Mar 28, 2018

大田区議会平成30年第一回定例会、閉会。都迷惑防止条例や海外視察について

※写真は昨年の本会議の様子

 

 こんにちは。大田区議会議員のおぎの稔です。昨日、1か月半に及んだ大田区議会平成30年第一回定例会が閉会し、平成30年度の各会計予算も無事に成立をしました。予算特別委員会、審査初日には会派を代表して、予算案への総括質疑本会議、最終日では会派を代表して予算への討論を行いました。

 また、最終日にはセーラム市親善訪問、大連市親善訪問及び区政施作調査を中止するための1882万8千円の予算を減額した予算の組み替え動議が日本共産党大田区議団から、また「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都迷惑防止条例)「改正」案の撤回を求める意見書案も区議会に提出されました。その事についても私の意見を書かせて頂きます。

 

予算特別委員会 総括質疑はこちら➠平成30年大田区議会予算特別委員会総括質疑

 

 

大田区議会平成30年各会計予算に対する討論 概要

—–

 たちあがれ・維新・無印の会はただいま上程されました第1号議案 平成30年度大田区一般会計歳入歳出予算、第2号から第4号に至る各特別会計歳入歳出予算に賛成の立場から討論を行います。

 平成30年度予算案のスローガンは昨年と同じく「暮らしてよし、訪れてよし、地域力溢れる国際都市おおたを実現するために」となりました。今期は未来プランの後期計画の総仕上げの年となり、松原区長の任期中の最後の予算編成であります。予算規模は一般会計で2787億7千万円余、前年度比で169億円、6・5パーセントの増となりました。

 

 今回の予算は施設の建て替えや福祉、子育てなどといった点に注力がされた予算編成であると見る事が出来ますが、今後の少子高齢化社会、また独居世帯や高齢世帯の増加、子育て、勤労、就職、就学といった面での区民のライフスタイルの多様化や国際化の進行に向けて、今後、施策が不足してくる部分もあるかと思います。ライフスタイルなど区民ニーズの変化に対応していけるよう、今後もより一層の努力を要望します。

 

 さて、会派の総括質疑でも触れましたが、扶助費も年々増え続け、介護保険も値上がりが決定しました。国会では公文書の改ざんを始め、またしても政治や行政に対する信頼を毀損するような騒動も起きていきますが、だからこそ情報公開の促進と納税者である区民の皆様にご納得いただける公金仕様の適正化がより一層求められていくと思います。特別会計では、昨年度に比べて介護保険は536億円余となり、昨年度に比べて減少額は101億円余。区民の皆様の負担増が増えていく中で、運用については厳しい目が向けられることは、想像に難くありません。より適切な運用、努力を求めておきます。

 

 一般会計予算の内容に触れていきますが、補助金改革については、批判を恐れずに精査し場合によっては、廃止を行っていく必要があります。根拠の乏しい補助金の支出の継続、補助金がないか、厳しい目でチェックを行っていただきたいと思います。

 

 蒲田、大森周辺の街づくりにつきまして、我が会派の議員からもそれぞれ質問がありました。均一的な、ファスト風土化ではありませんが、どこ行っても同じ光景になるような街づくりを目指すのではなく、いい意味で100年後の大田区民の方がびっくりするような、大田区の特色に遭った蒲田や大森をはじめとした区内の都市開発、街づくりを行っていただければと思います。

 

 

 福祉費では、精神障がい者の社会参加、ケアといった点や自殺対策にも触れさせていただきました。自殺対策が進んだ社会というのは、様々な生きづらさ、暮らしにくさが解消され、悩みや苦しみを打ち明けやすい社会でもあります。会派として予算要望も行わせて頂きましたが、自殺対策、引いては自死遺族支援といった分野の施作前進を望みます。また、今後行われる、大田区独自の自殺対策計画の策定の為に、区の特徴を質問したところ、現役世代と若者世代の自殺が多い事も挙げられました。そうした自殺対策や、性感染症対策など若いうちからの啓発の大切さも取り上げたところ、区からも前向きなご回答を頂いたことを評価いたします。

 是非、進めて頂きたいと思います。

 

 地域の担い手という点で、高齢者支援の面では、今まで、大田区を支えてくれた地域の皆様も、高齢化や担い手不足が目立つようになってきた事は今後、重要な課題になると考えます。意識のある方を発掘し、地域参加を促すと共に、経済という字は「経世済民」という言葉に由来があるという事からも、世の中を治め、民を救う、という点からも経済界、事業所のより一層の地域参加、連携を求めて頂きたいと思います。

 都市基盤整備についての事業執行については、会派として、「公園トイレの洋式化の加速」「公共事業、工事や施設建設などの際の近隣への告知の強化」「健康遊具の適正配置」「公園ルールの親切な掲示」と4点昨日政策要望させていただきました。また、公共施設や矢口西小学校を始め計12校と多くの学校施設の建て替えも予定されています。生徒の授業が適切に行えるよう、配慮を求めておきます。

 蒲蒲線・新空港線についてですが、東急池上線、多摩川線もホームが別になり、また京急蒲田の駅でも地上へと乗り換えが必要になる本計画は本当に区が示すようなメリットがあるのか、区民の方からも疑問の声が寄せられております。多摩川線の各駅には、現状、乗り入れとなる東横線の車両を停めるだけの大きさもありません。実現の目途も不確定かつ、今後の少子高齢化社会の中での新たな鉄道計画がどこまで有効な施作となるのか一度、立ち止まって考える事を提案いたします

