事件を受けて警察が漫画家に異例の申し入れ!確認しました。
こんばんは。おぎの稔です。
驚くようなニュースが飛び込んでき為、確認や情報共有に追われていました。
今回の件、私は、大変強い危惧を感じています。
ニュースは以下の通りです。
強制わいせつ容疑の男「漫画を真似」 県警、作者に異例の申し入れ
埼玉新聞 6/13(火) 22:12
毎日新聞
〇事件の概要と問い合わせの経緯
報道にあるように
『埼玉県警に強制わいせつ容疑などで再逮捕された男が「成人向けの同人漫画をまねてやった」と供述したため、県警が漫画の作者に模倣した犯罪が起こらないよう配慮してほしいと要請した』
・・・というのが今回の概要です。
警察が犯罪に模倣されないよう作者に申し入れをするのは異例との事で物議を醸しています。
被害に遭った女性の心痛は想像しがたいものでしょう。一日も早い恢復を望みます。
また、性犯罪は相手が子供かどうかという被害者の年齢、性別などに限らず許してはならないものです。
同様の事件が起きないように我々も努めなければなりません。
しかし、公権力が取る手法として、正しかったのでしょうか?
この件、一部では漫画家さんと警察の間で、穏便に済んだから良いではないか?という意見もあるようですが、埼玉新聞へのコメントとして甲南大学法科大学院教授・弁護士の園田寿教授は以下のようなコメントをしています。
「このような愚かな議論は、むかしから繰り返されている。たとえば、明治20年代~30年代にかけて「小説」が社会の堕落の原因であるとして攻撃されたことがある。当時は、「探偵小説」は少年たちに非行や犯罪の方法を教え、「恋愛小説」は性の乱れを引き起こすといったようなことが言われた。そもそも人は何から影響を受けるか分からないし、また行為を行った後で、なぜそのような行為を行ったのかの理由は、後付けでどんな理由でも考えることができる。いわゆる模倣犯がいるのは事実だが、それを防止するために事件報道や出版を控えたり、自粛を(警察が)求めることの方が、国の存立にとってはるかに危ういことである。自由な情報の流れの上にさまざまな制度を構築することが民主主義にとって裁量の方法であって、やむを得ない場合以外は公権力がその流れに介入すべきではないということを、私たちの社会は選択しているのである。」
私も埼玉県で起きた事という事で、悩みましたが、同様の事が大田区・東京都で起きる事を防がなければならない。
起きた時に素早く対処できなければならない。
だからこそ事態を確認する必要があると思い、埼玉県警の広報宛てに問い合わせをしました。
午前中に問い合わせ、夕方には返答がありました。以下の通りです。
・報道についてどう考えるか➡「捜査に支障があるからお答え出来ない」
・この報道内容は事実なのか?➡「事実かどうかもお答え出来ない」
・この件、問い合わせは来ているか?➡「問い合わせは複数来ている」
・別に皆さん警察憎しや犯罪を肯定しているわけではないがなぜ、問い合わせが来ているか理解しているか?➡「皆さんが何を懸念しているかは理解している」
報道が出た翌日に、他地区の議員が公式窓口に電話で問い合わせてもこれ以上はなかなか難しいかもしれませんし、私も無理強いはしません。
捜査の妨害をするのも本意ではありません。
議員からの問い合わせはなかったようなので、私が一番槍だったようで、懸念を持っている人間が他地区とはいえ議員にもいるという事はお伝えできたと思います。
ご多忙な中、当日中に返信を頂いた事について、真摯にご対応いただいたと感謝申し上げます。
〇公権力の意向を忖度させられる危険性
この件、事件に巻き込まれた漫画家さんだけの話でも、埼玉県だけの話ではありません。
今回は警察という公権力が行った事に問題があります。私人間のやり取りであればここまで問題視はしません。
仮にこの件の担当者が「マンガ・アニメの表現の委縮、規制を狙ってわざとやったか?」と言えば、そんな事は無いと思います。
ただ、この事例を元に同様の事が各地で起きてしまうと、結果的に表現の委縮や規制に繋がってしまいます。
警察から「お願い」をされて、平然と突き返せる方がどれだけいるでしょうか?
