福祉に反しようが、反しまいが、表現の自由が大切ということを謳っているのです。


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 現在も係争中の事例であり直接的な言及は避けたいと考えますが、表現の自由の重要性からすれば、多種多様な表現活動が幅広く表現の自由によって保障されるべきと考えます。 行政が表現活動への支援を行う場合には、住民の理解が得られるテーマ設定や、特定のものだけでなく、様々な表現を認めることでの公平性の担保、独立性を持った専門的な評価機関の設置など、慎重な配慮が必要と考えます。

●問4:先日成立したAV新法(AV出演被害防止・救済法)について

ふじすえ健三(自民、比例) 現状AVと呼ばれるものの中には、いわゆる適正AVもあるが、その枠外のものもあります。今回の新法は、業界努力を続けている適正AVに対して、その努力成果を正しく評価しているとは言えず、さらなる法的規制をかけるものである一方、適正AV以外のAVに対して効果的な対策であるとは言えないと考えます。

松浦大悟(維新、比例) 引き続き適正業者や当事者に十分な調査をしながら改善を重ねていく必要がある。

くりした善行(立憲、比例) AV新法の施行が決まった後、予定されていた仕事(撮影)がキャンセルされるなどの問題が実際に起こっている。また守るべきとされた撮影対象の方々からも多くの異論が出ている。性被害防止は重要だが、その具体的内容について問題があるのではないかという認識。 そもそも、そこで働く人たちへの意見聴取の機会が乏しい形での法規制は拙速だったのではないかと考える。当事者の意見を聞きながら課題を洗い出したい。

赤松健(自民、比例) AVが表現の自由かどうかというと、AVも間違いなく表現の一つ。 重要なのは、本人の選択肢として、本人の意思でその仕事をやっているかどうか。本人の意思であれば問題ないが、強制されているなら犯罪になる。 人間の判断なので、説得されてなんとなく勢いで出演してしまうということもあるので慎重にならないといけない。 AVがその他の表現と違うのは、性行為映像制作物がずっと残ってしまうという重さがあること。一生抱えることになるかもしれない問題なので、本当に自分の選択肢としてこれで良いのかと問う時間が必要だと思う。 一方で、撮影から公表まで4ヶ月という期間が長すぎるという声も確かにある。仕事としてどんどん作品を作っていきたい人にとっては長すぎるし、制作会社等が潰れてしまうこともあるかもしれない。 最初に述べたように、本人の選択肢の問題ではあるが、だからこそ当事者から丁寧に話を聞かねばならないAV新法の成立にあたっては当時者から話を聞いていなかったようだが、そうであれば非常に問題がある。 私が2020年に静止画DL違法化を止めた時が似たケースで、当時も私がロビイングしなければ当事者の声は政治に届かず、そのまま成立していただろう。

たるい良和(国民、比例) それを生業としている方に打撃、一見まともに見えるが、禁酒法のように結果うまくいかない。

村田しゅんいち(社民、比例) AV業界の実態把握が不十分なことに起因して、新法により仕事に支障が出ている事業者・出演者がいることが問題です。当事者の声をより拾い上げた上での法改正が必要です。

にひそうへい(共産、比例) 日本共産党は、この法律は、現に生じているAV被害の救済と防止のために役立つものと考え、賛成しました。 AVへの出演は、現実に多くの出演者の心身に深刻な被害を与えています。私たちは、性の商品化、性的搾取は、人間の尊厳と価値、男女平等の権利を侵害するものだと考えています。とりわけAV撮影の現場では、実態として対価を払って実際に性交させることが行われてきましたが、個人の尊厳を傷つけるものであり、性交を伴うAV撮影は禁止されるべきだと考えます。今回の新法でも、審議の過程で日本共産党をはじめとする野党が修正を求めてきましたが、その点での不十分さを残しました。今後は、付帯決議にもとづく2年後の見直しに向けて、実際の性交を伴うAVを正面から規制する法改正を求めていきます。 憲法の「表現の自由」は、当然、尊重されなければなりません。同時に、「表現の自由」の名で、憲法が保障する基本的人権を踏みにじることは許されません。また、民法で無効とされる公序良俗違反の契約や、刑法や売春防止法に違反するような行為は、そもそも現在でも違法であり、この新法によっても合法化されないことは当然です。AV出演契約には、売春防止法が禁止する「売春」に当たるものや、労働者派遣法や職業安定法で「有害業務」とされる形態のことも多く、こうした罰則に基づく取り締まりを強化し、違法なAV撮影をなくしていく対策を求めていきます。

