じぇじぇじぇ条例、かだって会議。市民参加型の議会とは?
東京若手議員の会の上部組織である、関東若手市議会議員の会のメンバーと共に岩手県久慈市の久慈市議会を視察させて頂きました。
日帰りの強行軍で、多少疲れましたが、2014年3月4日施行の久慈市議会の議会基本条例、通称「じぇじぇじぇ条例」から来る議会改革の取組について勉強させて頂き、とても参考になりました。
平成25年度前期連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台ともなった岩手県久慈市ですが、通称で「じぇじぇじぇ条例」を制定した事も話題になりました。
このじぇじぇじぇは、上記の「あまちゃん」内でも主人公が使用し話題になった方言ですが、北三陸地方の方言で、驚きを表す言葉だそうです。
「え~!」といった感じでしょうか?
http://www.city.kuji.iwate.jp/data/open/cnt/3/635/1/jourei.pdf
以下は久慈市議会基本条例前文です。
おら達の住む久慈市は、碧い海と緑豊かな大地に囲まれた自然いっぺぇの郷土であ り、このことをおら達は誇りに思っている。
久慈市民(以下「市民」という。)からの直接選挙によって選ばれた議員どうで構 成する久慈市議会(以下「議会」という。)は、おんなじように市民からの直接選挙 によって選ばれた久慈市長(以下「市長」という。)とともに、久慈市を代表する機 関である。
この二つの代表機関は、おたげぇに市民の思いに応えるために、議会は議員どうに よる合議制の機関として、市長は独任制の機関として、与えられた権限のもとにおた げぇの特性のいいとこを生かして、市民の思いを市政にちゃんと反映させるために競 い合ったり、協力し合ったりしながら、久慈市にとって一番いい意思決定を導くため の共通の使命が与えられている。
おらぁどう議会は、議会に与えられたこの使命を達成するために、これまでにない 発想により、まさに“じぇじぇじぇ”な議会を目指していくべぇという思いを込めて、 この条例(通称「久慈市議会じぇじぇじぇ基本条例」という。)をこさえ、市民の思 いに力いっぺぇ応えていくことを決意する。
確かに全文が凄い!
このじぇじぇじぇ条例。
方言読めない人はどうするんでしょう?
前文以外にも、活動原則に議会活動の検証を盛り込んだこと、東京でも板橋区が開催し話題になった議会報告会※とは別に市民と議会が協同する場、「かだって会議」を設置した事。ICTの積極活用、議長だけではなく、委員長の所信表明の機会を設けた事、議会同士(議会事務局を含めた)の積極的交流など、特徴のある条例となっています。
※大田区では未実施
以下、簡単ですがじぇじぇじぇ条例の特徴について、簡単にご報告します。
①議会活動の検証
写真の通り、情報公開、説明責任、政策立案・提言、市民生活への変化、議会運営の見える化など、様々な分野からの検証項目を用意しております。
議会活動、議員の仕事の検証と言うのを、議会でやっていくというのは素晴らしい取り組みだと思います。
地方議員が何をしているのか、議会がどのような仕事をしているのか、それがどれだけ市民生活に影響があるのか?をはっきりとした形で示していく事の意義は大きいですね。
②ICTの積極活用
タブレットについて、端末購入経費と通信費(2分の1)を政務活動費で支弁、購入へのインセンティブ(仕掛け)を作っています。
SNS利用も可(大田区では出来ない涙)、議場へのタブレットの持ち込みも可能となっています。
更に凄いと思ったのは、アプリを使った議員・事務局の議会日程の共有です。
スケジュール共有アプリ、cybouzliveを利用し、日程の共有化を行いました。
イメージ的にはグーグルカレンダーのスケジュール画面に近いでしょうか?
通常、議員あての公務や議会日程等は、紙媒体での配布やFAX、郵送で送られてきます。
また、公務日程の確認の為だけに事務局に確認する事もしばしばあります。
事務局側もリマインド等、手間を掛ける事になっていますが、このスケジュール管理アプリは議員・事務局どちらにもメリットがあり、喜ばれているそうです。
ペーパレス化、通信費などの経費削減と共に、連絡ミスを防ぐ事からも重要な取組ではないかと思います。
③委員長の所信表明
委員長ポストを年功序列といった形ではなく、専門性と、リーダーシップ、政策提言を活性化させるためのポストにする為、意欲のある方がオープンな場で「やりたいのだ!」と発言できる風通しのよい議会環境にする為に実施されるようになりました。
住民の前で所信表明をする事で責任感も増すとの事ですが、場合によっては正副委員長を同じ会派から出すことも可能との事です。
正副委員長のポスト配分は会派間の重要な交渉ごとの一つにもなる事を考えると、思い切った、そして素晴らしい取り組みであると思います。
④かだって※会議の開催
※かだっての意味=①一緒に何かをする ②語って
従前、開催していた議会報告会にはマンネリ化、参加者の固定化、参加者の少なさ、特定の人が話して終わる、行政に対する不満、陳情要望に終始してしまうなど問題点がありました。
もっと色々な世代の人達と街の問題や課題、どんな街にしていきたいかを話す必要があるとの観点から、一方的に話す報告会スタイルではなくカフェのようなオープンでリラックスした空間で4~5人単位のグループで話すワールドカフェスタイルに変更したそうです。
各議員がテーブルでホスト役になり、市民メンバーを迎える方式になります。
議員は話しすぎないよう(汗)、事前に模擬練習も行いました。
テーブルにはお花、飲み物やチョコレートを配置。
クリスマスの時期には議員がサンタ帽を被ったりと若者、女性も参加しやすい雰囲気で反響も大きく、更に若者、子供の参加も増やすために議会が学校に出向くといった事も考えているそうです。
病院や図書館で報告会や委員会等を行った事のある自治体もあるそうですが、大田区でも議会報告会、ひいては区民の参加しやすいワールドカフェスタイルでの議会報告会を実施していきたいですね。
●取組の効果
議会に足を運んでの傍聴者数はあまり増えてはいないそうですが、市民のかだって会議の参加は順調で、ネット中継でのアクセス、視聴者は大幅に増えたとの事です。
議会に直接足を運ぶことは出来なくとも、多くの市民が議会に注目する事になるキッカケを作ったとするなら、意義のある取り組みだったのではないでしょうか?
施行からまだ2年経っておらず、実際の効果の検証については更に時間が必要だと思いますが、区民、市民の参加しやすくなる、見に行きたくなる議会を作っていく事は大きな意味を持つと思っています。
大田区議会で区民への議会の見える化という点からも、本会議のネットでの生中継委員会の中継等、ネットからのアクセシビリティ強化を実現できればと思っております。
久慈市議会の皆様、お忙しい所、本当にありがとうございました。
写真は視察に参加した若市議会のメンバーです。
余談ですが、議会事務局の名刺(裏面)には名産品の琥珀がちりばめられていました。
お土産には海女さんのイラスト付き。海女さんのキャラクター「アマリン」がいました。
ネット上で騒ぎにもなった三重県志摩市の公認キャラクター「碧志摩(あおしま)メグ」との違いからも、行政の公認キャラクターがどうあるべきなのか?どう情報発信すべきなのか?
議論の参考になりそうですね。