最近、話題の「忖度」そのものです。
自由への制限は、いつもエログロナンセンス、誰もが目を背けるような表現から始まり、気づいたら広範囲に網を掛けてくるのです。
また、報道の方がそこまで意識して書いたのか判りませんが「異例の」という書き方で、特異な出来事である事。
捜査関係者は「表現の自由との兼ね合いもあって難しいところだが、子どもを狙った悪質な事件で、社会に与える影響を考慮して申し入れを行った。今後、ほかの作者の作品が模倣されて犯罪が発生した場合も、同様の申し入れを行うことを検討したい」
と,他の作品・表現へも飛び火するであろう危惧を、捜査関係者のコメントとして載せている事も注目すべきだと思います。
懸念を持っている方は多いのではないでしょうか?
この件は引き続き、注視をしていきます。
〇議会と選挙と表現規制
問題、懸念を持つ方は大勢いると思いますが、県警に問い合わせ、苦情があまりに集中し、業務に支障を来すようになってしまうのもよくないと考えます。
むしろ、懸念や問題意識を伝えるのであれば、地元の区市町村議員や都道府県議員、または国会議員が良いかもしれません。
この件で改めてご認識頂いた方も多いと思いますが、表現の自由の問題と議会は繋がっています。
議会とつながっているという事は、選挙ともつながっているという事です。
私は2010年に石原慎太郎都政下で起きた東京都の表現規制問題、非実在青少年問題に関わってきたので、その事をとても強く意識しております。
特に、コンテンツの様々な制作や流通の中心であった東京都で規制が起きれば、それは都だけの問題ではすまなくなると、必死に走り回りました。
選挙が近くなった時期というのは、政治家も有権者の声に敏感になるので、政治家と政策や様々な課題に対して話す事が出来るようになる時期です。
東京都では今月末には都議選が行われます。
是非、ご地元の議員に働き掛け下さい。そして、声を届けてください。
政治は皆様の生活と密接に繋がっています。
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山田太郎前参議院議員の活動も紹介しますので、こちらのブログをご確認ください
僕らのマンガ・アニメ・ゲーム、同人文化を守ろう!表現の自由を守る会 都議選活動プラン
おぎの稔プロフィールは➡こちら
大田区議会議員
おぎの稔 公式サイト
政策漫画連載中
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コメント2件
きおり。 | 2017.06.16 0:38
お疲れ様です。
私もニュースサイトをブラついていたら、同じような内容の記事を見つけ、
「警察が直接作家にアレコレ言ったら、他の作家も萎縮しちゃうでしょ」と首を傾げておりました。
結局のところ、犯罪を犯してしまう方にとって、何であっても原因(動機)になり得るわけですから、
そもそも犯罪を犯そうと思せないように教育をキッチリと行ったり、
犯罪を犯しづらくするために地域交流を密にしたりすることで、
未然に防ぐことしかできないのでしょうね。
挨拶一つが防犯になると言いますから、私としては後者はかなりオススメです(笑)
上記のような事まで考えつかずに、事件の表面だけを見て「規制を〜」となってしまうのは短絡的でしょう。
匿名 | 2017.06.16 0:28
問い合わせと結果公表ありがとうございます。
twitter上でアメリカで政府調査としてハーバード大学が調査を行い、
「『ドラマ、ワイドショー、アニメ、ゲームなど、コンテンツに影響を受けて犯罪を行った』というのは、ことごとく罪を逃れようとして他に責任をなすりつけようとしているだけ。因果関係は存在しない」というのが立証されている、というコメントを見ました。
これが正しければ、定量的な根拠として表現の自由、特にアニメやゲームを規制から守る盾になりえます。
山田太郎氏など、幅広く共有し、調査する価値はあるのではないかと思います。