平成29年大田区議会第二回定例会 代表質問文面
本会議での質問の様子
※後ろは岡元副議長
大田区議会 平成29年第二回定例会
新会派「たちあがれ・維新・無印の会」を代表し、議員になって初めての代表質問に立たせて頂きました。
松原大田区長や津村教育長から答弁を頂きました。
会派の別の議員の意見や質問案も頂きながらの合作です。とても素晴らしい経験もさせていただきました。
会派の皆様、区の皆様本当にありがとうございます。
色々と反省点もありますが、とても勉強、課題も見つかりました。
反省も活かしながら、引き続き、議会活動に邁進してまいります。
大田区議会 HP
平成29年第2回大田区議会定例会の質問者・質問事項が決まりました
区長や教育長の答弁は後日、個別の課題ごとのブログにて掲載します。
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「たちあがれ・維新・無印の会」のおぎの稔です。
個性的な4名の議員が集まり新会派を結成しました。それぞれの持ち味をイカして、党派に囚われない、フラットな視点で、区民の皆様の為に政策提言活動を行っていきたいと思います。
それでは、会派を代表し大田区の課題について質問をさせて頂きます。松原区長を始め理事者の皆様におかれましては、簡潔明快な答弁をよろしくお願いいたします。
まず、特別区と東京都との関係について伺います。既に幾度となく語られてきたテーマです。会派としての最初の代表質問で姿勢を示す意味も込めて質問します。
★特別区への税源移譲について
先日、空港跡地第1ゾーンの事業者に鹿島建設を代表とするグループが内定しました。区が収受する貸付料として月額平米単価600円、対象は5.9haならば、年間総額424,800,000円
我が会派の岡議員が昨年9月の決算委員会で確認した通りに、区がUR経由で取得する跡地の土地価格が124億円程度であれば、年間利回りが3.43%です。区が低利で土地価格124億円を調達すれば、有意義な取引といえます。125,400平米もの建物が計画されており、年間の固定資産税、都市計画税、法人住民税は数億円単位で見込まれます。
固定資産税や都市計画税は、特別区の場合、都が徴収し、都区財政調整金という形で交付されますが、都市計画は不動産がある限り安定的に確保できる税源として魅力的であります。
固定資産税・都市計画税は市町村なら収受できますが、特別区の場合は都に帰属しています。したがって、税源移譲を都に求めるのは、今後、区がまちづくりを進めるための財源を確保していく中で極めて当然であると言えます。
松原区長は先日、特別区区長会の副会長に就任されましたが、大田区、また区長会として税源の更なる移譲を都に求めるべきと思います。区長のお考えをお示しください。
★まちづくりについて 新空港線(蒲蒲線)&防災
続きまして、街づくりについてお聞きします。
羽田空港とのアクセス強化、蒲田東西の街づくりや、多摩川線沿線での新空港線を基軸とした街づくり計画など、大田区の未来にとって大きな意味を持つ新空港線計画があります。先日、矢口渡駅から地下に入り、京急蒲田駅の地下まで続く計画図が示されました。
新空港線の費用負担の在り方など、整備主体の設立に向けた具体的な計画がまだ決まっていない事、フリーゲージトレインを利用しない、矢口渡駅から先の地下を通る計画である事から、同じホームにある東急池上線と多摩川線のホームが別になる事や、京急蒲田駅で新空港線から京急線への乗り換えで地下から地上までの移動が必要であることなど課題も多くあります。
特に東急多摩川線沿線地域において、具体的な運行や計画を示せないまま、新空港線・蒲蒲線の啓発が進む事に不安の声が上がっています。
営業主体が東急電鉄であるため、現時点で区が多摩川線沿線地域に示せる計画もないことは理解しております。しかしながら乗り入れ、駅改修、通過電車による利便性低下への懸念などといった声を実際に地域からも耳にしています。そうした点を踏まえ、民間企業が相手の話とは言え、区が協力し税金の投入を予定している以上、区民の不安に対して説明責任を果たしていくことが求められます。
地域の合意なしの鉄道計画の履行は看過できません。
区は多摩川線沿線地域や、地下での乗り入れによって人の動線が変化してしまう事も予想される蒲田地域からの懸念の声に対して、どのように説明を行なっていきますか?
