決着は司法に。大田区の領土問題。中央防波堤の帰属について
こんばんは。おぎの稔です。
本日は大田区議会史上、稀な日曜開催の臨時会が開かれました。
先週の台風被害による多摩川河川敷の復旧などのための補正予算や、中央防波堤を巡り都からの調停案を受諾しないとする議案、中央防波堤の帰属をめぐる境界確定に関する訴えの提起についての議案などが成立しました。
国内の領土問題とも揶揄される「中央防波堤埋め立て地帰属問題」、先日発表された東京都からの調停案は13.8%を大田区、86.2%を江東区にとの内容でしたが、大田区は主に以下の理由から受諾に値する合理的な案だと判断できませんでした。
・現在の水際線を基準に等距離線の採用がされた事。※これが認められると、埋め立てれば埋め立てる程一方の自治体が有利になり、面積が増え続ける事になります。
・かつて多くの区民が現場の海域でのりの養殖を営んでおり、経済だけでなく生活の場としていた歴史的背景が考慮されていない事。
これにより大田区は、司法の判断を仰ぐことを決定、区議会も可決をしました。
今後は江東区を相手どり境界確定の裁判を行う事になります。
71号議案東京都自治紛争処理委員からの調停案を受諾しないとする議案については、私も会派を代表し、討論を行いましたので宜しければご確認ください。
委員会、本会議でも議論が行われ、当日も複数会派から討論が行われることもあり、論点をかなり絞った討論になっています。
第3回定例会から、連続して日曜議会・臨時会の準備となり、会派の幹事長としてもこの間フル稼働でしたが、その分得難い経験をさせて頂き勉強になりました。
この議案、写真にもあるように代表者大田区長を『原告』、江東区長を『被告』とした議案になっています。
都内で帰属をめぐって裁判まで発展するのは初めてとの事です。
長い時間が掛かるかもしれませんが、オリンピック・パラリンピックの事だけでなく、両区の将来も見据えた上で、司法の場で公正かつ合理的な境界線確定が行われることを願っています。
また、大田区議会議員として議案成立に関わった一人として、今後の流れや動きを注視していきたいと思います。
大田区の説明などは、下記リンク先などをご覧ください。
〇大田区長のコメント
中央防波堤埋立地の帰属問題についての大田区長コメント
中央防波堤埋立地については、帰属問題の解決に向けて、両区の実務者による協議を重ねましたが、両区の主張が平行線であったことから、区議会の同意をいただき、7月18日に、東京都知事に調停申請をいたしました。
その後、10月16日に調停案が示され、本日、大田区議会臨時会において、東京都自治紛争処理委員による調停案を受諾しないこと、及び、境界確定の訴えを提起することが決定されました。
東京都への調停申請にあたっては、合理的な調停案であれば受け入れることを前提としており、このことは関係者間で確認をしております。
本区といたしましては、調停案の内容については十分分析するとともに、専門的な見地からも検討を重ねてまいりました。
その結果、受諾に値する合理的な調停案と評価することはできませんでした。
今般の調停案では、現在の水際線による等距離線を基準に境界を確定させており、この手法では、これまで広く埋立地を編入してきた自治体が、今後も多くの面積を編入し続けることになり、極めて不合理であると考えております。また、現在の水際線を基礎とした等距離線を基準に境界を確定することは、司法の場においては例のないことと認識しております。
私は、72万区民を代表する大田区長として、当該係争地域の歴史的沿革を正しく評価し、境界を確定すべきと考えています。
このため、今後は、司法の場において、公正公平かつ合理的な解決をめざしてまいります。
http://www.city.ota.tokyo.jp/kucho/index.html
〇中央防波堤埋め立て地帰属問題について 大田区議会 全会一致の決議(区議会だより 号外)
〇大田区が調停案拒否決議、人工島帰属めぐり裁判へ
東京湾の人工島「中央防波堤埋立地」の帰属をめぐり、大田区議会は都の調停案を受け入れず、裁判を起こすことを議決しました。
東京湾の中央防波堤埋立地の帰属をめぐっては、東京都が、「江東区はおよそ86%」、「大田区がおよそ14%」とする調停案を示していました。これについて大田区議会は29日、「現在の海岸線を基準として境界を定めることは極めて不合理」などとして、受け入れないことを全会一致で可決しました。
「受諾に値する合理的な調停案と評価することはできませんでした」(東京都大田区・松原忠義区長)
大田区は年内にも江東区を相手に裁判を起こす方針です。都の調停が「不調」となって帰属が裁判で争われるのは初めてです。
2017.10.29 TBSnewsより
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3197438.html
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〇71号議案 賛成討論
たちあがれ・維新・無印の会は第71号議案「東京都自治紛争処理委員による調停案の取扱いについて」東京都自治紛争処理委員による調停案を受諾しないとする本議案に賛成の立場から討論を致します。
10月26日付の読売新聞の記事には江東区の山﨑区長のコメントとして「大田区長と、調停案がどのような内容でも受諾しようと約束した」と書かれていますが、これは不正確な記述であり、正しくは大田区と江東区が、双方にとって合理的な調停案が示された場合はその勧告を受諾するものとし、調停申請を行った事をまず申し上げておきます。
その事実を踏まえた上で、東京都自治紛争処理委員より示された調停案をかえりみますと、境界線の取り方など様々な点において、大田区のこれまでの主張、また大田区議会全会一致で可決した全島帰属を求める決議と比較しても、到底受け入れる事の出来ないものです。
「オリンピックがあるのだから争うなんて」「帰属を確定させてオリンピックをちゃんと迎えよう。」という声もあるでしょう。
確かに、大田区が江東区と調停の申請を進めた経緯には、中央防波堤に東京オリンピック・パラリンピックでボートやカヌー、馬術の競技会場が設けられる事からも、両区で早期解決を図る必要があったことがありました。
しかしながら、それはあくまで合理的な調停案が出てきた場合に限ります。
合理的でなく、なおかつ道理の通らないものについては、受け入れの是非を検討する余地はないと言わざるをえません。
また、今回の中央防波堤帰属をめぐる問題は、オリンピック招致が決まる以前からの懸案事項であり、場合によっては帰属が最終的に確定しなくてもオリンピックの開催は可能です。
性急に解決を急ぐあまり、大田区のためにならない結論を受け入れたことで、禍根を残すようなことがあっては、本末転倒な議論といえるでしょう。オリンピックが終わった後も、大田区民の暮らしは続いていく事を忘れてはいけません。
都民はもちろん、国民が一丸となってオリンピックを盛り上げることは重要ですが、そのことは区民の生活を二の次にしてよいということを意味するわけではないからです。
2020年という近い将来の事だけでなく、私達の子、孫、その先の大田区民の事も考えるのであれば、調停案を受け入れる選択肢はありません。
他の委員からもご指摘のあったように、今回の調停の結果は多分に政治的な意図、非合理的な事情が見え隠れします。
我々としましては、こうした政治的意図の影響を受けない公正な司法の場で、その判断・是非を仰ぐべきであると考えます。
松原忠義大田区長のリーダーシップの下、大田区の主張の正当性・合理性を証明し、区民にとっても納得のいく、真に合理的な境界線の確定を求めるよう出訴する事を要望し、討論を終えます。ご清聴いただき有難うございました。
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