Jan 11, 2025

【大田区議会】おぎの稔令和6年第4回定例会代表質問

昨年最後の大田区議会定例会で代表質問に立たせていただきました。

テーマは ①税制について ②少子化対策について ③羽田空港について④自殺対策について⑤福祉サービスの維持管理についての5点です。特別区の税の流出など昨今、東京一極集中という言葉が再度話題になっておりますが、都の中の23区のような自治体にとっても他人事ではなく、東京都は都の利益、特別区もその利益をしっかりと主張していく必要がある旨、質問しました。

【質疑】

東京政策フォーラム(都民ファースト・国民民主・無所属の会)のおぎの 稔です。会派を代表して質問をさせていただきます。簡潔明瞭な答弁をよろしくお願いいたします。 今回の質問は、現在、大田区で議論されている基本計画の内容や大田区が目指すべき方向について、昨今の情勢を鑑みて、5点、鈴木晶雅区長に質問をさせていただきます。 さてまず、今回の定例会でほかの会派の皆様からも質問が出ておりましたが、東京都、大田区にとっても大きな課題である税制、財源と税の流出について伺います。 本年7月の東京都知事選挙で小池百合子東京都知事が3期目の当選をしました。その3期目の任期が始まってすぐの8月2日に開催された全国知事会では、人口減少問題の解決に向けた国への要求を盛り込んだ緊急宣言を決議しましたが、宣言を取りまとめる過程で東京への一極集中が人口減の一因と読み取れる文言が盛り込まれたことに東京都は反発をいたしました。メディアでは、都と地方との溝の深さが改めて浮き彫りになったと書かれています。どういった議論があったかと申し上げますと、宣言の原案では「人口減少の構造を改めていくためには、人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく」との記述があったところ、小池都知事は、人口減と人口や産業の集中との因果関係が不明確だと訴え、記述は取り除くべきだと反論しました。結果、都の主張と都が削除を求めた事実が補足されたものの、宣言では、原案の表現はそのまま残された形となりました。それを受けて小池都知事は、記者会見で、国内でパイの切り合いをしても発展は望めない、いかに増やすかを議論すべきだとコメントをしております。 せんだって行われた東京都知事選挙では、別の候補は、東京の財源の地方移譲を掲げておりました。また、先般誕生した石破 茂内閣総理大臣は、石破 茂政権では地方創生を看板政策に掲げ、東京一極集中のリスクに対応した人や企業の地方分散を5本柱の一つに掲げております。新政権が現状の不合理な税制についてどういった考えをお持ちなのか、また、東京都への一極集中という批判に対してどのような認識をお持ちなのか、臨時国会も始まった中で国会の議論を注視したいところではありますが、私は、東京都、都市の税金をもっとその都市の発展のために活用すべきだと考えております。不合理な税制によって東京都の法人3税が流出し、また、ふるさと納税でも、大田区も相当な税金が流出している状況です。この金額があればどんな施策を打てたでしょうか。区民の皆様の生活向上、幸福の増進のために使えたことは明らかです。 大田区もふるさと納税について新たな取組を始めようとしているところでありますが、現状の税の偏在についての区長の認識をお答えください。

