子供の貧困について
大田で子どもの貧困を考えるフォーラム2015
「貧困の連鎖を断ち切る教育支援のあり方を考える」に参加しました。
冒頭、児童虐待で3日に一人子供が命を無くしていること、
その半分は親も心中をしていることの説明がありました。
・児童虐待件数
23年連続で過去最多を更新する、児童相談所の把握する児童虐待相談件数は2013年に7万件を超えました。
都道府県別にみると、大阪府が最多で、神奈川、東京と続きます。
・警察の通告数
虐待が疑われるとして、全国の警察が2013年に児童相談所へ通告した18歳未満の子どもは2万1603人おり、過去最多だった前年を5216人(32%)上回った。警察庁が6日、発表した。統計を始めた04年から9年連続の増加。
配偶者らの間の暴力が子の前で行われる「面前DV」が大幅に増えている。
時事通信2014年3月6日より
また、児童虐待が行われる家庭の状況について、特定非営利活動法人3keys様が調査した資料によると、
1位がひとり親家庭、2位が経済困難、3位が孤立、4位が夫婦間の不和、5位が育児疲れと続くとの事です。
子どもへの教育どころか愛情や育てることも難しい家庭が増加・・・と資料には書かれていましたが、2000年以降、急激に増え続けている児童虐待相談件数と、虐待の行われる状況を見ると
格差の拡大、一人親の家庭への支援・理解不足が、虐待を生み出してしまっているのではないかと思います。(一人親家庭が=虐待が発生するという事ではありません。)
●学習支援の必要性について
講演では、学習支援についてもお話がありました。
学習支援で触れたのは主に児童養護施設等で暮らす子供たち。
何らかの事情で親元を離れて暮らさざるを得ない子供たちです。
そういった子供たちへの学習サポートを行っているそうです。
過酷な環境に置かれることで生活習慣・学習習慣の満足に整わない、子供たち、彼らへの支援は必要不可欠でしょう。
●家庭の貧困と教育格差
資料によれば、母子家庭の約70パーセント、子育て世帯の10パーセントが貧困家庭となっており、全体でも子供の6人に一人が貧困状態にあるそうです。
母子・父子家庭の親御さんたちは、ふたり親世帯に比べて子供と過ごすことのできる時間も限られており、勉強を見る時間もなかなか取れません。
経済格差と学歴格差の関係も深刻で、ニュース等でご覧になった方もいると思いますが、収入の多い家庭とそうでない家庭は大学進学率も大きく異なります。
東京大学大学院教育学研究科 大学経営・政策研究センター「高校生の進路追跡調査第1次報告書」(2007年9月)によれば、
年収400万円以下の家庭の子供の4年生大学進学率が3割なのに対し、年収800万円以下の家庭は5割、年収1000万円以上の家庭は6割を超えています。
本人の努力も大きいのでしょう。
ですが生まれ育った家庭=学歴となってしまう部分が多くあるのも現状です。
■2012年
<男性>
中卒 2億1000万円(45年間)
高卒 2億4000万円(42年間)
高専・短大卒 2億4000万円(40~41年間)
大卒・大学院卒 2億8000万円(38年間)<女性>
中卒 1億4000万円(45年間)
高卒 1億8000万円(42年間)
高専・短大卒 2億円(40年間)
大卒・大学院卒 2億4000万円(38年間)
(同一企業に勤続した場合の生涯賃金です。退職金や年金は含まれていません)
※労働政策研究・研修機構「ユースフル労働統計」より
上記のデーターを見ても専門教育、就労支援と同様に、学習支援、進学支援も行政、社会が大きく行っていく必要性があると思います。
医療費、子育て環境だけでなく、子供への就学支援やチャレンジ支援貸付事業※等の教育支援は引き続き拡充をしていくべきです。
子供たちの為に。
※所得が一定以下の世帯に対し、中学校3年生の必要な学習塾などの受講料を15万円を限度に無利子で貸付。
高校などに入学し た場合は、返済が免除。