また、施行運行から8年が経ったコミュニティバスについてでありますが、こちらもバスの耐用年数の問題などもあり、区長の判断が必要になってきます。ご決断をいただきたいと一言申し述べておきます。
続いて、防災について伺います。
阪神淡路大震災、東日本大震災、熊本地震など大規模災害において、陸海空自衛隊が国民の生命財産を守る為、献身的に活動した事は、内閣府調査において92.23%の国民が評価している所でございます。
いつ起こるかわからない首都直下型地震等をはじめ、予知困難な大災害に備え、大田区民の命を守る意味からも、大田区各部局がそれぞれの任務において、自衛隊との関係をさらに強化すべきと考えております。
去る平成28年第二回定例会において区民の方から出された「自衛隊との連携を強化すべし」との陳情は、賛成多数で可決されております。
採択された陳情書には
1、自衛隊と担当各部局が定期的に会合を持ち情報交換をする事
2、自衛官、自衛隊各学校学生の募集にさらに協力する事
3、区防災訓練等に自衛隊が引き続き参加し、
万一の場合には区と有効に連携できるよう意思疎通を円滑にする事
4 大田区の諸行事及び自衛隊の災害派遣関係諸行事に
区・自衛隊相互の人的交流を図るべく参加する事
との四項目があげられ、区当局もこの陳情の趣旨を重く受け止め、さらなる連携強化に努めて頂いている現状は、23区の自治体の模範であると評価いたします。
その取組の中でも、松原区長のご英断で自衛官OBを大田区防災計画計画担当課長に採用した事は素晴らしい事であると思います。
2年間の歳月を掛け、陸上自衛隊東部方面総監部と調整を進め、本年4月1日に元陸相補の方が着任されました。防衛相のHPなどで経歴を拝見しましたが、最後は東部方面混成団司令を務められ、陸将補で退官されたそうです。混成団司令としての部下は2000名を超え、様々な災害への対処の司令塔であられたわけであります。
大田区はすでに様々な場面で自衛隊と協力関係を構築されております。このたびの自衛官OBの採用により、さらに関係強化が図られるのは当然の事でありますが、区役所庁内においても、この卓越したご経験と有事における指揮管理能力をどう活かせるのかが重要であります。大田区は区民の安心、安全な生活にどのように活用されようとしているのでしょうか?
次に、陳情書の第二項にも書かれておりました自衛官、学生等の募集協力についてうかがいます。
大田区内には自衛隊の唯一の出先機関として、自衛隊東京地方協力本部大田出張所がございます。自衛官の募集、広報などにあたっており、有事には大田区における被災状況の伝達、発災初期における第一普通科連隊への連絡などを業務としております。
大田区はすでに23区のなかでも募集協力には熱心な自治体であると評価されています。自衛官募集は、自衛隊法97条により区市町村の業務とされています。
今後さらなる協力関係を構築し、法の趣旨に則るべく、区内の公共施設等で自衛官募集等への取り組みを強化していくべきではないでしょうか?
北朝鮮のミサイル発射が常態化し、周辺国との領土・領海問題は緊張状態にあります。また、国際的なテロ事件の頻発など、区民の安全・安心を守る為には災害だけの対処では対応できない事態が想定されます。平時より、自衛隊との連携、協力関係を構築する事が重要であると申し述べ、次の質問に移ります。
★誰もが暮らしやすく、生きやすい豊かな社会の構築について 労働・雇用、福祉、精神障害・疾患など
安倍政権では「働き方改革」を一億総活躍社会に向けた最大のチャレンジと位置づけ、今年の3月に働き方改革実行計画をまとめました。
現在の日本の、長時間労働などの労働をめぐる問題は、単なる意識変革だけでは解決が難しい側面があります。理想の働き方、望ましい働き方と一口に言っても、その形は人それぞれであるため、議論には慎重を要します。この議論自体も働き方の見直しに逆行した内容にならないよう注意しなければなりませんが、働き方、就業に対する意識も多様化していく中で、働き方改革が施策として継続的に機能していけば、勤務形態、賃金、労働時間などが大田区民にも大きな影響があると予想できます。
働き方改革を機能させるためには、自治体における働きやすい街、環境作りが必要だと思います。たとえば、労働負荷を緩和する働き方が浸透した場合、区民が地域や街に出ていく余暇が生まれます。交流、活性化や現役世代の地域・社会参加などにも繋がる等、区政にとって重要な意味を持ちます。それと同時に、行政サービスに対するニーズの多様化なども予想されますが、区はどのように考えていますか?お答えください。
先日、厚生労働省が5月30日に障害者の法定雇用を31年に2.3パーセントに引き上げる事を決定したと報道されました。来年4月からは法定雇用率の計算式に精神障害者が加わります。精神障害者の社会的な雇用の受け皿や社会参加のための対策が必要になりますが、現在の取り組みと課題についてお答えください。
また、社会的に精神的な障害や疾患の受入れの整備が進んでいく中で、教育の場である学校での取り組みも必要です。社会に出る前に自身の特性を受け入れる事、自分の特性を早期に理解する事で、その後の人生、社会との向き合い方は大きく変わります。
「もっと子供の頃に自分の特性を理解していたら、違った人生があったかもしれない。」
当事者や近しい関係者には、こう思う方が少なくありません。
当事者でなくとも、周囲にそうした特性を持つ方がいる事を子供の頃に理解する事も大きく意義のある事です。特に見た目で判断のできない疾患や障害など、様々な特性・生きづらさについて理解するための啓発を学校でも強化すべきではないでしょうか?