続いて、少子化対策について伺います。 私ごとでありますが、本年4月1日、ツイッターというSNSで知り合った女性とエイプリルフールの日に入籍をいたしました。旧ツイッター、Xです。また、僣越ながら、明日、結婚式を開催させていただきます。2015年に初当選した際は、同期当選の議員でも独身が多くおりました。同期では私が最後の独身だったということで全員が既婚者となりました。また、松原 元議員は先般こどもが生まれたということで、誠におめでとうございます。議場から新しい命が誕生したと、議場からではないですが、新しい命が誕生したということでお祝いを申し上げます。もちろん、結婚するしない、また、こどもの有無というところは、本人の選択でもありますし、頑張ってもパートナーや子宝に恵まれない方もいます。そうした面に対する様々なフォローアップ、施策も必要です。 一方で、今後の日本、大田区の社会の持続可能性を考えた際、少子化対策は大切です。これは昔の同調圧力のような話とは異なります。現在の40歳未満の未婚者の中でも、多くは適切な出会いがあれば結婚をしたい、また交際未経験という方がたくさんおります。 さて、大田区だけではなく、23区の22区で10代、20代の転入が多く、30代とこどもの流出が多い状況が続いております。鈴木晶雅区長は、区長選挙で選ばれるまち、大田区へと訴えておりました。シティプロモーションという言葉も10年ぐらい使われているようになっているかと思いますが、私は以前、2016年に横須賀市を視察しました。その横須賀市でのシティプロモーション、このときは課をつくっておりましたけれども、事例について紹介します。横須賀市では、住民台帳を基にどんな層が自分の市に、どの地域から引っ越してくるのか、また、どの地域にどんな層がその後引っ越し、流出をしてしまうのか、顕著なのかを調べ、その地域や地域の駅に市の広報を積極的に行っておりました。これは、まさに人口の流出防止と、奪う、ほかの地域からしっかりと人口を獲得して、そして自分の地域から逃がさない、こういうプロモーション、広報を積極的にやっているということを、当時は、本当にこうしたことをそもそもやらなければいけないのかと考えるぐらいに画期的だなと感じました。 現在、東京都では、プロジェクションマッピングなどを実験的に行っております。これは一部の方々から批判もありますけれども、夜間の産業、ナイトタイムエコノミーなどの面が諸外国の大都市と比べて弱いとされている東京都が実験的に試みていることは、決して悪い話ではありません。24時間眠らないまち、動き続けるまち、東京都には、そういった元気なまちとして、日本の心臓として発展していく責任があると考えます。今後、より東京都、大田区も含めて都市間競争、企業、人材、住民の獲得競争が激化していくと考えます。区長の掲げた選ばれるまち、その点については全く異存はございませんが、住み続けられるまち、ずっと住んでいたいまちであることもしっかりと目指していかなければいけません。選ばれるまち、そして住み続けられるまちへ、その先頭に立っていただくのは、この場にいらっしゃる鈴木晶雅区長です。 現在、基本計画も新たに作成に向けて懇談会が開かれているところではありますが、大田区は、今後どのように若い世代、子育て世帯の定着を図っていくのでしょうか。区長が自ら先頭に立って、ご自身のお言葉で訴えていくことが必要だと考えます。鈴木区長のお考えをお示しください。

続いて、羽田空港周辺について伺います。 現在、大田区が募集をしている羽田空港跡地第1ゾーンの公園整備、また、同じく天空橋駅前にある羽田イノベーションシティ、第2ゾーンのホテルや周辺の盛り上がりは、今まさに今後の東京、また大田区の発展のために重要なエリアであると考えております。区内の最後の一等地とも言えるこの場所は、大田区だけではなく東京、首都圏、日本、そして世界から見てどういった場になるのかも考えて、区民、都民、国民、多くの方が訪れる場として整備されるであろうことを私は期待しております。 今、第1ゾーンでは空港公園の整備に向けた取組が進んでおりますが、今回は、その周辺も含めた国有地等の状況について伺います。こちらについては公明党の田島議員も以前質問で触れておりましたが、第1ゾーンの公園予定地と多摩川の間の土地は、土地区画整備が終われば国有地に戻ることになっていると聞いています。また、海老取川沿いとなどの空港に隣接したエリアについても、今後の大田区の発展のために大きな余地を残していると考えます。こちらの第1ゾーンの公園予定地と多摩川の間の土地の整備そのものは、今行われております空港公園予定地の整備と同時にUR都市機構によって整備されることになっています。例えば、この場所を川をもっと見てくつろげるような場所にしてもいいですし、ソラムナードと連携する形で整備されてもいいかなと思います。 空港隣接地であり、また、河川に隣接しているという状況もうまく活かせればいいかなと考えますが、こうしたエリアの活用については国との連携も必要になるかと思います。区の認識を伺います。

続いて、孤立、自殺対策について伺います。 大田区の自殺の状況について、東京都、全国的にも同じ傾向ではありますが、本区の自殺者数は、平成23年をピークに減少していましたが、令和2年以降増加に転じ、令和5年はさらに増加しております。また、自殺死亡率も同様で、大田区の場合、令和3年以降は、全国、東京都より高い数字となっております。また、男女比で見ても、若干ではありますが、大田区は、全国平均よりも女性の自殺の割合が高い傾向にあります。先日、大田区自殺総合対策協議会が開催されました。本区の自殺、若者、女性であることは、既にほかの議員からも含めて指摘されたことではありますが、全国平均よりも高い自殺死亡率の状況でみんなが笑顔になれるまちと掲げるのは難しい状況となるでしょう。しっかりと力を入れて対策をしていくべきだと考えます。 本区は、足立区など自殺対策に先進的に取り組む区に続いて、コロナ以前にインターネット広告を活用した若者向けの自殺対策の支援や自死遺族支援の体制を整えてまいりました。しかし、コロナ禍では女性の自殺者が急増するなど状況も一変して、今日まで来ております。私は、現在の状況について、今の大田区内の自殺や孤立、多難、多層化する様々な課題に対して、本区がどこまで把握、対応できているのかをまず分析をし、対策を掲げていく必要があるのではないでしょうか。 大田区の自殺対策における今後の方針について見解を伺います。

