被害者置き去りのまま起こったTAAF騒動
本日は、NHK等で報道にも取り上げられ、話題になった東京アニメアワードフェスティバルを巡る騒動について、クリエーターの作品を救済し、日本のアニメ、マンガ支援事業を停滞させない為にも今回の騒動については、まず当時者双方の意見を聞かせて頂くべきだろうと一般社団法人日本動画協会様、東京アニメアワードフェスティバル実行委員会様とお話をさせて頂きました。
渦中のディレクターからも一度、お話を聞かせて頂きましたので、問題の当事者双方からお話を聞かせて頂いたことになります。
東京アニメアワードフェスティバル2016についての報道
2016年03月25日 (金) NHK ONLINE
http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/700/240810.html
アニメ映画祭で応募作の4割が未審査に
東京都が共催となって今週まで開催された「東京アニメアワードフェスティバル」で、コンペティション部門に応募された作品のうち、およそ4割にあたる357作品が組織運営を巡るトラブルから審査されないままとなっていたことが分かりました。
「東京アニメアワードフェスティバル」はアニメ制作会社などで作る日本動画協会などが主催する国際的なアニメーション映画祭で東京都も共催として運営費のうち5000万円を負担しています。
フェスティバルの実行委員会によりますとコンペティション部門の募集を担当していたディレクターとの間でトラブルがあり、当初、応募があった357作品を入手できなくなったということです。
このため別途、募集したおよそ550作品の中から優秀作を選び、今月21日のフェスティバル最終日に発表したということです。
NHKの取材に対し実行委員会は「ほかに方法がなかった。応募者からの苦情は来ていないので、理解してもらえていると考えている。クリエイターやファンにはご心配とご迷惑をおかけし大変申し訳ない」などとコメントしました。また、東京都観光部振興課の若林和彦課長は「このような事態になったことは大変遺憾だ。審査されなかった作品は来年のフェスティバルで審査されるよう、主催者に働きかけていく」と話しています。別の映画祭の企画・制作に20年以上携わってきた「ぴあフィルムフェスティバル」の荒木啓子ディレクターは「映画祭はよい作品を発見することが大きなテーマでそこに最もエネルギーを使うので、こうした事態はこれまで聞いたことがない。作品は1つ1つが情熱を込めて作られており、応募を受け付けたのなら最低限、最後まで見なければ映画祭が成り立たないのではないかと思う」と話しています。
●被害者は誰なのか?
係争も含めて、現在トラブルが起きている話なので、どちらか一方の立場でについて良い悪いを語る事はしません。後で書きますが、契約や協議、交渉など、社会通念、一般的な感覚とのズレも、一因をだったのだとは思います。
私は、年明けからこの騒動を外から見守ってきました。
実際に、今回、当事者や東京都の担当者ともお会いし感じたのは、クリエーター、作品への配慮、愛が足りていなかったのではないか?という事です。
双方に言い分もあると思いますが、罪のない300以上の応募作品が日の目を見ずに埋もれてしまった事、こうした騒動に巻き込んでしまった事をまず謝罪し、こうした事態を回避する為に全力で取り組むことが、必要だったと思います。
その姿勢も打ち出すべきだった。
騒動当事者や東京都ではなく、作品であり、クリエーターこそが被害者なのです。
作品を一つ作る上で、どれだけの熱意と時間、費用が掛かっているのか、どれだけの想いが込められているのか。
係争、メディア報道への対応と共に併記される事はありましたが、その点についての経緯説明と謝罪の態度が見えにくかった事は非常に残念です。
クリエーターー達からすれば、どちらが悪いか、正しいか。
その事は関係なかった筈です。
勿論、両者間のトラブルにも関係がありませんでした。
それなのに被害を受けた方がいる。
埋もれてしまっている作品がある。
まず、何よりその事を考えるべきだったと思います。
●内輪の慣習や慣例の恐ろしさ
詳細は伏せますが、今回の騒動がここまで長引き、また多数の関係者を巻き込むまでにいった事に、社会通念上通用しないような取り決めがありました。
改めて、時系列を整理しながらお話を聞いても、一般社会で当然の法的な手続き、協議を踏んでいればここまでの騒ぎにならなかっただろうと思います。
お互いに事情もあり、立場的にも感情的にも後に引けなかったのかもしれません。
だからこそ、冷静な第三者の力を借りるべきでした。
共催であり、業務委託として5000万円を支払っていた東京都が、この間、調停出来なかった事に責任はあると思います。
●今後
まず、現在、宙に浮いてしまっている作品をどう救済するか、国内外の迷惑を掛けてしまった関係者への信頼をどう回復するかが必要です。
係争は然るべき場所で然るべき決着をつけてほしい。
それとは別に、再発防止の為の体制を構築し、フェスティバルや、自治体、行政の行うコンテンツ振興策をどう考えていくか。
東京都も含め、考えていく必要があります。
●自治体の業務委託について
最後に、私が大田区議会議員として感じたことを書きます。
自治体が業務委託事業等のトラブルに巻き込まれた際に問題解決をどのように行うか。
これだけのイベントを巡るトラブルは珍しいのかもしれませんが、工事などの契約案件などで、期間が延びる、価格が高騰していく事は珍しくはありません。
自然災害、天候等の要因や、人件費、原価高騰など致し方無い事も多くあります。
その際、いつ報告があり、どのように自治体は聞き取りや調査をし、どんな予測や経過、対応等の報告を受けたか。
価格上昇などの際は議会にも報告があり、委員会では理事者から説明は受けますが、その要因について、時期と自治体側のアクション、反応も含め残し、庁内で共有する必要もあると思いました。
今回のTAAF騒動、一部報道によると、都側は(当事者から)報告は受けている、問題は起きていないと、途中語っていました。
結果論ではありますが、本当に問題はなかったのでしょうか?
東京都の出来る対策は本当になかったのでしょうか?
細かい契約、取り決めについて事前に精査し、途中でも、社会通念上おかしな取り決めや進行にならないよう監督できる制度、体制を作らなければならない。
また、業務委託についても、自治体や省庁などは委託した以上は、契約に沿って履行させるよう監督する責任があるという意識を強化していかなければならないと思います。
少しでも早く、寄せられた作品たちが救済されることをお祈りいたします。
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●一般社団法人日本動画協会 HP
●ディレクター 江口氏 見解
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大田区議会議員 おぎの稔
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