1人の副区長に権限が集中?大田区の組織運営について
大田区議会議員のおぎの稔です。今回は大田区議会予算特別委員会にて、大田区の内部統制、副区長の管掌事務について質問しました。
私は2015年に大田区議会議員として初当選し、今まで議員の職に就かせていただきました。その時は東京都から来た副区長と、区のたたき上げの副区長の2名。その後、大田区プロパーの副区長二名体制になり、今まで区政の運営に当たられていました。これまでは組織でいうところのカネを扱う企画経営部とヒトを扱う総務部の権限を2人の副区長でわけていましたが、昨年7月に再任された副区長おひとりと、新任された副区長おひとりの体制になった際、再任された副区長にヒトとカネの担当が集中することになりました。トップに区長がいるとはいえ、計画・実行・チェックを同じ人(副区長)がやるという事で、内部統制が効かないのではないかと見られかねない状態です。区民に誤解を受けないよう、改善する必要があるのではないかと指摘しました。本来、内部統制・ガバナンスの責任は区長にありますので松原区長のリーダーシップに期待して、質問を終えました。皆様、どう思われますか?
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<組織経営について>
③組織経営において4大経営資源と呼ばれるものがあり、ヒト・モノ・カネ・情報といわれています。組織経営とはこの4大経営資源の活用が問われていると言われています。大田区において、昨年6月までは2人の副区長でヒトを所管する総務部と、カネを所管する企画経営部に権限を分けていましたが、昨年の7月からは1人の副区長が総務部と企画経営部を所管しています。言い換えればヒトとカネの権限を1人の副区長が掌握しているといえますし、ヒトとカネの権限を持つことはそこに付随するモノと情報も集まることになります。端的に言えば4大経営資源の権限を副区長がおひとりで持つという状況になっています。そこで伺います。従前は人事と財政を担当する副区長を分けていましたが、1人の副区長が担うことになりました。その理由と、それぞれの職務の分担について改めてお聞かせ下さい。
④1人で担うならば、もうおひとりの副区長は区政運営の中でどういった役割を担われているのでしょうか。財政と人事を集約することで、スムーズに意思決定、区政を進めることも出来るのかもしれません。しかし、そうなると懸命に大田区が経費削減をしている中、副区長2人体制とすることの意味がどのようにあるのか。そのことを区民の皆様の前でしっかりと説明する必要があるのではないでしょうか?
これは今のお二人の前の体制の時から続いてきた体制を、形にも見ることができますが、今まで理由があって副区長お二人で権限を分けていたのか、また、それをなぜ今になって一人に集約したのか、そうした理由について、議会に人事について同意を得た後に変更したわけですから説明も必要だと思います。
今、着任されているお二人の副区長は、それぞれ長年区役所を務められた上で、その能力を評価され、区長から副区長へと人事の同意も含めて、議会にも図られました。今までの副区長の中には東京都から来た方もいらっしゃいますが、今のお二人は昨年6月以前と同じくお二人とも、大田区に長年勤められた副区長です。その副区長の権限が昨年6月以前の形と変わったことになります。
副区長は区政に置いてその能力をどのように生かされているのでしょうか?
大田区の副区長について、ですから人事の同意、所管の変更の時はそうでも、その後時間が経った時には、区長の意思を議会で説明できる形も必要ではないかとは、思います。
権力の集中による不祥事は後を絶ちません、記憶に残る事例として日産のカルロスゴーン元会長の事件、また日大の田中元理事長。いかに優秀で高潔な人物であっても陥りがちで、権力は放っておくとさらに拡大をします。その結果、恣意的な行動に走ってしまうと言われています。今のお二人の副区長がそうだ、というわけではありませんが、そうなる危惧は常にあるということをご認識いただければと思います。
権力の濫用を防ぐためには権力を分散することが重要で、職務上担う権限が大きければ大きいほど権力の集中につながるといえます。もちろん、それで仕事が回らなくなってしまっては本末転倒ではありますが、ヒトやカネのような重要な権限はなるべく分散し、牽制しあうシステムの中で適切な経営を実現する、このかじ取りや決断こそが区長の重要な職責であるともいえます。行政運営を任される経営陣に於かれましては意思決定の際に大変なご苦労があると思います、組織経営にバランス感覚をもたせる上で副区長の権限について再度見直し、時には激しい議論も厭わず、健全な議論の中から最終的な決断を民意で選ばれた区長の責任において下す、まだまだお元気な松原区長のリーダーシップに期待し質問を終わります。