最後に、福祉について伺います。 障害を持った方の親亡き後の地域での生活の支援の点から、通所、ショートステイ、グループホームなど、様々な支援の形があります。8050問題とは似ている部分がありまして、支援されている方が高齢になるにつれて、必要な支援が変わってくる方も多くいるでしょう。今までは保護者や支援者の協力があり成り立っていたことが、成り立たなくなることも考えられます。いわゆるひきこもりの方に起因する問題とは別に把握やアプローチが必要となります。そうした中では、サービス、施設の維持が大切であり、そのためには予算も大きくかかり、人材の定着も必要となります。 東京都も、重度の方へのグループホームの重要性は認識しており、都とも連携して支援を行っていただきたいと考えますが、課題もあります。昨日は自由民主党大田区議団・無所属の会の代表質問で伊佐治 剛区議が介護人材の確保について、また、今から取り上げる事例については共産党のすがや区議も以前取り上げられておりましたが、多摩川二丁目に建設予定だった施設について、私も地域の方から相談を受けましたので、この場で事例として取り上げさせていただきます。この施設は、重度の障害者向けのグループホームですが、もともと予定されていた施設の整備が物価高騰や人件費の高騰など様々な事情があり、オープンが止まってしまっている施設です。その原因については外的な要因が大きいものですし、ロシアとウクライナの戦争などに起因した物価高については予測の難しい面もございますから、事業者や大田区の責任だと言うつもりはございません。しかし、オープンに向けて既に応募が始まった後の段階で事業がストップしてしまい、どうなっているのかと地域の方からも問合せをいただきました。その方は区内で飲食店を営む80代の方で、お子さんがいらっしゃいまして、今までは自分で面倒を見られていましたが、自分も高齢になってきたので、やはり施設に預かっていただきたいと考え、応募をしておりました。自宅から距離も近いということもございました。しかし、応募はしたのはいいものの、事業がストップしてしまい、その後どうなるのか分からないという状況がずっと続きました。何とか施設を探して、都内の別の市の施設に入れることができたということで、そちらはよかったと思いますけれども、やはりその計画が始まって、募集が始まってから、なかなかその後どうするかという結論が出なかったということは、やっぱりその区民の方も大層不安になっておりました。物価高騰や人材不足など様々な要因で、グループホームをはじめサービスの維持がこのまま難しくなってくる側面もあると考えます。 大田区は、今後、新たに起き得る課題の把握や対策、少子高齢化社会で起きてくる課題をどのように捉えていますか。その中で、サービスの維持や管理をどのように行っていきますでしょうか。見解を伺います。 以上、5点、質問をさせていただきました。答弁のほど、よろしくお願いいたします。

 

【答弁】

おぎの 稔議員の代表質問にお答えします。 税の偏在に関するご質問ですが、本年8月の全国知事会において小池東京都知事から、「人口や産業が特定の地域に集中している現状を見過ごすことなく」という表現について、特定の地域への人口や産業の集積と日本全体の人口減少を関連づけた考え方は、因果関係が不明確であり、本質的な課題解決につながらないため、削除すべきとの意見がなされたことは、私も承知いたしております。我が国は本格的な人口減少社会を迎え、持続的な成長が危惧される中、国内の限られたパイの奪い合いではなく、大都市と地方がそれぞれの個性や強みを活かし、積極的な交流や協働による共存共栄こそが今なすべき重要なことです。その趣旨に鑑み、特別区は、全国各地域との連携を深め、経済の活性化、まちの元気につながるよう、被災地支援、魅力発信イベントやシンポジウム、講演会の開催など、特別区全国連携プロジェクトを展開いたしております。国による不合理な税制改正の令和6年度の影響額は、特別区全体で約3200億円、大田区で約215億円に上り、提供できる行政サービスに対する大きな制約となっております。特別区は、持続的な都市の発展のために今取り組むべき喫緊の課題や将来的な課題が山積しております。このため、特別区には大都市行政に見合った役割と権限が必要であり、適正な地方税財政制度の下、創意工夫により新たな雇用や人口増加を実現し、日本の活力源となることが不可欠でございます。こうした観点から、国が進める不合理な税制改正は、応益負担や負担分任という地方税の本旨を無視し、真の地方分権の実現に逆行するものと捉えており、今後も、東京都や特別区長会と緊密な連携の下、地方税財源の充実強化の必要性を国に強く訴えてまいります。