要友紀子(立憲、比例) AV新法は基本的な骨組みのところしか考えられておらず、AV業界で働く現場の人々から、具体的な疑問や心配、現場の窮状の訴えが殺到しているのはそのためです。商業ベースのAVだけでなくインディーズの性表現に携わる人々も様々な被害から守るためには、女優やプレイヤーの表現の自由と偏見の問題は避けて通れないはずです。つまり、労働者の意思が尊重されていなければ、保護されない労働環境が蔓延り、労働条件が悪くなります。このような問題意識が共有されなければいけません。


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 女性の貧困対策等も含めた総合的な観点から不当な性暴力・性被害への対策は必要であると考えます。 他方、今回の法整備にあたっては関連業界・当事者等の多様な意見が十分に反映されていないとの声もあり、関連業界・当事者等の意見を丁寧に聴取しながら検討すべきです。被害者の保護とともに、実際の運用、新法で示された契約の形が実態に合っているのかを洗い出し、法律の運用に対して注視していきます。

 

●問5:千葉県警が交通ルール啓発動画に起用したバーチャルユーチューバ―(Vチューバ―)の女性キャラクターについて、全国フェミニスト議員連盟が「性的だ」と問題視しました。その後、千葉県警が交通ルール啓発動画に起用したバーチャルユーチューバ―(Vチューバ―)の女性キャラクターが削除されましたが、表現の自由の観点から思うことがあればお願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) Vチューバー戸定梨香さんは、事務所の社長さんも女性、中で演じる方も女性で、女性による地域密着の起業活動をされていました。戸定梨香さんの容姿や服装も穏当なものであり、千葉県警とのキャンペーンの内容もごく常識的なものでした。 全国フェミニスト議員連盟に対して発表された抗議と公開質問状には7万人を超える賛同者がありましたが、全国フェミニスト議員連盟はそれに対して何ら回答をしていません。 全国フェミニスト議員連盟からの要求には正当性が乏しく、その後の対応は無責任なものであると考えます。

松浦大悟(維新、比例) 
抗議した側も削除した側も過剰反応だったといえる。

くりした善行(立憲、比例) 本件において、フェミニスト議員連盟が抗議を行う以前に同じような抗議は無かったと聴いている。意見発信を行うこと自体に問題はないが、行政に対して一定の影響力を持つ議員が、議員連盟という形をとり直接的に圧力を加えうる手段については問題がある。また、その後も警察、行政に対して質問状を送付した全国フェミニスト議員連盟は当事者からの質問にも、7万人を超える署名にも答えていないことも問題であると考える。何が問題であったのか当事者とも話し合うべきではないか。

赤松健(自民、比例) 千葉県警が交通ルール啓発動画に起用したVチューバ―の女性キャラクターは、法的には全く問題がないものでした。それに対して、公的立場の議員たちの連盟が、一方的な見解を主張して、取り下げを要求したことは、表現の自由の観点から非常に問題がありました。いわゆる萌え絵に対して強いバッシングがありますが、個人の好き・嫌いであればそれはその個々人の自由です。しかし、大阪府の公的広報のガイドラインのように、公的機関が、「不快なもの」「不適切なもの」として萌え絵を排除しようとする動きは、非常に問題があると感じていますので、そういったものは認めることができません。