 

 今回の予算につきましては、会派としても質疑などを通し様々な点を指摘、要望させて頂きました。一部の不足、また同意できない点があったとしても、責任をもって質疑に参加をしてまいりましたので、その事だけをもって全体の予算に反対をすることは出来ませんので、賛成を致します。今後も議場の皆様と共に、区民の皆様の為に議論を深めていければと思います。

 予算成立後につきましても、適切な執行をお願いするだけでなく、今回の予算でも不足している部分、対応が不十分な部分つきましては、臨機応変に対応をして頂きたいという事を最後に意見申し上げまして、たちあがれ・維新・無印の会の討論を終わります。


●公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都迷惑防止条例)「改正」案の撤回を求める意見書について

 

 昨日の本会議に以下のような意見書が提出されました。

 

 

 

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都迷惑防止条例)「改正」案の撤回を求める意見書(案)

 

 東京とは都迷惑防止条例の「改正」案を都議会第一回定例会に提出しました。22日警察・消防委員会で採決され、3月29日の都議会本会議で成立されようとしています。

 そもそも現行の都迷惑防止条例自体が警察による濫用の危険性があり、都民の権利を過度に侵害する可能性があります。

 さらに「改正案」では捜査機関による市民運動、住民運動、労働運動、取材活動への規制をよりいっそう容易にするものです。「悪意の感情」というあいまいな目的があれば、通常では処罰されない行為が処罰されます。「内心の証明のため」自白を強要される恐れもあります。また、相手が会社や法人でも成立します。しかも被害者の告訴は不要であり、現場の警察の判断で逮捕が可能です。なぜ改正するかの立法事実がありません。

 平和や暮らしを守る活動は憲法28条(労働運動)や憲法21条(言論表現の活動)などで保障されています。「法律の範囲内で条例を制定する」としている憲法94条にも反します。

 市民運動、労働運動、取材活動などを規制する根拠とされる恐れのある都迷惑防止条例「改正」案は撤回し廃案を求めます

以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する

http://www.city.ota.tokyo.jp/gikai/honkaigi_iinkai/honkaigi/h_30/1teirei/3001_giin.files/3001giin04.pdf

 

 意見書の中にもあるような課題、懸念は多くの方から指摘をされています。私の下にも多くの方から懸念の声が届いておりますが、そもそも都議会での審議時間も短く、課題の整理もされていない事などから、採決を棄権し、意見書案の提出については、退席をしました。改正条例そのものへの質疑や答弁などの時間は委員会では僅か1時間にも満たなかったと聞いています。

 時代の流れによって新たな課題、犯罪、違法行為への対応や対策を取っていく必要はあり、その為には根拠となる法律や条令が必要になる事もある為、議会で審議し立法、条例制定をする必要があるのは私も承知をしておりますが、国民の権利侵害につながりかねない問題については慎重に、危険性がないかを時間を掛けて議論し、場合によっては条文上の文言も修正、付帯決議もつけるなど、細心の注意を払わなければなりません。

 我々の自由な社会は「堤の蟻の一穴から崩れる」危険を常にはらんでおります。自由はある日突然なくなるものではなく、目立たないところから、誰もが顔をしかめるようなものから、徐々に蝕まれていくものです。70年余り前に我が国はそうした事態を実際に体験し、悲惨な事態を作り出しました。

 自由は社会の活力です。私自身、昨年の大田区議会第二回定例会で表現の自由、言論の自由について松原区長に質問を行いましたが、今後も同じスタンスで活動を行っていきます。

 

質問はこちら➠自治体から始める「表現の自由」の守り方。

大田区議会第二回定例会 代表質問文面

 

●セーラム市親善訪問、大連市親善訪問及び区政施作調査を中止するための1882万8千円を減額した予算の組み替え動議について

 最後に日本共産党大田区議段から提出された平成30年大田区一般会計予算の編成替えを求める動議についてですが、我が会派は昨年、セーラム市親善訪問、大連市親善訪問および区政施作調査の為の議員の海外派遣の議案には反対をしました。また、会派結成前も当選以来、一貫して海外視察への個別議案には反対をして来ました。

議員の海外派遣部分を減額した本動議の趣旨に理解はできるものの、その事だけをもって全体の一般会計予算に反対をすることは出来ません。組み替え動議に賛成して、組み換え前の予算案に賛成するというのも妙な事になってしまいますので、退席という形を取らせて頂きました。

 議員の公金支出の在り方については、議場の皆様と共に、区民の皆様の為に議論を深めていければと思います。

 

関連ブログ

平成30年大田区議会予算特別委員会総括質疑 全文

大田区議会第二回定例会 代表質問文面

自治体から始める「表現の自由」の守り方。

「オタクの戦い」東京都の非実在青少年問題を振り返る 

【大田区議会】海外視察についての反対討論

大田区議会の海外視察はもっとルールを明確に!

行かない人の分も行けちゃう?大田区議会の海外視察の疑問

LINEで送る
Pocket

関連記事

Comment





Comment



CAPTCHA