30年以上調査無し?防災行政無線の配置の再検討を!
こんにちは、おぎの稔です。
今回は先日の一般質問でも触れた、大田区の防災行政無線についてご報告します。
大ヒット上映中の「君の名は」でも防災行政無線が活躍したと聞きました。未見なので見るのが楽しみです。
さて、今回質疑で取り上げた大田区の防災行政無線は、昭和55年から運用がされ、増設が繰り返され現在は250本の放送塔が区内に設置されています。
平成22年度~24年度にかけデジタル化が行われ、併せて放送塔の支柱、スピーカーも更新されました。
使用はされていませんが、250か所のうち、特定の放送塔だけに音声を流すことも出来る仕様になっており、特定地域への放送なども可能な作りになっています。
非常時に役立たなければならない為、運用試験も兼ね、非常時以外にも夕方の放送、光化学スモッグ情報、熱中症予防、選挙啓発、平和の祭典(花火大会)の告知などに使用されています。
今回、私が質疑で取り上げたのは、様々なアプリやサービス、機器などとの連携による防災行政無線に頼り過ぎない、災害時の情報提供、注意喚起といった点※と、もう一つが防災行政無線の配置についてです。
私は防災行政無線の配置、周辺環境については定期的な見直し、更新を行っていかなければ、非常時に有効活用できないと思っています。
上の写真をご覧ください。
大田区の防災行政無線の一つですが、周りにはマンションがあり、音を遮断しかねない状況になってます。
過去の議会でも何度か話題に上った「防災行政無線が聞き取りにくい」状況を作り出す一因にもなるかもしれません。
また、特に上層階、スピーカーにほど近い階の住民の方にとっては騒音以外の何物でもないでしょう。
窓を開けたら目の前にスピーカーが・・・という状況も考えられます。
防災行政無線について音の聞こえにくさは、よく議論をされていますが主に音量の大小や音質によるものが多いのが現状です。
周辺の環境の調査もしっかりと行わなければ改善は難しいと思います。
大田区に確認をしたところ、苦情、相談などがあった場合に、個別の防災無線については、スピーカーの向きの調整、放送塔の設置スピーカーの増減、音量調節などで対応をして来たとの事でしたが、区内全体を通して、放送塔の周辺環境がどうなっているのかの調査というのは、運用が始まった昭和55年以降、一度も行われていないとの事でした。
私自身も防災行政無線についての陳情を受け調査をしました。
特に今年は大型選挙が7月に2回、その後半月後に花火の祭典と、平時運用を行う時期が重なったため、区にも防災行政無線がうるさいというクレームが入ったそうです。
防災行政無線の放送を停止しろとは思いません。
しかしながら、そもそも大音量で発信をする事を前提とした音響機器である以上、設置後も運用に際し、周辺環境への配慮は必要だと思います。
私が区議会でその事を質したところ、「災害時に適切な放送を行うために計画的に現況確認に努めてまいります。」との回答を頂きました。
今までやってこなかった事が、少しずつでも実施されることは改善であり、区の答弁は有難い事だと思います。
毎年やってくださいとは言いませんが、3~4年スパンで調査を行い、状況に応じてスピーカー等の調整を行っていただきたいと思います。
また、住民のライフスタイル、働き方も大きく変わってきている事からもこれからは、行政が生活リズムにまで踏み込む事についても、更に議論が必要になってくると思います。
実際、過去の他自治体住民による訴訟では、夜勤明けの方やフレックスタイム勤務の方の睡眠妨害であり、生活リズムを行政が強制するものであるとの訴えがなされております。
ライフスタイルの変化や文化の違いなど、多様性や多文化共生の話と、いざという時の為の備えなどとのバランスの話は防災・防犯の分野でも避けて通れません。
私も消防団の一員ではありますが、消防団の訓練や防災訓練などについて、クレームが寄せられることもあるそうです。
今後とも災害対策、防犯の点について、議会で意見を上げていきます!
先日の一般質問はこちら
同じ一般質問で、避難所への携帯電話充電器配備について提案した内容はこちらになります。
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※有事における防災行政無線の信頼性について
総務省の被災自治体への調査では、57.1%が防災無線は聞こえなかった。もしくは聞こえたが耳に入らなかったと回答しています。
しかも、耳に入ったが津波を過小評価して無視したが32.8%もいます。(オオカミ少年的な効果が考えられます)
また、消防庁の報告書によれば、太平洋沿岸の市町村のうち、回答のあった27市町村の内、17市町村が防災行政無線が倒壊・破損・電源喪失等により使用できなかったとしております。
こうした点に鑑みて、防災行政無線の相対化が必要でしょう。エリアメール、アプリ、ワンセグ、TV局、コミュニティFM等との連携の拡大・深化を進めるべきです。
東日本大震災では逃げ遅れた障害者は健常者の2倍だったというデータもあります、また言語、文化圏の違う外国人も災害弱者にカウントされます。
福祉的な対応、多言語対応など、様々な点から、最新技術の導入などを行っていただきたいと思います。