Mar 17, 2020

ゲーム時間利用制限は不要。大田区議会予算特別委員会質疑

 

 こんばんは。大田区議会議員のおぎの稔です。現在話題になっている香川県のネット・ゲーム依存症対策条例について、私も大田区議会予算特別委員会で「ゲーム依存、ゲームの利用時間制限、引きこもりや不登校、リテラシー教育」について取り上げさせていただきました。昨日の抗議声明でも取り上げさせていただきましたが、条例案の中身以前に議論の進め方や情報公開の在り方についても疑問があります。今回は条例案で語られている中身について、大田区の場合どうなのかを質問しました。東京23区の一つであり羽田空港を抱える大田区でゲーム依存症対策について間違った施策を行ってしまえば、その影響は大きく、しかもそれは子供たちの為にもならないものです。こうした動きを都内、区内に持ち込まれないよう今後も注視していきます。

 

香川県「ネット・ゲーム規制条例」パブコメの一部を公開 賛成意見1枚/反対意見81枚 自民・共産は“全文公開”を求め申し入れ

 

 

【ゲーム依存症対策・利用制限】

【質問説明】

 まず香川県でも物議を醸しているゲーム利用制限について。行政が家庭に立ち入るべきではないこと、また特にエビデンスも不明である事を指摘しました。大田区からは家庭でルールを作り子供たちが守る事が必要と回答。具体的にはネット、SNSなどでの使い方にはSNS東京ルールがあり、各校、各家庭でルールを作ってもらっている。大田区もそちらに沿って家庭での取り組みをお願いしているとの回答でした。ルールも何もいらない、無制限で良いというわけではありませんが、各家庭、学校にいる間は学校のルールに沿って子供たちにもネット・SNSを利用して頂きたいですね。

SNS東京ルール 東京都教育委員会

【質問文】

 ネット・ゲーム依存症対策について伺います。「子どもたちを始め、県民をネット・ゲーム依存症から守るための対策を総合的に推進するため」という趣旨のもと香川県議会で「香川県ネット・ゲーム依存症対策条例」が現在審議されています。こちらは秋田県の大館市も追随すると報道されました。大田区の考えについてもお聞きしていきます。

  香川県の条例素案には「子どものスマートフォン使用等の制限」という項目があり「ゲーム依存に繋がる様な利用について1日あたりの利用時間制限が60分まで、学校の休業日にあたっては90分まで」義務教育修了前の子どもにおいては、「午後9時まで、それ以外の子どもについては午後10時までに使用をやめることを基準とするとともに、前項のルールを遵守させるよう努めなければならない。」とあります。

 このゲーム依存につながるような利用というのもよくわからないのですが、そもそもWHOも「ゲーム障害は1年以上ゲームにより社会生活に影響がある状態」、また「ゲーム障害はゲームをする人の中でごくわずかだ」としており、かなりレアケースである事を示しており、一定年齢の子供すべてに条例で規制をかけることは過剰な規制です。スマートフォンやインターネットの利用については、家庭での話し合いを行うべきです。家庭の自主性、プライバシーを尊重すべきであり、条例という形で利用制限のような個別具体的に行政が家庭に踏み込むべきではありません。

  一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会をはじめとするゲーム業界4団体は条例などによる「一律での時間規制」について、「(一律で規制するのではなく)保護者と相談して未成年者が主体的にルール(約束)を作ることを推奨する」と意見表明をしました。大田区でもeスポーツについて、他の議員からの質問に対して「国や他自治体の動向を踏まえ、区の施策への活用について研究をしてまいります。」と回答があった所です。

 また、国においてもゲーム依存症と利用制限の関係について、依存症の防止に「ゲーム時間の制限に係る有効性及び科学的根拠は承知していない」と時間制限の有効性を否定する質問主意書への回答もありました。  国際都市おおたとして、羽田空港を抱える首都東京の空の玄関としてこのような時代と逆行した考え方は採用すべきではありません。子供がゲームなどに夢中になっている家庭での利用や使用の仕方について大田区の見解を伺います。

