Apr 28, 2017

国会一日あたり約3億円??どういう理屈か計算しました。

「国会は運営に一日3億円掛かる!」

 

・・・こんなお話を聞いたことはありませんか?

 

衆議院、参議院、そして議会活動や政策立案を幅広くサポートする、国会図書館の運営に莫大な費用が掛かるのは事実です。

とはいえ、元々用意されている予算から計算しているのでしょうが、その3億という数字は何処から来たのか?

 

わたし、気になります!

という事で国会の 平成 27 年度(2015年)国会所管 一般会計歳出予算各目明細書(PDF注意)から調べました。

●計算式は衆議院+参議院+国会図書館÷365?

 

まず、一年間の費用を見てみましょう。

明細書は千円単位になっていますが、ここでは円単位に直しています。

 

・国会図書館

20,035,121,000円

・衆議院         

 74,296,439,000円

・参議院   

44,080,036,000円

 

全て百億単位。凄い金額です。

大田区の年間の議会費が約11億円ですから、桁が一つ違いますね。

 

この3つの合計が138,411,596,000円となり、1000億を超えます。

 

この数値を365日で割ると、約3億7千万となります。

なんともざっくりとした計算ではありますが、国会運営一日当たり3億、ないし4億という数字はこのあたりから出ているのだと思います。

では、細かい内訳を見ていきましょう。

 

★衆議院

 

●衆議院 74,296,439,000円

 

【内訳】

・運営費      65,169,162,000円

そのうち議員歳費 10,157,885,000円(475名 歳費・期末手当含む)

同じく、議員秘書手当 12,133,348 000円(秘書給料 1425 人、各種手当含む)※

 

・衆議院施設費 9,120,277,000円

 

・予備費 7,000,000円

 

※国会議員は政策秘書、公設第一・第二秘書を公費で雇う事が出来ます。

 

★参議院

●参議院 44,080,036,000円

 

【内訳】

・運営費 38,638,839,000円

議員歳費 5,184,612,000円 (242名 期末手当含む)

議員秘書手当 6,210,186,000円 (秘書給料 726 人 各種手当含む)

 

 

施設費 5,436,197,000

 

予備費 5,000,000

 

ちなみに、先ほどの3億7千万、一時間あたりで計算すると約1580万円、1分あたりで計算すると約26万3千円になります。

 


 

 

この計算式、出してみたものの、正直、参考程度の目安くらいにしかなりません。

 

議会が365日フルで稼働しているわけではなく、議会の開会していない日でも議員、国会職員、官僚の皆さんも仕事をしています。

議会の委員会や本会議の時間にのみかかった経費と考えるともっと少ない額になるでしょうが、その議会での活動、質疑や答弁準備などの為に掛かる経費、リソースを外しては、議会活動のコスト算出とは言えません。

 

 

●そもそも予算として決められている必要な時間である事

 

この一日当たり約3億というのは、新たに出てしまう支出ではなく、予算の段階で国会での審議、議論の為に用意された額を365日で割ったものであろうという事が判りました。

では、この約3億という数字をどのように考えられますか?

確かに、金額は大きい。でも、それだけの意義、価値のある審議をするのが国会であり、それだけの重みがあるのです。

 

私は金額自体の問題ではなく、この時間をしっかりと使わない、様々な事で官僚や議員のリソースを奪ってしまう事に、一番の問題があると思います。

 

 

 

●大田区議会で計算をしてみると

 

せっかくなので、大田区議会についても、先ほどと同じ計算で出してみます。

国会と同様に、議会の開かれている時間以外、議員も議会事務局の方々も、理事者、役人の方々もまったく、議会に関する仕事をしていないというわけではありませんので、あくまで参考程度として捉えてください。

 

平成27年度(2015年度)歳入歳出決算概要説明書を基に、考えると大田区議会の年間の議会費は1,163,669,000円となっており、この数字を365日で割ると、約318万8千円となります。

1時間で考えると13万円です。

 

 

細かい内訳を見てみましょう。

議会の日程は本会議(定例会4回 臨時会1回)委員会176回、連合審査会2回となっています。

 

区議会議員の歳費は、議員人件費 50名で754,973,000円※です。(※各種手当も含みます。)

 

議会活動諸経費として、96,282,000円が計上されており、区議会だよりや会議システムなどに使われています。

内訳の一部を見ますと、議事経費20,123,467円。これには会議システム・中継、手話通訳などを含みます。

 

新聞折込や駅・公共施設で見かける区議会だよりの費用も含まれており、区議会だよりは合計1107000部で、24,803,899円。

何かとご注目も頂く、政務活動費も議員50名分で137,320,000円となります。

 

 

 

●民主主義に必要なコスト?


ここまで、数字や項目を並べてきました。

議会にはこれだけお金が掛かっているんだと驚かれる方もいらっしゃると思います。

逆に言えば、これだけのお金を掛けるだけの重みが本来、議会にはあるという事です。

不要な経費、支出の削減と言った事も議論をしなければなりませんが、私達議員も、議会運営には多額の費用が掛かっている事を肝に銘じなければなりません。

そして、これだけの費用を掛ける程に大切な場が議会であり、政治であるという事も、お訴えしていかなければならないのだと思っています。

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