COVID-19への懸念。差別と感染症について
大田区議会議員のおぎの稔です。COVID-19による新型の感染症については、都内でも少しずつ感染が広がっており、連日の報道を見て疲弊している方もいらっしゃるのではないかと思います。刻一刻と状況が変わる中での自治体の対応として皆様にも大変、ご迷惑をおかけしてしまっている事や支援が行き届いておらず苦しい想いをされていることに対して大変、申し訳なく思います。COVID-19(新型コロナウイルス感染症)をめぐって差別と感染症を巡る課題について先輩の議員からも教えて頂きました。大田区でも訴える必要がある考え予算特別委員会で取り上げました。
こんな時だからこそ、かつてのハンセン病や東日本大震災の際の福島の方への風評被害のようないわれない差別が、多くの方を傷つけ不幸にしてきた事をも見つめ直す必要があります。感染された方は被害者であり、感染したくて感染したわけではありません。また、感染者を忌避するかのような差別的なイメージが感染症につくと、差別を恐れて隠してしまう人が出ることにもつながります。感染症の抑止の面からも極めて問題です。
コロナウイルス自体は以前から存在していましたが、新型コロナウイルス感染症の『コロナ』も、知人からはラテン語で「太陽、王冠」と言う意味でコロナという言葉が名前に入る方もいる。嫌な思いをしているとのお話もお聞きしました。とても難しい局面ではありますが、人権意識、人の心についても大切だという事を訴えていきたいと思います。
【質問文】
昨今の新型コロナウイルスに関連して質問します。日本の感染症法は前文で「我が国においては、過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受け止め、これを教訓として今後に生かすことが必要である。」と記載があります。感染症の原因がわからなかった時代には悪魔や魔女などの魔術、怨念、祟りなど禍々しいもののせいだとされてきました。近代においてもしばしば感染症は病による被害以外に、差別を産み出してきました。ハンセン病の他に、近年では福島の方への風評被害をご記憶されている方もいると思います。
現在も、新型コロナウイルスの件で、中国人への差別、そしてヨーロッパなどではアジア人への差別ともとれる事態が既に散見しています。差別はそもそも人権を損なうものであり起こってはならないものです。ヨーロッパの国では、コロナウイルス騒動当初から、科学的な根拠なく、アジア人をまるごと施設への立ち入りを拒否するなど差別が行われています。日本政府の対応が批判を浴びていましたが、1月末、2月初旬に渡航制限や直行便を止めた各国でもすでに日本と同等数、またはそれ以上に感染が拡大しており、水際対策でも100パーセント感染を防げないことは明らかです。また、中国語の翻訳ミスからの誤解から、中国が日本型肺炎という風に、今回の新型肺炎を語っているとのデマが流れているようですが、こちらも日本の新型肺炎の状況という意味だったということなど非常時には憶測やデマが流れやすく、注意が必要です。
感染者を忌避するかのような差別イメージが感染症につくと、差別を恐れて隠してしまう人が出ることにもつながり、感染症の抑止の面からも極めて問題です。政府や東京都も対策に乗り出していますが、学校や各種地域団体と密接な関係にある地方公共団体として、大田区は積極的に「ウイルスを憎んで人を憎まず」のような意識啓発を行うべきと考えますが、いかがでしょうか?①
【答弁 概要】人権男女平等課
新型コロナウイルス感染症の発生に伴い、感染者やその家族、中国から帰国された方、外国人の方などに対する誹謗中傷や心ない差別的な書き込みがSNS等で広がっております。また、小中学校等でのいじめや感染者の治療に当たっている医療機関関係者の家族が差別にあったとの報道もされております。
私共としましては、感染症対策課とも連携し、2月26日に区HPのトップページ「新型コロナウイルス感染症について」の中で、区民へ正しい情報に基づいた冷静な対応を行うよう意識啓発を行いました。今後も差別を許さないという考えの下、大田区報、大田区HP等を活用しながら積極的に人権意識の啓発を推進して参ります。