生活保護受給者への自殺対策、支援強化について
今回は昨年の9月の大田区議会決算特別委員会でも触れました生活保護受給者への支援と自殺リスクについて触れさせていただきます。
まず第一に支援の部分、質疑で触れた就労自立給付金という制度について
「生活保護受給者の行う貯金」という理解もされているようなこの制度。
実際は生活保護脱却後の生活を支えるために受給中に得た所得の中の内、本来返還する分から最大10万円までを脱却後に支給するという制度です。
大田区からの答弁にあるように制度が創設された平成26年度が59件で総額451万円。27年度は87件で総額668万円となっており、制度の周知と共に少しずつ利用も進んでおります。
都内や大田区内で暮らしている場合、保護脱却後に最大10万円というのは少し心もとないと私は感じており、一足飛びに法改正は難しいかもしれませんが、この制度はもっと受給者がもっと自立しやすいように柔軟なものにする必要があると考えます。
第二に生活保護受給者の自殺リスクについて
生活保護受給者の自殺リスクは決して低くなく、その要因として、自殺の大きな要因の一つと考えられている精神疾患を持つ方の割合が生活保護受給者は平均よりも高い事、同じく自殺の大きな要因の一つと考えられる失業や負債等の経済的理由を抱えている方が多いであろう事、生活保護をスティグマのように扱う社会の風潮もあり、自己肯定感が下がってしまったり、将来を悲観する事などから来る環境などが考えられます。
実際に大田区でも年によっては約1割の方が生活保護受給中に命を絶っています。
受給者の自殺と聞くと、現場のケースワーカーの方の対応について考える声もあるでしょう。
相談業務を行っている以上、そうした声も理解できます。
事例の蓄積から課題の洗い出し、制度、支援の在り方を変える事も出来ると思います。
しかしながら、大きな問題として生活保護をスティグマのように扱う社会の風潮も改善する必要があると思います。
若者に限ってみても、世帯数で全国的にリーマンショック後の一時期より減少したものの、未だに以前より若年層の生活保護受給世帯は多い。
生活保護受給者の自殺を減らす事が出来ない事は、就労、社会復帰の目を摘んでしまう巡り巡って大田区にとっても大きな損失になります。
最後に支援の在り方について
生活保護というと不正受給がよく話題になります。
当然ながら、不正に受給することは生活保護に関わらず他の制度においても「犯罪行為」です。
原資が税金である以上、不正受給を防げない制度のカバー不足については改善の必要があり、不正受給者への追及、補足も進めていかなければなりません。
一方で、生活保護を本来、受けてはいけないスティグマ(負の刻印)のように扱い、本当に支援が必要な人、支援を受ける必要がある人まで悪い事をしているかのように扱う社会の風潮がある限りは相談をためらい、行えない方も出てくる。
その分、必要な方への支援も遅れ行き届かなくなります。
適切な相談や支援を行えるようにし、まず必要な人に行き渡るようにする。
その上で就労意欲や能力のある方に対してはもっと自立出来るようにサポートを強化していく。そういった事が必要な生活保護受給者への支援ではないでしょうか?
自殺対策の点からも、そして、大田区民の福祉の向上の為にも生活保護受給者を巡る環境については、調査を続けていきます。
質疑解説はこちら
大田区(自治体)の自殺対策については政治山に寄稿しました
→【記事紹介】自死遺族の1人として自殺対策に取り組む、荻野稔 大田区議からの寄稿
自殺対策基本法についてはこちら
大田区 HP 生活にお困りのときは(生活保護、相談、資金貸付他)
●質疑 動画
https://youtu.be/Fh1vIm6bQrA?t=39m14s
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