たるい良和(国民、比例) 自由だが、公の機関に関しては、適切かどうか少し考えろとは思う。 使用したからには、フェミニスト協会の言うことなどいちいち聞くなと思う。

村田しゅんいち(社民、比例) 自転車の安全な乗り方などを伝える動画でヘルメットの着用などを呼びかけています。それにしてはあまり自転車に乗るのに向いている(安全が確保できる)服装ではなく、動画の趣旨に合う服装がよかったかなと思います。公権力が発信する表現なので、気をつけてほしいと考えます。

にひそうへい(共産、比例) 公的機関の広報活動では、ジェンダー平等と女性の人権尊重の立場にたった情報発信を行うことが求められると考えます。また、あらゆる表現活動は、それに対する「批判の自由」を伴います。千葉県警の動画が交通ルール啓発にふさわしいかどうかについて議論が起きることはありうることです。それにたいして、千葉県警が何の説明もなしに動画を削除したことは、「表現の自由」に関する議論を深めるうえで禍根をのこしたと考えます。

要友紀子(立憲、比例) 千葉県に由来するVチューバーの女性キャラクターだったので採用されたとお聞きしています。性的だからという理由でキャラクターを削除するのではなく、この件の場合は、千葉県に由来する性的でない人気のVチューバーやキャラクターも両方採用すれば問題なかったのではないかと思います(これは必ずしも、性的なもの・性的でないものを常に両方用意しなければいけないという意味ではなくケースバイケースです)。


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 過剰反応であり、削除する必要はなかったと考えます。表現・広告等に関して肯定・否定など様々な立場の論者同士が、建設的な対話・議論を行うことができる風土づくりが重要と考えます。お年寄りに人気の俳優の起用は若者からは理解が得られないかもしれませんし、若者に人気のキャラクターの起用は、そうでない方からすれば理解を得られないかもしれません。表現の取り下げ、否定という形ではなく広報のあり方、柔軟さの必要性について考えていきます。

●問6:日本経済新聞朝刊が掲載した漫画『月曜日のたわわ』の全面広告をめぐる論争について、表現の自由の観点からご意見があればお願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) 『月曜日のたわわ』は全年齢向けのコミックであり、新聞の全面広告に掲載されることを問題視することは、特定の価値観によるジャッジが働いていると考えられ、表現の自由を阻害すると考えます。

松浦大悟(維新、比例) 
広告を掲載するかどうかは新聞社の判断で良い。

くりした善行(社民、比例) UN Womenが日経新聞の広告掲載基準の見直しを求めたこと、創作物にアンチステレオタイプアライアンスを当てはめ糾弾したことは問題。さらに国連の機関の名前も使っての抗議運動を行う手法にも疑問が残る。

赤松健(自民、比例) 前提として、私はジェンダー平等の推進ということに関しては大いに賛同している。 一方で、ジェンダー平等の実現に全く寄与しないにもかかわらず、ジェンダー平等にかこつけた表現規制には断固として反対する。 創作表現である「月曜日のたわわ」についての日経新聞の広告が「ステレオタイプの強化」・「性的搾取の奨励」につながるとの主張には全く根拠がなく、これを規制することがジェンダー平等につながるとは考えられない そもそも公的機関であるUN Womenからの広告に対する一方的な抗議及び掲載基準の見直しの要求は、表現の自由の観点から問題があり容認できない。 UN Womenの抗議の根拠である規約については外務省や内閣府を通じて要請しているが、規約は出せないと言われ続けている。抗議はするのに根拠を隠すのはおかしいので、今後も追及していく。