若い世代、子育て世帯の定住に関するご質問ですが、議員お話しのとおり、データ上では、いわゆる子育て世帯の転出が多くなっています。一方で、世論調査の結果では、大田区に住み続けたいと回答した30代は男女とも75%に上ります。このため、定住意向のある30代とそのこどもを含む世帯が区に住み続けられるよう支援することは、重要な課題であると認識いたしております。区は、これまでも各種計画に基づき子育て環境の充実に取り組んでまいりました。今後、国全体としてのこどもの数が減り、量から質への転換が求められる時代において、区に住み続け、こどもを産み育てたいと思っていただくためには、一層の努力と工夫が不可欠と考えております。現在策定を進めている基本計画では、共通課題の一つとして少子化を掲げ、その解決に寄与する取組の整理を進めております。具体的には、妊娠期からの切れ目のない支援や教育環境の充実、防犯対策の強化など各種メニューがありますが、これらを総合的な対策として、新たな基本計画の下、全庁を挙げて取り組んでまいります。さらに、これら区の取組をはじめまちの魅力が若い世代へしっかりと届くよう、分かりやすく伝わることも大切です。区報や区ホームページに加え、若い世代が利用するX、LINE、ユーチューブチャンネルなどの各種SNSを含め外部媒体も積極的に活用して、より多くの方に届けられるよう取り組みます。その際は、私が自らの言葉で思いを込めてお伝えすることも大切であると感じております。引き続き、選ばれるまち、住み続けられるまち大田区の実現に向け、若い世代、子育てをする世帯のニーズを的確に捉え、支援をしてまいります。

次に、羽田空港跡地第1ゾーンの今後についてお答えいたします。 羽田空港跡地第1ゾーンは、国内外の空の玄関口であり、また、多摩川河口部の水辺を近くに感じることができる特色ある立地であります。現在、その特色を活かせるよう、土地区画整理事業における街路整備と都市計画公園の運営事業者公募を着実に進めております。その中で、土地区画整理事業後の土地利用が定まっていない国有地につきましては、立地の特徴を活かし、先行して整備される周辺施設の機能も踏まえて利用を検討する必要があると考えております。例といたしまして、天空橋駅周辺では、羽田イノベーションシティとの連携も視野に入れた産業・文化交流機能を発揮する土地利用が考えられます。また、多摩川や海老取川沿いでは、新設される公園との調和による水辺の触れ合い、憩い、にぎわい空間の創出などが考えられます。区としましては、国、東京都など関連機関との協議を進め、地域の皆様などのご意見を伺いながら、まちづくり整備の総仕上げとして、羽田イノベーションシティや都市計画公園などとの相乗効果を早期に実現することのできる土地利用の検討を進めてまいります。

次に、自殺対策についてですが、大田区の自殺者数は、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた令和2年以降、増え続けており、自殺死亡率は、令和3年以降、全国や東京都よりも高い値となるなど、自殺対策は区の喫緊の課題であります。また、近年は、20代、40代の自殺死亡者数が特に増加傾向にあり、自殺者に占める女性の割合も年々高くなっております。このため区は、大田区自殺総合対策協議会において、関係機関とともに地域の実情を踏まえた対策を検討し、自殺予防に積極的に取り組んでおります。今年度は、若者や勤労世代、女性が適切な支援につながるよう、新たに区内の教育機関や企業などと連携し、相談先の周知や支援者の育成をさらに強化しております。自殺の背景には、経済や家庭の問題、職場や学校の問題、様々な社会的要因が複雑に関係しています。誰も自殺に追い込まれることのない大田区を目指して、1人で不安や悩みを抱え込まない環境づくりや、身近な人の小さな心の変化に気づき支え合える地域づくりを引き続き推進してまいります。

 

次に、障がいのある方が地域で暮らしていくための課題についてのご質問ですが、区は、おおた障がい施策推進プランを策定し、「障がい者が地域で自分らしく安心して暮らせるまちをつくります」を基本理念として、障がい者施策を進めております。プラン策定時に行った実態調査の結果からは、本人の希望する暮らし方の実現を支える仕組みづくりや緊急時等の支援体制の整備、複合課題に対応するための関係機関の連携など、様々な課題が見えております。課題に対する具体的な取組としましては、グループホームの整備補助や大田区立障害者福祉施設整備基本計画に基づいた生活介護施設など、日中活動の場の整備、介護者の緊急時に頼れる場所としての短期入所事業の充実などを鋭意進めております。また、ライフステージによって変化していく支援ニーズや障がい者と高齢の親など複合課題を抱えた世帯の支援などに対応するため、重層的支援会議を開設するなど、関係機関の連携強化も図っています。引き続き、障がいのある方やそのご家族、関係者の皆様のお声を伺いながら取り組んでまいります。

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