大田区は23区で最強?区独自の奨学金制度を更に柔軟に!
平成27年10月1日に行われた大田区議会決算特別委員会。
款別質疑、福祉費において、大田区独自の奨学金貸付事業について(対象は高校、大学、専門学校)
適切な運用、相談支援の強化、予算に対して不用額(使わなかった額)が約8000万円出ている事から、
使い方の幅を広げて、通信教育等、現在サポートされていない親の扶養から外れた生徒や若者への教育支援に結び付けていけないか質問しました。
大田区では独自制度として、貸し付けではない給付金型の奨学金事業もありますが、こちらは区民の方からの寄付をもとにした、時限的な措置。
根本的なニーズへの支援が必要になります!
質問に詳しく書いていますが、大田区の独自の奨学金制度は23区最大規模の貸付人員、予算額です。
人口の近似している世田谷、足立、江戸川区等と比べても、貸付人数の桁が一つ多い。
金銭的事情で、進学や夢を諦める子供が出ない社会を作っていく、
この姿勢は崩さずに、さらに多様化した大田区民のニーズに答えていけるよう、私も訴えを続けていきます。
大田区奨学金貸付制度
http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kodomo/kashitsuke_kyuhu/shougakukinseido.html
参考:修学支援制度(静岡県)
https://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-050a/syougaku/sub_ss.html
【荻野】
奨学金貸付事業についてお聞きします。
家庭の事情で夢をあきらめる子供を出さない為の支援策として、区独自の奨学金貸付制度は重要な制度だと考えます。
H26年度決算では、専門学校を含めた大学等が1040名、高校等が353名、入学準備金が74名と計1467名が制度を利用しており、貸付金額は約6億2千万円に上ります。
人口の近似している、他区の平成26年度実績と比較しますと、(平成26年度8月1日現在で)足立区では高校・大学等合わせ154名、高校等のみで世田谷・江戸川区がそれぞれ81名、227名と大田区の実績はとびぬけており、素晴らしい事です。
一方で、景気低迷が続き税収が減収している事に加え、区民ニーズの多様化により行政サービスが拡大しており、自治体の財政状況は逼迫しております。
厳しい財政状況下における歳入確保は区の重要な課題であり、効率的で責任ある債権管理及び歳入を確保することが必要です。
また、透明性の高い債権管理によって、区民の税負担に対する公平性を確保する事も重要になります。
奨学金貸付事業でも、収入未済額は、特別奨学金が一億7千万円を超え、一般奨学金も4億4千万を超えており、不能欠損も出しております。
奨学金事業の意図を理解し、適切に運営していく為には、払える能力がありながら税や使用料等を「払わない」人に対しては、適切な督促や差押え、訴訟提起を行うために組織的取り組みを進める事が重要であり、その事が納税者を守り、公平性を確保し、事業を継続していくことにもなります。
質問します。
払える資力がありながら「払わない人」に対して、区はどのような取組を行っており、どのような成果が出ておりますでしょうか?
【答弁概要】
奨学金の返済にあたって、期日までに返済がない場合には区が督促・催告を行い、返済を促している。
これによっても支払いがなく数年間にわたり滞納が継続している場合には弁護士に委託し、債権管理業務を実施している。
委託の実績ですが、25年度は一括支払いが7件、分納合意に至ったものが11件、26年度は一括支払いが2件、分納合意が15件。
今年度は4月から8月までの5か月間で一括での支払いが24件、分納合意が36件となっている。
【荻野】
併せて奨学金利用にあたっての対応についてもお聞きします。
制度利用にあたり、本人の知らないうちに保護者との間で奨学金利用契約がなされる例もあるといいます。その場合例えば大学の場合、卒業時に300万近い借金になります。
本人確認とともに、返済の必要性への啓蒙、身の丈に合った貸し付けや無理のない返済計画についての相談を区が継続的に行う必要があると思いますが、見解をお伺いいたします。
【答弁概要】
貸付申込みの際、学生本人、連帯保証人及び親権者の方にそれぞれ返還の誓約書を頂き借り受けの確認を頂いている。
返済開始前に借り受け人の方に支払い能力に応じた一回ごとの返済金額や年間の返済の頻度等において、返済計画を無理のない範囲で立てている。
返済開始の際には区の奨学金制度の趣旨や手続き党等の啓発の為、「奨学金手帳」という案内冊子を配布しており、この冊子では、予定通りに返済が見込めなくなった場合には直ちにご相談頂くといった案内もしている。
今後も奨学金の貸し付けにあたっては、借り受け人の方々に対して、きめ細やかな説明や相談を行っていきたいと考える。
【荻野】
ありがとうございます。
様々な理由から、夜間学校や通信教育を利用したり、一時的に就職をしたり休学をする生徒等もいるかと思います。
現状、そうした生徒等では奨学金の貸し付けを受けられる場合、そうでない場合があるとお聞きしました。
どのような理由なのかお答えください。
【答弁概要】
現状、奨学金の貸付の対象となる方については、区内に住所を有する者の扶養を受けていることを要件の一つにしており、夜間学校や働きながら学校に通う場合については、区内に住所を有する者の扶養に入っている等の要件に該当しなければ、対象とはしてない。
また、通信教育を受ける場合については、現在、大田区奨学金貸付条例貸付の対象とはしてない。
また、休学した場合については一時的に貸付を休止し、復学した際には貸付を再開するなどの対応をとっている。
【荻野】
ありがとうございます。
様々な事情を持ちながら、支援を受けられない生徒等への支援の一つとして、自治体によっては修学支援として、働きながら定時制や通信制の高校で学んでいる生徒を対象とした貸付金制度を行っている例もあります。
現状、サポートをされていない生徒や、働きながら通信教育や夜間学校で大学卒業や資格取得を目指す社会人のように、多様な学び方をしている学生、学ぶ意欲のある若者は増えており、支援のニーズは以前よりも高まっていると思います。
他方、決算を見ると奨学金貸付金は、不用額が約8000万円、予算額に対して、新規貸付者が127人、入学準備金は46人が減じております。
こうした事情も鑑み、大田区は、多様な学び方をする学生や意欲のある若者達のニーズの把握、多様な支援、対策を行っていくべきではないかと思いますが、見解をお伺いいたします。
【答弁】
昨年度、区では区民の方からの寄附により、給付型の奨学金制度を創設し、これまで無かった大学進学者への入学準備金に対する支援を開始し、奨学金制度の充実を図った。
なお、現在通信教育や働きながら夜間学校に通われる方々等の支援については、社会福祉協議会や独立行政法人日本学生機構においても、同様の内容を一定の条件のもとで、実施している。
今後、こうした制度等の実施状況を把握しながら、支援策に関する国や都等の動向を注視していく。
【荻野】
私自身、働きながら学校に通ったものですから、その切実さは身をもって感じており、質問をさせて頂きました。
是非とも、働きながら学校に通う学生や若者への支援に結び付けて行っていただきたいと思います。
他の委員からも指摘がありましたが、国でも「子どもの貧困対策法」が作られ、議論が進んできました。
対策を効果的に進めていく上では、実態、ニーズの把握も重要かと思います。
足立区でも詳細に踏み込んだ子供の貧困の実態調査が始まりましたが、大田区におきましても、子供の貧困状況や支援のニーズの把握の為の取組を横断的に、取り組んで欲しいと要望させて頂きまして、質問を終了いたします。
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質疑 動画