たるい良和(国民、比例) 日経新聞への掲載は日経新聞社の判断で構わないと思う。 気に入らないならその新聞を辞めればいい。

村田しゅんいち(社民、比例) 私人・民間が発信する表現については自治的に運用されるべきと考えるので、当該表現の好き嫌いとは別に、問題があるとは思わない。

にひそうへい(共産、比例) 漫画などの表現活動については、憲法21条の「表現の自由」が保障されるべきです。また、広告についても、国民が消費者として広告を通じてさまざまな情報をうけとることの重要性からみて、誇大広告や公序良俗に反するものなどを除き、一般に「表現の自由」の保護に値すると考えます。同時に、広告を含めメディアの情報発信にあたっては、ジェンダー平等と女性の人権尊重の立場にたつことが求められます。日本新聞協会は、新聞広告倫理綱領の「制定の趣旨」で「言論・表現の自由を守り、広告の信用をたかめるために広告に関する規制は、法規制や行政介入をさけ広告関係者の協力、合意にもとづき自主的に行うことが望ましい」としています。広告の掲載にあたって新聞社は、新聞広告の及ぼす社会的影響を考える必要があります。そのような角度から、自主的な検討や冷静な議論が深められることを期待します。

要友紀子(立憲、比例) 朝刊広告をみる勤め人の中には、男性も女性もおり、また、若年女性のキャラクターの作品を愛好する人にも男性も女性もいます。また、そのキャラクターをどのような文脈で捉えるかも、作品を読んでみないとわからなかったり、萌えの文化もエロとはまた意味が違いますし、すべての読みが「性的消費」という概念に還元されるものでもありません。その基本的な捉え方を押さえて頂いた上で申し上げますと、今回の『月曜日のたわわ』の件については、若年男性キャラクターも並列して広告に載せればよかったのではないかと思います(これは必ずしも、広告では女性キャラクター・男性キャラクターを常に両方用意しなければいけないという意味ではなくケースバイケースです)。


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 千葉県警Vチューバーと同様です。

 


問7:「東方Project」の二次創作“ゆっくり”シリーズから派生した「ゆっくり茶番劇」を、第三者が商標登録をしました。しかし、批判が相次ぎ、第三者は権利を放棄しました。「ゆっくり茶番劇」を、第三者が商標登録をした問題で、表現の自由の観点からご意見があれば、お願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) 「ゆっくり茶番劇」の商標登録が認められたことは適当ではなかった可能性があるが、それに対しての議論が活発に行われ、取り下げに至ったことは評価できる。また議論によって解決できなかった場合にも無効審判という方法もあり、現行法の枠内で対応が可能であると考えます。

松浦大悟(維新、比例) 
商標権の濫用は創作活動を阻害する。問題解消の議論を始めるべきである。

くりした善行(立憲、比例) ゆっくりの商標登録で問題になったのは、特許庁の審査基準が俗人的であり、特にネット分野においては十分に機能していなかったこと。異議申し立てのシステムもあるが時間がかかることも問題。しかしこれらを法整備で解決することは困難。第一に審査官による審査をより正確なものにしていくための環境整備が必要。話題になったことを機に運用、管理などについて見直していくよう働きかけていく。

赤松健(自民、比例) 現行の商標権制度では、二次創作文化へのリスクがどうしても拭えない。二次創作文化の適切かつ正当な保護のためには、法改正等の対応が必要だと考える。 著作権は著作物を創作した時点で何らの手続を要せず著作者に発生し、かつ、二次創作については親告罪であるため、著作権者が二次創作を問題視しない以上は寛容な著作物の利用が可能。私も、同人マークを作って寛容な利用を促進してきた。 しかし、商標権は登録主義であり、自らが現に使用していなくとも、他者が登録していなければ商標を登録することができるので、広く二次創作で利用されている文字商標であっても、悪意の商標出願がされてしまえば、非親告罪であるということもあり、今回の「ゆっくり茶番劇」のように一気に二次創作が萎縮してしまうおそれがある。 商標権制度自体は、ブランド等の保護のために必要な制度であるため、具体的にどうバランスを取っていくのか検討が必要だが、これまで二次創作を守ってきた私自身も全く新たな局面であるため、最善の方法を模索をしていき、二次創作文化を守り育んでいきたいと考えている。