合わせて、通常の働き方に困難を抱える方、生きづらさを抱える方の支援についてですが、高齢化社会の到来もあり、まだ働けるのに年齢での問題、様々な理由で社会経験、スキルを積むことのできなかった方、生きづらさを抱えた方の就労、雇用の問題が顕在化してくることが想像できます。
他方、企業の側の受け皿がなければ、福祉策を懸命に整えても効果的に作用するとはいいがたい側面もあります。区は雇用先を創出し、働きやすい環境や支援体制を整えていくべきではないでしょうか?
★言論・表現の自由とサブカルチャー(コスプレ)
続いて、区民の権利としての言論・表現の自由について伺います。
言論・表現、また集会、結社の自由は、憲法で保障された国民の権利であり、自由の担保こそが健全な社会の活力となります。例えば、公共施設、公共空間における自由は、地域や社会にとって欠かせない市民活動を担保し、区民の福祉に重要な要素です。
昨今はインターネットの発達もあり、特定の言論や表現物等について、当該自治体にお住まいの方以外からも抗議が殺到し、施設の使用中止や、美術館の展示物の撤去、講演中止、行政のキャラクターへの公認取り消しなどが行われる事例が目に付くようになってきました。
先日は漫画に対し、警察が内容についての申し入れを行う、異例の事態も発生しました。
国民に保障された自由に対しても逆行しかねない事例としてたいへん憂慮しています。
確かに、芸術や政治・社会問題への言及やそれに類する表現は、人権問題や差別問題、社会的規範や道義的問題などとぶつかりやすく、抗議を受けやすい土壌はあります。抗議することもまた権利ですが、行政が安易に抗議の声に屈すれば、それは間接的に言論・表現の自由という区民の大切な権利を遵守する責務を怠っているともいえます。
以上を踏まえ、言論・表現の自由を担保するための姿勢について、区の見解を伺います。加えて、職員の下に執拗な苦情や脅迫にも近い問い合わせが来ることも考えられます。対策強化も要望しておきます。
表現の自由というと、いわゆるサブカルチャー、マンガ・アニメなどの文化を巡る問題も取りざたされます。こうした文化はもはや日本だけのものではなく、世界中の若者たちの文化となっており、大田区にはイベントなどで頻繁に会場として使用される大田区産業プラザPiOがあります。
そうした若者文化の中で大田区が発祥の地の一つと宣言できる物に、マンガ・アニメのキャラクターなどの仮装をする「コスプレ」があります。
以前から、「仮装」の文化はありましたが、「コスプレ」という呼称および文化が人口に膾炙(かいしゃ)するきっかけとなったのはここ大田区にあります。
現在、年に2回東京ビッグサイトで開催されているコミックマーケットというイベントが大田区産業会館、現在の地域庁舎で1970年代に開催されていた頃にコスプレが始まったという経緯から「大田区はコスプレ発祥の地の一つ」と言われ、以前の総務財政委員会においても区から言及がありました。
また、昨年12月に開催されたイベントで、松原区長はご挨拶の中で「大田区はコスプレ発祥の地の一つ」と述べられていました。
大田区がコスプレ発祥の地であることはメディアでも取りあげられ、蒲田西口商店街のHPでも蒲田はコスプレ発祥の地と記載があります。
小池百合子東京都知事が池袋のハロウィンイベントでコスプレをしていた事も話題になりました。名古屋や沖縄では、行政が協力するコスプレイベントが行われ、川崎市では川崎ハロウィンが注目を浴びるなど、仮装と共にコスプレ文化も市民権を獲得しつつあります。
そうしたコスプレ文化の発祥の地の一つがこの大田区であるという事について区の見解を伺います。
国内外からこうしたサブカルチャーに理解のある若い方に大田区に足を運んでもらうために、コスプレも活かして頂きたいと要望します。
★国際都市について
国際都市について伺います。
大田区は平成28年第4回定例会で国際都市おおた宣言をしました。宣言を読んでみます。
国際都市おおた宣言
~地域力で世界にはばたく~
おもてなしの翼を広げ 世界中の人々を歓迎しよう
暮らしが息づく多彩な魅力あるまちとして訪れる人を迎えます。
ふれあいの翼を広げ 多様な文化を分かち合おう
互いの個性を認め誰もが活躍できる
笑顔あふれるまちをつくります
みらいの翼を広げ 豊かな明日をともにつくろう
おおたが誇る匠の技が世界の期待に応え
新しい産業をつくります。
大田区は、日本のゲートウェイとして、地域の力を結集し、新たな時代を切り
拓いて、世界にはばたく「国際都市おおた」を宣言する。
如何でしょうか?私見ですが、大田区在住の外国人の方への言及が弱いと感じます。
平成29年3月の大田区人口推計によると、30年後の2045年も区の総人口はほぼ横ばいですが、大田区の総人口比率に対する外国人比率は、現在の4.9%から、30年後には9.7%と約2倍の推計が出ています。
比率が倍増するという事で、区政にも様々な面で影響が生じるでしょう。どのように捉えていますか?また、国際都市として、在住外国人の生活支援など、どのように今後の計画に反映していくのでしょうか?
