若者の自殺の現状と自死遺族支援の為の体制整備について
誰も自殺に追い込まれない社会を目指して~
以前のブログで触れたように、一般質問、決算特別委員会に続き、大田区の自殺対策について、2016年3月14日の予算特別委員会で質疑しました。
質疑の中で触れた若者の自殺についてですが、大田区内の5年間での19歳までの自殺者17名(男10名女7名)、20~29歳90名(男66名女24名)、30~39歳は141名(男95名女46名)となっております。
40歳未満の自殺の第一位は健康問題と答弁にありますが、19歳までは健康問題は観測できた中では無し、1位は学校問題で男女問題、家庭問題と続いています。
19歳までの年代はは4月、9月の自殺が最多となっている事からも、学校との関連が強いのかと思います。
20代では1位は健康問題ですが、他の年代と比べて勤務問題との人数は肉薄しており、若い世代特有の悩み、生きづらさは確かに存在しています。
また、病気の悩みの中では特に、うつ病が最も高く、対策が急がれます。
今回、就労との関係も示されました。
学生を除く無職者は19歳まででは2名となっていますが、20代は34名(90名中)30代は69名(141名中)40代は67名(157名中)、50代が69名(155名中)、60代は100名(150人中)となっており、無視できない人数となっています。
また、どの年代でも男性の自殺者数は女性の自殺者数を超えており、若い世代でも20代、30代では女性の2倍、40~50代では女性の3倍以上の男性が自殺をしております。
男性特有の生きづらさ、苦しさという点についても、もっと光を当てていきべきだと思います。
自死遺族支援については、アンケートによる調査、ニーズの把握が始まったばかりではありますが、1日でも早い、自死遺族支援の体制構築の為に、行動を続けていきます。
遺族として自殺対策強化を大田区に訴えました。(2015, 決算特別委員会)
大田区の経営者の自殺の実態。対策と支援について(2015.11 一般質問)
———————–
動画
【質疑】
【衛生費】自殺対策 7分
私からは決算特別委員会に引き続き、大田区の自殺の現状と、来年度の自死遺族支援について区の見解についてお聞きします。
昨年の決算特別委員会の質疑の中で特に私は若者の自殺対策の要因について実態を把握すべきであると質問しました。
これに対し、理事者から国により詳細なデータの提供を依頼し、分析を行う旨の答弁を頂きました。
平成27年度の自殺対策白書によれば40歳未満の若年層の自殺者数は6,581人で、全自殺者数25,218人の約26%となっております。
また、全自殺者数が減少していく中で、若年層の自殺者数の減少幅が他の年齢層に比べて小さく、若年層の自殺は依然として深刻な問題であり、対応が求められております。
大田区内における若者の死因も平成26年は、10代から30代までは自殺が第一位を占めています。
【質問①】
そこでお伺いいたします。
40歳未満の若年層の特徴等、若者の自殺対策について区はどのようにお考えでしょうか?お答えください。
——————-
【答弁概要】
自殺の原因については、現在大田区では警察庁統計をもとに内閣府から提供されるデータにより把握しております。
平成22年から26年まで5年間において、区内全自殺者数718人の内、40歳未満は199人であり、27・7%を占めている状況です。
その自殺の原因・動機の第一位は健康問題であり、勤務問題、経済問題と続きます。
これに加え、特に40歳未満の若年層に特徴的な原因・動機として、男女問題・学校問題があり、これらの問題に対して、区では生き方や人間関係等に関する相談やいじめに関する相談など、それぞれの悩みに応じた相談体制を確保しております。
今後ともこれらの相談を所管する部署と連携を図り、対応してまいります。
【質問②】
ありがとうございます。
続きまして、自殺に至った環境についてお聞きします
自殺対策については、その兆候を逃さず、常日頃からのきめ細やかな対応が求められるところでありますが、自殺は複合的な要因から起きるため、兆候が判りにくい場合もあります。
大田区の自殺者の現状について、自殺未遂歴のある方ついてお答えください。
——————-
【答弁概要】
内閣府から提供されたデータによりますと、平成22年から26年の5年間について、区内全自殺者718人の内、自殺未遂歴有りが110人、無しが376人、不詳が232人という状況で、自殺未遂歴のある方は全体の15.3%となっています。
【質問③】
ありがとうございます。
自殺未遂経験のあるなしに関わらず、多く命を絶ってしまっている事は由々しき事態でありますが、未遂歴のようなはっきりとした兆候がなくとも、むしろ、未遂歴のない方の方が多くの自殺している現状について、改めて危機認識を持たなければなりません。
さて、続けて、これは自死遺族支援を考える上でも重要になるのですが、大田区の自殺者の中で同居人の有無、また、後追いによる自殺者の現状についても合わせてお答えください。
——————-
【答弁概要】
内閣府から提供されたデータによりますと、平成22年から26年まの5年間について、区内全自殺者718人の内、同居人有りが416人(構成比57.9%)無しが293人(構成比40.8%)、不詳が9人(構成比1.2%)という状況でございます。
また、後追いによる自殺者は先ほどの5年間で6人でございます。
その内訳は40代1人、60代2人、70代3人となっています。
【質問④】
ありがとうございます。
大田区内において、決して少なくない方が同居している家族の死を体験している事、そして後追いによる自殺者が出てしまっている事が判りました。
後追い自殺については自死遺族、または周囲への適切な支援があれば、防ぐ事が出来たのではないかと残念に思います。
私自身、同居している家族を自殺によって失った経験を持つ自死遺族である事からも、より具体的な支援の必要性を痛感します。
昨年、決算特別委員会の私の質疑に対し、ゲートキーパー研修修了者を対象に、今年度からアンケートを実施しニーズを把握の上自死遺族の集いの開催を含めた支援の在り方を検討していくと答弁がありました。
アンケートの結果及び、それを踏えた今後の自死遺族支援の在り方について区の所見をお伺いいたします。
——————-
【答弁概要】
ゲートキーパー初級講座では講師に自死遺族の方をお招きし、講義いただくカリキュラムとなっている事を踏まえ、今年度から当該講座受講者に対し、自死遺族支援に関するアンケートを行う事と致しました。
平成27年11月に実施した初級講座で、52人の方から回答を頂きました。
「身の回りに自殺された方はいるか」と尋ねたところ、13人の方がいると回答されました。
さらに自死遺族支援の集いに「参加を希望する場合、大田区で行う会に参加したいか」を尋ねたところ、7人の方が大田区の会に参加したい、という結果でした。
今後ともアンケートを継続して行い、ニーズの把握に努めるとともに、他区の自死遺族支援状況も注視し、自死遺族支援の集いなどについて、研究したいと考えております。
また、引き続き、適切な情報提供と相談支援体制の確保にも取り組んで参ります。
———————————
ありがとうございます。
自死遺族支援は広い意味で友人、知人、職場の同僚等、喪失体験を持った方々へと対象を広げていっていただきたいと思っております。
国でも自殺対策基本法が改正の見通しとのお話も聞いております。
今後も大田区における自殺対策、自死遺族支援の前進を要望致しまして、質問を終えます。