【待機児童】大田区はどのように保育サービス強化に取り組んできたのか?
大田区議会 予算特別委員会で、待機児童問題に関連し、大田区の保育園、保育サービス拡充の取組について質問しました。
●定数増の推移と待機児童
質疑&答弁にもありますが、
・大田区昨年の待機児童数は年齢別に0歳が48名、1歳が70名、2歳が18名、3歳が18名、4,5歳が0名というのに加え、
・556名の定員増を確保出来る見込みの内、0歳児33、1歳児200、2歳児144、3歳児60名、4歳児49名、5歳児70名
と細かい数値が示されました。
・利用児童数の推移も、H23年度8709からH27年度10457名と、利用児童数も絶えず増え続けています。
以前のブログでも3歳児問題について触れましたが、1~2歳に集中的な対策を行った結果、3歳児問題は起きてしまう構図になります。
区も来年以降は対策を強化するとのお話でした。
幼稚園もありますが、区から親御さんに対してあなたは保育園、あなたは幼稚園と勝手に振り分けが出来ないので、ある程度、下の年代に合わせて、定員割れをしようと、4~5歳も増やす必要があります。
定員の増やし方についても、様々な点で課題はあると思います。
増え続ける保育ニーズにどう対応していくか、認証保育所に通う世帯への補助強化による、経済的な理由によって認証に預けられない家庭の減少。(他にも理由はあると思いますが)
サテライト保育(駅前等でお子さんをまとめてお預かりし、バスで保育園に送迎、23区では江東区が実施)や、駅前保育預り所、保育ステーションの設置。
ファミリサポートの更なる拡充等、地域間格差、移動の困難さによる保育園附則を是正し、一人でも多くの待機児童を減らしていっていただきたいと思います。
また、どれだけ待機児童を減らせた・・といっても、実際に昨年も154名の待機児が存在します。
その上、今年も申込数が昨年より、増えています。
都心部で増え続ける保育ニーズについて、根本的に対策を追いついていおらず、今後とも、ニーズが減った時に、別の利用が出来るような形を検討しながら、保育サービス拡充を図って頂きたいと思います。
都心、東京への人口流入がオリンピック後まで続くという予想も出ています。
若い世帯、生産人口をしっかりと大田区に呼び込み、住み続けて頂くためにも、若い世帯への支援は重要になってきます。
区の方針。
しっかりと育休制度を使ってもらう代わりに、0歳児を抑えて、1歳、2歳を集中する。
戦略は判りますが、育休を利用できない親御さんも沢山います。
私が0歳児の拡充に拘るのは、ご相談いただく方が自営業者や非正規労働者のような、育休制度の活用が困難か方々が多いからです。
現に、区の方針があったとしても、2番目に待機児が多い年齢層は0歳である事は動かしようのない事実です。
対策、支援の拡充は必要です。
確かに0歳には他の年齢に比べて、国の保育士配置の基準の厳しさがあります。
扱いの難しい、より慎重な対応が求められる0歳児には保育士一人当たりの配置基準も厳しくなります。
加えて私はして、慎重な対応が求められるからこそ、経験のある園、保育士が求められ、0歳児クラスの増設を積極的に行いづらい事情もあるのではないかと考えています。
だからこそ、保育士の定着率、離職率を下げ、経験豊富な保育士の確保が必要になってきます。
経験豊富な中堅、ベテランがどんどん抜けて行ってしまう業種があまり良い業種だとは思えません。
単に、園の増設という点だけでなく、0歳~2歳と、待機児童の多い年齢層への保育定員拡充強化を行っていく為にも、保育士の待遇改善も必要ではないでしょうか?
入所マッチングのような、区の側から能動的に情報提供、待機児解消に向けた積極的な行動には大きな意義があります。
今後も、引き続き行っていただきたいですが、根本的な対策についても避けては通れません。
●働く親御さんへの支援について
働く親にとって負担の大きな家事の一つに、「食事の準備と片づけ」があり支援があればありがたいというお話を聞きました。
子育て中のお母さんたちからお話を聞くと、アレルギーのような問題だけでなく、食品添加物・栄養バランスへの意見・手料理を食べさせたいという意見も多くあるようです。
潜在的に「手作りしてあげたい」と思っても、実際は時間・体力面の制約もあり、難しい方が多いと聞いています。
夕方のお迎えの時に、子供と惣菜を持ち帰る事が出来れば、親の家事負担軽減にもつながる事から、未就学児を持つ働く母親の家事負担を減らすために、保育園等を拠点にした惣菜の提供サービスを行う事は出来ないか?とのお話も頂きました。
毎日行く保育園ですので、新たにどこかに行く必要もなく、地域の商店街等の協力を頂いたうえで、行えば地域の活性化にも寄与するのではないか?とお話も頂きましたが、保健所など衛生面の許可、そもそも保育施設でどこまで行えるのか?と課題もあります。
営利ではなく、働く親御さんへの福祉といった点等、どこに立ち位置を置くのか?
また、様々な課題のクリアが出来るのであれば実施に向けた検討の余地はあるそうです。
様々な点から、保育サービスの拡充、働く親御さんへの支援を今後も要望していきます。
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以前のブログ
新たに起きた大田区の保育園三歳児入園問題について
保育園ふやしたい@大田区様の政策討論会に参加しました!