たるい良和(国民、比例) 法的には問題ないが、みんなが使っているものを発案者でもないのに商標登録することが人道的に許せない。

村田しゅんいち(社民、比例) 芸名などと同じように、一定期間以上使用されていることが明らかで名称と対象物(人物・コンテンツを含む)について、第三者が商標登録できないようにする法整備は必要だと考えます。

にひそうへい(共産、比例) 「二次創作」については、ネット上で独自の文化が発展しており、そのような創作物が適正に保護されることは大切だと考えます。「ゆっくり茶番劇」の場合、「東方Project」の作者であるZUNさんや上海アリス幻樂団が「二次創作」を容認しており、多くのユーザーが楽しむ大切な場となっていたのにたいして、第三者が商標登録を出願しそれを特許庁が一旦認めたことは「表現の自由」の観点から見て問題をはらんでいたと考えます。法整備が必要かどうかはよく検討する必要がありますが、当面、審査の的確性の向上のために、特許庁の「情報提供制度」などを広く知らせることが求められます。

要友紀子(立憲、比例) 二次創作というものを広い意味で考えれば、メディアやマスコミをはじめとして、何かを発信、表現する多くの人は、すでに発表されたものをもとに、何かを作り上げ、創作し、発表していると私は考えます。したがって、二次創作を否定的にするのは、多くの矛盾を抱えるものと考えますので、二次創作がのびのびとできる社会でなければおかしいのではないかと思います


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 現在の商標登録制度は、本家よりも先に商標を登録し、本家に対して利用料等の金銭を請求するという不当なビジネスモデルを生み出しています。濫用的な特許・商標等の申請を行う者への対策は重要と考えます。どのような対策が重要か、検討を重ねていきます。

上記以外(*1〜4以外)の論点で、表現の自由に関してのご意見があればお願いします。

ふじすえ健三(自民、比例) 日本の表現の自由は、マンガ・アニメ・ゲームなどの創作文化・産業の礎となっており、世界の他に例のない文化の豊かさ、産業の可能性を持っていると考えます。このような表現の自由を守り続けることで、日本をコンテンツ大国にしていきたいと考えています。

松浦大悟(維新、比例) 
ポリコレやキャンセルカルチャーといった悪き風潮に臆することなく、憲法21条にうたわれた「表現の自由」をしっかり守っていきたい。

くりした善行(立憲、比例) ゲーム依存と表現の自由について。厚生労働省のゲーム依存症対策関係者連絡会議は21年3月で止まっていますが、ゲーム障害の定義されたICD-11の国内施行とともに議論が再燃する可能性は高い。ここ数年間が大切。野党の中から科学的根拠に基づかないゲーム依存症対策を抑えていきます。

赤松健(自民、比例) 国連に対して規制派ばかりが情報提供及び陳情活動をしていた。そのため、国連からの勧告は規制派の人の主張に沿ったものになっている。そこで、当事者である漫画家協会は、その国連に対して意見をする資格を取るつもりだ。 そうすれば、国連の場で正式に、マンガを書いている人として意見をいうことができるようになり、国連からの圧力は弱まると考えている。 こういった、攻める表現の自由の守り方もあると思う。もちろん、国会議員になれば、議員外交としてその力はさらにアップするので皆さん期待してください!

たるい良和(国民、比例) ネットで、なんでも見える時代に、表現の規制をかけること自体、意味がない。特に小説・絵画などの表現は規制せず、漫画、アニメ、ゲームなどを規制の対象とするのはおかしい。

村田しゅんいち(社民、比例) 権利としての表現の自由を歪曲させられないためにも差別を定義する条項を含んだ包括的差別禁止法の制定が必要です。ヘイトスピーチに「表現の自由」の顔を使わせてはなりません。

にひそうへい(共産、比例) 回答なし

要友紀子(立憲、比例) 回答なし


荒木ちはる(ファーストの会、東京) 東京都議会でも、性教育やゲーム規制など、表現の自由を守るための取り組みを進めてきました。自主性、自立性を育むことが重要であると考えております。

 

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