Jan 8, 2020

小説でも児童ポルノ製造罪?表現規制は誰のためか

 

 こんばんは。大田区議会議員のおぎの稔です。本日は昨日、飛び込んできた衝撃的なニュースについてのご説明です。小説といった文字での表現で逮捕されるのは、とても珍しい案件で私も驚いております。

 

父親が娘に性的暴行するシーン」を書いた小説家が「児童ポルノ製造容疑」で逮捕される

 

児童を被写体としたポルノである「児童ポルノ」の定義は国によってまちまちで、孫が水浴びしている写真をPCに保存したり、児童の性描写を含むマンガをPCに保存したりするだけで罪に問われる場合もあります。2019年4月、カナダ・ケベック州の小説家は「父親が娘に性的暴行する」という内容を文章で描写したことにより、「児童ポルノ製造容疑」で逮捕されました。

Quebec Author Charged with Child Porn Over ‘Hansel and Gretel’ Retelling – VICE
https://www.vice.com/en_ca/article/3a8nv3/quebec-author-yvan-godbout-charged-with-child-porn-over-hansel-and-gretel-retelling

問題となったのは、2017年9月に出版されたケベック州の作家イヴァン・ゴッドバウト氏の著作「Hansel et Gretel(ヘンゼルとグレーテル)」。この作品は同じタイトルのグリム童話「ヘンゼルとグレーテル」にホラーテイストを加えたリメイクです。ゴッドバウト氏の「ヘンゼルとグレーテル」には「父親が娘に性的暴行を行う」という描写が含まれていましたが、その描写も「たった1つの段落」に限られており、写真やイラストなどの視覚的描写はなし。内容自体も性的興奮をあおるというよりも、恐怖をあおるものでした。

 

 カナダは元々、表現規制について厳しい国で被害者や被写体となった当事者の存在しないマンガやアニメなどの創作物に対しても性描写や暴力表現などに厳しい国でした。他の国でも表現物に対しても規制の厳しい国は存在しますが、日本は特に創作物についての規制については慎重な国です。一方で何の議論もされていないというわけではなく、国内でも表現規制問題、表現の自由を巡っては様々な議論が行われてきました。非実在青少年問題、児童ポルノ禁止法、メディアでも取り上げられたことがありますので覚えていらっしゃる方もいるのではないでしょうか?。

 

・第2回「日本のマンガが海外から児童ポルノ扱いされてきた時代をご存知ですか?」

(毎日新聞 2008 1202)

・THE-OTAKU議員:第4回 「いい加減、オタクのせいにするのはやめませんか?」

 

 ニュースを読む限り、カナダの国内でもこの件についてはやりすぎだ、という意見もあるようで、慎重に経過を見守りたいのですが、日本でも対岸の火事ではありません。表現への弾圧、規制、そうした点において厳しい目を普段から向けておく必要があります。現場の警察・捜査機関の人間の感覚、主観、判断によって、逮捕されてしまう事も起こり得るからです。

 今回のように文字だけで違反、違法となれば性描写だけでなく暴力描写、犯罪描写、戦争なども含めれば、映画などの映像作品だけでなく、古今東西の文学、小説、神話、果ては聖書でさえ違法となりかねません。これは古代の焚書坑儒、ナチスドイツや戦中の日本が行った言論弾圧のような、とんでもない事です。言論弾圧を既に経験している日本では尚更、真面目に考えていかなければならないのです。

 

2019年3月、ゴッドバウト氏の作品を読んだひとりが、この描写が問題だとしてケベック州警察に通報しました。通報を受けた当局は、2019年4月にゴッドバウト氏と、出版を担当したニコラス・ドゥーセ氏を児童ポルノ製造・配布容疑で逮捕しました。絵画などの視覚的作品に対する児童ポルノ容疑の起訴には先例が存在しますが、文学作品が対象となったのは初めてのケースだとこの一件を報じたViceは記しています。

カナダ最高裁判所の判例によると、表現に関する児童ポルノの適用は「『その作品によって、子どもが性的暴行を受けるリスクが増加する』ということを立証できる場合」に限られ、「『芸術』として妥当だと考えられる場合」は適用外。つまり、本件が児童ポルノ製造罪にあたると立証するためには、「ゴッドバウト氏の『ヘンゼルとグレーテル』は芸術に値しない」「『ヘンゼルとグレーテル』は小児性愛者(ペドフィリア)の欲望をかき立てる恐れがある」という2つの要件を満たす必要があります。この難題について、Viceは「立証はほぼほぼ不可能」「逮捕が行われるべきではなかったという重要な疑問を提起している」という見解を示しています。

 

 

 表現、言論の自由、検閲などに繋がる問題もあります。しかし、貴重なリソースを割いてしまって良いのでしょうか?そんなことをして、現実の子供は救われるのでしょうか?こうした取り締まりをする事で、犯罪が減ったり、被害者が減る事があるのでしょうか?

 私は、実際の被害者のいる児童ポルノなどについては、被害者の救済や児童ポルノの製造について厳しい態度をとるべきだと考えています。一方で創作物は、そもそも被害者の個人の権利を守る法律の趣旨(個人法益)にもそぐわない事や表現、内心の自由、広くマンガアニメだけでなく芸術作品なども関わってきてしまうため、規制には反対をしています。

 

今後も大田区、東京、日本の中の表現の自由の問題、また時には海外の会台についても目を向けていきたいと思います。

●関連ブログ

「表現の自由を守るための約束」に賛同します。

 

政策マンガ20弾 自治体と表現の自由の関係編

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おぎの稔は大田区から、表現の自由を守ります。

 

大田区議会議員 おぎの稔 公式サイト➡https://ogino.link

 

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