公募無しで80園近く保育園が作られてきたことに対して【大田区】
こんばんは。大田区議会議員のおぎの稔です。本日は、先日の決算特別委員会で取り上げた保育園についてです。
認可保育園の解説は国や都の補助金もいれると1園一億円近くかかります。そうした中、民間委託や公有地の活用ではない純粋な認可保育園の新設にあたり、大田区は5年間で77園を作る中、公募を行ってきませんでした。「保育園を作ろう、増やそう」という大合唱の中、保育園を増やすことは大事ではありましたが、そのやり方が正しかったのか。疑問の目を持つ必要があります。
先日は、株式会社グローバルキッズ保育園の保育指数水増しが話題になりました。
グローバルキッズが保育士数水増し、施設運営費を不正受給 豊島区などが1600万円返還請求へ
この件だけではありませんが、グローバルキッズも含めた上位6社がさきほどの77件のうちの半分を作っています。そしてこの上位6社は公立園の民間委託には入っていません。
区民の皆さま、事業者の皆様に疑念を抱かせかねないと思いますが、いかがでしょうか。
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★認可保育園について
① 東京政策フォーラムの荻野稔です。本日は福祉費、子育て支援の点から保育園について伺います。平成29年開設分から令和3年までの間に大田区の認可保育園は約90園開園してきました。このうち、公募によって募集し開園した園、公募以外の形で開園した園の内訳を教えてください。
【答弁】
平成29年4月から令和3年3月までに開園した円は民営化した園も含め91園で、そのうち公募によって事業者を決定した園は14園、事業者から土地や建物の確保を前提とした整備計画を提案させる「提案型」は77園となっています。公募の内訳は公有地の活用や再開発計画などによる公募は4園、区立認可保育園の民営化に伴うものが10園となります。
② 今のお話ですと91園。既存の園から民営化したものが伴うものが10件、公有地の活用や再開発が4件公募。その他の、純粋な新園の解説が77件でその全てが公募を行なっていない、提案型で開園となります。この5年間に開園した保育園の大半が公募ではなく事業者の提案型である理由について、お答えください。
【答弁】
他の自治体に遅れることなくスピード感を持ち、かつ透明性を担保しながら一日も早く待機児童を解消することがこれまでの区政の重要課題でした。それには、それまでの区施設の転用や公有地等を活用する公募型の整備では充足できなかった必要数を補うため、近隣自治体と同様に民間施設や民地を活用する株式会社など多様な法人による提案型の整備が必要でした。
③保育園の開園については区が費用を出し、また国や東京都の補助金も出ているものと思われます。内容としては保育対策総合支援補助金、これは内装工事費です。保育所等整備交付金、これは建築費です。建設後は事業者の資産となります。5年間での保育園開設の補助事業の総額はいくらになるでしょうか?
【答弁】
新規施設整備に関する補助金額の合計は、5年間で約116億円となります。国や東京都の補助率が計画によって異なりますが、このうちの区の負担額はおおむね1/6(15%から18%)程度となっております。
④116億円で補助率を考えると概ね、大田区としては17億から20億円ほど。費用だけで見れば、1園につき1億円を超えるかなと思います。決して少ない金額ではありません。
大田区の認可保育園の新園の採択状況を見ると、先ほど申し上げた76園のうち、約半分の園が上位6社によって占められています。皆様も大田区内の保育園の名前を見ると〇〇これは企業名ですが、、企業名、その地域名の保育園がとても沢山あるとお気づきだと思います。
この5年間での数字ですが、
平成29年から令和3年4月、開設決定分を含めると
グローバルキッズ保育園10園
このえ保育園7園
キッズラボ保育園7園
にじいろ保育園8園
さくらさくみらい保育園6園
みらいく保育園5園
これは提案型だからこうなるのではないでしょうか?公募を行っている他の自治体はもっとバラけています。実際に、23区の中でもここまで極端に公募が少ない自治体は大田区くらいです。他の自治体も保育園を沢山作らなければなりませんでしたけど、公募もやっているんですよ。
更に、いうと今の上位6社は公募を行った公立園の民間委託については殆ど入っていません。
他区の募集要項を見ると、自治体が保育園の整備エリアについて、保育ニー ズをふまえ、町名・丁目まで細かく定め、その定められたエリアにて保育園が開設可能な要 件を満たすテナント物件や土地(その上に新規に建築)できる物件を行政に持ち込んで、提案するのが「提案型」になります。
そうした提案のための募集の要項、事業者などへの説明、案内はHPや事業者への説明会、区の窓口など事業者に対する機会は開かれていたのでしょうか。
【答弁】
公募型の場合は区ホームページでの周知や募集要項を公開し、広く事業者の募集を行ってまいりました。一方、民間施設や民有地を活用して開設する「提案型」の場合は、不動産に関する情報や所有者との交渉が必要になるため、保育事業者と不動産関係者かの連携、協力が不可欠です。また、事業計画に関する相談や提案については、秘密保持の観点から事業者から直接提案を受ける方法を取ってました。事業者から提案された開発計画等については、待機児童解消に有効かつ適切と認められるかなどを審査するため「保育施設の解説等に係る選定要綱(平成26年8月8日決定)」に定める申請書等を提出させ、選定委員会で内容を審査することにより、客観性や公平性を確保した適正な選定を行ってまいりました。
