信仰にも多様性を。大田区内のイスラム教徒への受入れ体制は
先日の一般質問で触れました、イスラム教徒の方々が、日本で直面する課題などを例に大田区の外国人対応について。
質疑をした9月15日はイスラム教の犠牲祭(今年は9月12~15日)の最終日でありました。
ムスリム※(イスラム教徒)の方々の世界における存在感は高まる一方で、2009年の米世論調査機関、ピューリサーチセンターの調査では、15.7億人と世界人口の22.9%を占め、2030年には総人口の26%を占めるとされると結果が出ており、外国の方々の中で、大きな割合を占めており、その分布も、マレーシア、インドネシア、中東、アフリカと極めて広いですが、彼らの社会背景には、イスラムという共通の宗教があります。
特に、アジア周辺国の発展、訪日客増加、更には日本是隊の更なる国際化の進展の中でイスラム教への理解は必要性が増してきます。
※神に帰依するものの意
特に、日本の玄関口である大田区にとっては重要な意味を持ってくるのではないでしょうか。
少なくとも、外国国民の一つの主要な文化的な背景として理解を深めていくことが必要となります。
さて、具体的な事例をいくつか提示します。
ムスリムたちは多くの困難を抱えています。
例えば、子どもたちの教育問題です。ムスリムへの誤解から、いじめや偏見に悩むこどもたちがいます。
さらにそれだけではなく、そうした問題を止められない周囲、社会へのイスラム教への理解の無さに失望する方々もいるでしょう。
日本社会に失望する方をたくさん産みだしてしまう事は、私はあまり良い事だとは考えません。
別の苦労として、日本の学校に通っているムスリムの中には豚肉やアルコール成分の入った学校給食が食べられず、お弁当を持参している方もいるそうです。
更に女性の場合、制服や体育の授業の水着がイスラムにおける服装の規定に合わず苦労していること、ある幼稚園ではキリスト教ではないにも関わらず毎年クリスマス会など特定の宗教の催しが開かれ、不本意ながらそれに参加せざるをえない状況があるとも聞きました。
これは、ほかの宗教や思想信条などにも共通する問題です。
また、ムスリム女性の中には、病院で診断を受けるにしても、医師に女性を望む方。
ムスリマ女性が髪を切りたいと思ったら、女性の美容師さんを探すだけでなく、髪を洗ったり切られたりするときに男性にみられないような環境の美容室を望む場合もあるそうです。
またムスリムの中には都内では難しい※土葬を望む方も多くおりますし、ハラール助成でも注目を浴び、一般的なムスリムの方の苦労と言うと、この事のイメージが強いと思いますが宗教上、豚肉やアルコールの摂取が禁じられるムスリムが、日本で、彼らの規定に沿った食事をするのは簡単ではありません。
※都条例による。土葬そのものは法律で禁止されておらず、各自治体の条例で別途定めている
しかしながら、以前、台東区のハラール助成についてもブログで書きましたが、特定の宗教、思想などに対する支援を行政が行う事は、容易ではありませんし、そのすべてに行政が手を突っ込んで支援を行うのか、強制力などを掛けて規制や改善をさせるのが正しいのかと言えば、また別の方の利害、権利と衝突する可能性があります。
一方で、学生時代、柔道の授業に参加できない友人が私にもいましたが、食事だけでなく、普段の生活、習慣、通例行事などを通し、困難を感じながら、生きている方は、イスラム教徒の方に限らず、多くいるのだと思います。
特定宗教への支援と打ち出すことは出来なくても、実際に相談、対応ケースとして区は相談を受け、また問題が起きれば、対処をしなければなりません。
私からはまず、区内の環境改革の為の情報収集・調査から進めていくべきであり、外国人からの問い合わせへの対応事例の調査、まとめ、共有、教訓抽出から、はじめてみてはどうかと提案をしました。
そうした相談事例を積み重ねていく事で、区全体にも様々な信仰、思想、文化的な違いを持った方々の対応体制が強化され、そうした方々に取っても生きやすい社会基盤の構築も進んでいくのではないでしょうか?
多文化対応というと観光、産業といった経済面が大きく注目を浴びますが、地方自治体の役目は、住民の福祉の向上を基本としています。
人種や性別・性的指向、信仰、思想、障害や持病の有無などによらず、社会生活を営む上で、様々な方が抱える困難の解決のために必要な対処、対応体制の整備を、今後も訴えていきます
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