 

【不登校・ひきこもり】

 

【質問説明】

 続いて、不登校や引きこもりとゲーム依存の関係について。実際の大田区の実情とゲームを一方的に取り上げることがひきこもりや不登校の解決に繋がらない事を指摘しました。大田区からは不登校の主な理由はいじめ以外では家庭や学校、友人関係を理由にするものが大半。これは東京都も大田区も共通している。また、大田区の特徴としては小学校では家庭の理由が最も多いとの事でした。ゲーム依存との関係は今後、注視していくとの事でしたが、どう考えても条例で規制をするような割合にはならないと考えます。

【質問文】

 

   次にひきこもりや不登校とゲーム依存について質問します。香川県の条例を巡りあたかも問題がゲームにあり、ゲームをやり過ぎている中で、ひきこもりや不登校になってしまったかのような議論がありました。では大田区はどうなのでしょうか?大田区内での子供の不登校の原因について伺います。②

 

 結果として不登校やひきこもりになってしまっている方がゲームやネットに集中している事はあるかもしれませんが、原因ではなく因果関係は逆です。そもそもゲームやネットを子どもから取り上げてしまうことが、不登校の子供にとって良いことなのか根拠がありません。一方的に「ネットやゲームが引きこもりの原因になっている」と断じる事は問題です。 

 子どもたちの不登校や引きこもりの理由は、ゲームが好きだからではありません。生きづらい環境があって不登校や引きこもっているのです。そこが子供にとって自分の唯一の居場所になっているかもしれないのに、インターネットやゲームを取り上げてしまう、またそうしたメッセージを自治体が出してしまってよいのでしょうか?

 依存症の治療の中のプランの一つとして、ゲームの利用制限はあるかもしれませんが、個別に行われるべき事であり、条例に書くべきことではありません。何か病気に対する法律や条令で、医療費の助成やその他支援はあっても「○○病の患者は一日3回、朝昼夜の食事後、薬を飲みましょう」とはしません。ゲームに夢中になってしまい、他の事に手がつかないのなら、無理やりシャットアウトするのではなく、ゲーム以外の目標を作り、ゲーム依存から脱却していくよう支援していく必要があると思います。

 

【リテラシー教育】

 

【質問説明】

SNSなどを介したいじめなども社会問題になっていますが、最近はソーシャルゲームやチャットアプリ、動画サイトやネット上のコミュニティーでのトラブルに子供が巻き込まれるケースも出て来ています。こちらは一見、通信・連絡のためのツールな為、保護者や先生からも気づきにくいのが難点。大田区に対して調査と啓発をするよう提言しました。区からは、現在も生活指導や年一回の保護者への働き方などを行っているが、次年度の区立学校での実態調査の中でも取り組んでいくと回答がありました。

【質問文】

  次にリテラシー教育について伺います。

  私が学生の頃も、出会い系や成人向けサイトからの架空請求などが問題になってましたが、現在では、通信アプリやSNSを介してのいじめや犯罪との関わりが問題になっています。実際にゲームを遊んでいないと気づきにくいのですが、最近はチャットアプリやゲーム内でのチャット・メッセージ機能、動画サイト、実況動画やゲームなどの掲示板、コミュニティなどで問題が生まれています。

 ゲーム内アイテムやアカウントの不当に高額な取引であったり、暴力、性犯罪、不当な勧誘など子供が巻き込まれていく犯罪は様々です。これらが難しいのはSNSや通信アプリ以外での、ゲームや動画サイトなどで起きているという事。通信ツールでなく、ゲームなどである為一見、気づきづらいという点です。 子供たちの現状の調査と共に、保護者や学校でのリテラシー教育の中で、こうした危険についても触れていく必要もあると思います。大田区の取組と見解を伺います。③

 

新型コロナウイルス感染症による一斉休校や長期休みなどに子供が犯罪に巻き込まれないよう、取り組みを要望し質問を終えます。

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