⑤
今、お答えになった要項や選定委員会は業者も場所をきまって、実際に作るときの透明性だと思います。その前の入り口、募集の部分の透明性がしっかりと担保できていなかったのではないかと私は思います。こうした部分がブラックボックスのように見えてしまう部分もあると思います。保育園の整備を急ぐために、提案型だったとのことですが、普通は時間を切って募集するんです。何年もずっと募集して随時募集。それなら公募しても良かったのです。随時募集はそれだけ必要だったということですからむしろ公募して広く求めるべきでした。さて、先ほど、上位6社とのお話をしました。こうした中には、先日、話題になった株式会社グローバルキッズによって開演された保育園もあります。こちらは報道でも取り上げられましたが、保育士数を水増しして都内8区に報告し、違約加算金を含めて少なくとも計約3400万円の返還を求められているとのことでした。大田区内にある保育園でもこうした問題があったと聞いています。今回の件を受けての大田区での対応、影響についてお答えください。
【答弁】
区では認可保育所2園、認証保育所1園、計3園において、不適正な職員配置及び運営費等の不正受給が確認され合計で3271344円を返還させました。また、変換に先立ち同社が運営する区内15園について、特別指導検査を実施し、同様の不適切な人員配置がないことを確認しております。この件に関連して保護者から数件の問い合わせはありましたが、保育現場への影響が生じていないことを事業者から確認しております。
⑥ 公募をしてこなかったことと今回の問題の関係はわかりません。上位6社と言いましたが、他の5社はそうではなかったので、ただ、公募をしていなければ疑問が残ってしまうのも事実です。さて、待機児童の問題が話題になり、この間区は、保育園の開設に注力をしてきました。
保育所整備には様々な形があります。大田区は既存施設の民営化は行っておりましたが、既存施設の活用より、新園の開設に力を入れていたように思います。例えば幼稚園などの既存施設の弾力運用にあたる、認定子ども園は現在、大田区にはありません。この理由についてお答えください。
【答弁】
認定こども園は、保育事業者の参入意向により開設や移行されるものです。区においてはこれまで参入の意向がなかったため設置されてございません。
⑦一園の整備には、全てが大田区の負担ではありませんが一億円近い費用がかかる。また、必要性があったとはいえ、そうした事業が公募という形を取らずに多数整備されてきたことは、区民から見ると不透明な中で決められる形に見えます。機会は平等だったのか。税金の取り扱いとして適切だったのか。国や都の補助金も入る事業なのだから余計にそうした点については考える必要があ理ました。
更に言いますが、非公募での問題点は、透明性・公平性・事業者の受益の機会の平等が担保されていません。問い合わせがあった事業者に対個別に対応をしていたとのことですが、これでは所謂「お得意様枠」「優先枠」を設けるなど、いくらでも情報を事業者に対してコントロールできる、便宜をはかりやすいように見られてしまいます。そういう誤解を受けるような行為は慎んだほうがいいです。例えば同じ社会福祉分野で区内にて介護事業所の新規事業者募集がございますが、こちらは公募が行われており、今、申し上げた公平性の確保についても、こう書いてあります。
「事業者の募集について」
補助金を活用して整備を行う事業者の募集は、サービスの質及び事業者選定の公平性を確
保する観点から公募方式により行います。
保育園が必要だ。保育園を作れ。と産めよ増やせよのようにどんどん作ってきました。待機児童がゼロになった今、やり方も変えていく必要があります。今後の保育園の開設について、私は、公募をもっと行なっていくべきだと思いますが、区の考えをお示しください。
【答弁】
保育園に入園しやすい保育基盤が整備されたことから、現在新規開設の計画はございません。今後の保育需要の変化等により新規開設する場合であっても、大幅な定員充足の必要性がない限り提案型によらず、これまでの公有地等の活用や民営化と同様に「公募」で事業者を募集してまいります。
⑧施設整備が進んだことで、待機児童は減少しました。一方で今後少子化も進み就学前児童の実際に、少数ですが、保育園全体での定員割れ、また小規模保育所では大きく定員割れも起きています。今後は新規の事業所の整備から、保育の質の担保。子育て環境や保育士の環境も含めた状況の改善、サービスの向上が求められるものと思われます。事業者の運営費の骨格とも言える公定価格は単価に対して入所児童数で支払われます。保育の需要と供給のバランスも変化していく中、保育の質の向上ついては、現場への支援が必要になります。区の見解をお答えください。
【答弁】
区は保育水準の向上のため、区立直営園のうち18園を拠点園と定め「保育連携推進事業」として、地域の私立保育園などへの支援及び連携・交流を図っております。
この事業などを通じて、区が培ってきた知識や経験、私立園が持つ独自のノウハウなどを互いに共有することで、より良質な保育の提供に取り組んで参ります。