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【質疑】
東京維新の会 大田 荻野稔です。
児童福祉費、保育サービスについて質問させて頂きます、
大田区は平成21年から7年間で3883人の定員増を行っており、更に平成29年までに500名の定員増を見込んでおります。
一方で、昨年は154名と前年より大きく減らしたものの未だに待機児童は存在しております。
また、今年の認可保育園の一次の入園申込数は4514人で昨年より352人増加、承諾数も昨年より71人増加の2728名となっておりますが、一時選考で内定を貰えなかった数も1786人と昨年より281人増となっております。
都心部で増加する保育ニーズにどう応えていくかも重要な視点であると考えます。
【質問①】
そこでまず、大田区の現在の取組についてお伺いいたします。
大田区の昨年の待機児童数を見ますと、年齢別に0歳が48名、1歳が70名、2歳が18名、3歳が18名、4,5歳が0名となっております。
この間の保育園の定員増についてですが、年齢別にはどのように拡充を行ってきましたでしょうか?
また1歳児に次いで、0歳児の待機児童数が多くなっております、
区としてどのような認識をお持ちですか?お答えください。
【答弁 概要】 待機児担当課長
喫緊の課題である待機児解消を目指し、平成27年度は420名の定員増を目標として取り組み、認可3施設、認証11施設などの新規開設の他、既存施設の活用等を含め
556名の定員増を確保出来る見込みでございます。
年齢ごとの定員拡充数の見込みは
0歳児33、1歳児200、2歳児144、3歳児60名、4歳児49名、5歳児70名でございます。
また安心して育児休業を取得できる環境を整備することが重要であると考えておりまして、育児休業からの復帰により保育ニーズが集中する1歳児に重点を置いて保育サービスの拡充を図っているところでございます。
0歳児については育児休業の取得等による保育ニーズの変化を適格に把握しながら、0歳児保育を必須としている認証保育所や0歳児と1歳児を対象としているグループ保育室の計画的な整備により
定員の拡充に努めてまいります。
【質問②】
ありがとうございます。先ほど、保育園全体の年齢ごとの定数や申込数についての話がありました。
小規模保育卒園時の3歳児問題についてもお話がありました。
この定数の推移は、そのまま区の方針を示していると思います。
区の方針を区民に示すためにも、公表を検討しては如何でしょうか?
区の方針を示し、労働者にも、事業者にも育休等の制度の活用を推奨して頂きたいと思っています。
また、育休制度を利用できない、させてもらえない、非正規雇用や自営業などの親御さんたちもいます。全年齢への切れ目ない支援を要望し次に行きます。
相談を受けるという今までの姿勢から、空き定員を集約し、入所可能な保育施設を紹介する昨年度より始まったマッチングは区内における昨年度の待機児大幅減にも寄与していると思いますが、昨年度の実績についてお答えください。
また、認可保育園の入園について、今年は匿名のブログがメディアで取り上げられ、話題にもなりました。
認可園が取り上げられることには、施設の環境、厳しい国の基準といった信頼性などの他に、入園上の経済的な課題もあると思います。
私もご相談を頂く中で、認証保育園の入園料の高さについて、これでは預けられない、働いた分だけすべて保育料に消えてしまうという悲痛な声も頂きます。
大田区は大田区在住者東京都認証保育所児童保護者負担軽減補助金制度を最大で3万円までに拡充しました。
低所得家庭への認証保育料補助の増額は、素晴らしい事だと思います。今後も継続して頂きたいと思いますが、見解をお伺いいたします。
【答弁 概要】
・待機児担当課長
まず入所マッチングにつきまして
3月中旬の認可保育所二次内定発表後に入所先の決まっていない保護者の方に入所可能な保育施設についてのご連絡をする事で、区内の保育資源を有効に活用し、待機児解消を目指す取組でございます。
平成27年3月20日の日曜日におよそ200名の保護者の方に直接ご連絡し、44名のお子さんを認証保育所や定期利用保育事業の利用へとつなげていく事が出来ました。
今年度も待機児童ゼロを目指し、保護者一人一人のニーズによりそった丁寧な情報提供に努めてまいります。
・保育サービス課長
東京都認証保育所児童保護者負担軽減補助でございますが、平成27年度に保護者の所得に応じて、1万円から3万円に補助額を拡充したところでございます。
まずは補助額拡充の効果について分析・検証する事が大事だと思います。
また、現在、保育園、学童保育保育料検討検討委員会におきまして公平性、受益と負担の関係性、少子化対策、子供の貧困対策等、様々な視点から認可保育所等の保育料について議論を頂いている所でございます。
今後、検討委員会での検討結果をふまえ、認可保育所の保育料の見直しについては適切に対応致します。
このような状況の中、認証保育所保護者負担軽減の在り方についても総合的に判断をしてまいります。
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ありがとうございます。
認可と認証の格差の是正と共に、様々なサービス、施設を活用し、全力で待機児童を減らす取組を今後も行っていただきたいと思います。
最後に働きながら子育てを行うご家庭への支援についてですが、
働く親御さんにとって負担の大きな家事の一つに「食事の準備と片づけ」があります。
未就学児を持つ働く母親の家事負担を減らすために、保育園等を拠点にした惣菜の提供サービスを行いたいという話も先日、お聞きしました。
子供食堂が全国的に注目を浴び、支援の検討について、先日の一般質問でも多くの委員からお話がありました。
更に、働く親御さんへの福祉、社会・地域が、子供、そして働くお父さん、お母さんを支えていくと言う観点からも、様々な事業・支援の在り方を検討して頂きたいという事を要望し、質問を終えます。
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