国際都市を標榜するのであれば、国内・国外合わせての国際都市としてふさわしい機能を区は備える必要があります。観光・経済・交流といった対外的な施策も大切です。仮称国際交流協会の設置も踏まえた、対策の前進を期待し、次に移ります。
★生きる力の総合的な支援について
最後に、生きる力の総合的な支援について伺います。
私自身2度、家族を自殺で失った経験のある「自死遺族」であることから、大田区議会で自殺対策について取り上げてまいりました。私がこうして何度も自身の事を語るのは、皆様に「生きること」について一緒に考えて頂き、自殺対策の前進を望む思いがあるからです。
昨年4月、自殺対策基本法の施行から10年が経った節目の年に改正自殺対策基本法が施行され、自治体毎の自殺対策計画の策定、自殺未遂者支援、学校での自殺予防教育、自死遺族支援といった今までにない要素が盛り込まれました。
今回の改正が、自殺対策に取り組む方や自死遺族の方々にとって非常に待ち望まれたものであることは想像に難くありません。
現在、都道府県では、自殺対策基本計画に基づく施策の推進とともに、区市町村自殺対策計画の策定を支援することを目的に、官民協働による自殺対策推進のために「自殺対策トップセミナー」を開催しています。
厚生労働省のウェブサイトには、東京都も平成29年度に開催を予定しているとあります。
松原区長にも是非、ご参加頂き、区政における自殺対策推進のリーダーシップを発揮して頂きたいと考えます。
さて、計画策定には区内の実情、特徴などを把握する必要があります。
例えば大田区における自殺者の数は減少傾向にありますが、若者の自殺は減っていません。
大田区のH28年の自殺者は男女計117名。年々、減少傾向ではありますがそれでも毎年100名を超えています。
自殺者は決して生き返ることはありません。数字の上では年間の自殺者が減少していることは望ましい事です。しかしながら、それでも毎年、自殺者は増え続け、同時に自死遺族も増えていきます。
数字の一つ一つには、亡くなった方の人生が、遺族の苦悩があります。
自殺は追い込まれた末の死であり、本来防げたはずの死です。政治・行政・社会の不作為によって生じた犠牲とも呼べます。
残念ながら、救えるはずだった命を救う施策が追いついていない現実があるのです。
救えたはずの命が、救えるはずの命が大田区にもまだたくさんあります。
一日も早い、対策の前進を望みます。
大田区は自殺対策基本計画を今後、いつまでに、どのように策定してくのでしょうか?
自殺者は複数の問題を抱え、社会から孤立している事も多いのが現状です。
自殺対策推進のための環境整備、自殺者を出さない為の地域作りは、様々な困難の解決、苦しみの緩和、心身の健康保持という点で、自殺以外も踏まえた、生きる事の総合的な支援であると言えます。
人間らしいと思える普通の生活や幸福感。かつて「当たり前」だった日々が、だんだんと享受できなくなっていく、社会が不確かなものになっていくように感じ、危機感を頂いています。
一人一人の生活や幸福を守っていくのが政治や行政の責務ではないでしょうか? 人の命や幸せを切り捨てるような冷たい社会になる事を止める。政治にはその力と責任があると考えます。
一人一人が生きていく為の支援を、生きる事を諦めないで済むための支援を行っていく必要があります。自殺対策としての「生きる事の総合的な支援」について大田区の見解をお示しください。
以上で、たちあがれ・維新・無印の会、会派を結成して最初の代表質問を終えます。
ありがとうございました。
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