ヘイトスピーチ対策法案、参議院可決に思う事
ヘイトスピーチ対策法が、参議院本会議で可決、衆議院の審議を経て来週にも可決予定との事です。
この法案「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律案」というのが正式名称です。
今回、既に、成立前から、法案の内容についての問題点、懸念点、不足などがちらほらと出てきており、今回の法律制定が若干、拙速だったのではないかと思っています。
ヘイトスピーチ修正案 参議院可決 今国会で法案成立へ
5月13日 NHK NEWS WEB
ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動をくり返す街宣活動を解消するため、国の責務などを明記した法案の修正案が、13日、参議院本会議で賛成多数で可決され、今後、衆議院での審議を経て今の国会で成立する見通しとなりました。
この法案は、ヘイトスピーチと呼ばれる民族差別的な言動をくり返す街宣活動を解消するため、相談や紛争の防止に当たる体制の整備や、教育や啓発活動に取り組むことなどを国の責務として明記したもので、自民・公明両党が参議院に提出しました。
法案を巡っては、自民・公明両党と民進党が、ヘイトスピーチの定義に「著しく侮辱する言動」を加えるほか、「法律の施行後も、実態を勘案して必要に応じ検討を加える」という文言を法案の付則に盛り込むことで修正合意しました。
修正案は、13日開かれた参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党と民進党などの賛成多数で可決され、今後、衆議院での審議を経て今の国会で成立する見通しとなりました。
ヘイトスピーチ関連の問題については、昨年6月の大田区議会総務財政委員会に「ヘイトスピーチ対策について法整備を含む強化策を求める陳情」が出された際、議論になりました。
ヘイトスピーチや、ヘイトクライムのような人権侵害や暴力行為は許されないながらも、言葉狩りの様な、犯罪行為ではない言論、表現の自由を侵害していかないようにと慎重意見を述べさせて頂きました。
「差別はよくない」・・・・当然の事です。
日本国民だけに留まらず、人種、信条、性別、社会的身分又は門地、政治的、経済的又は社会的関係等、如何なる理由においても差別は社会は許容してはいけないと思いますし、対策が打たれること、啓蒙活動、学校教育など議論がされることも必要だと認識しています。
生まれた国や地域が違いよって、他者を差別する事が許されることではありません。
不当な差別を受け、恐怖、苦しみを植え付けられた方々、日常生活での不自由を課せられた方々の気持ちを思えば、法律制定、対策強化を望む方々の想いの大きさは想像に難くなく、エスカレートした差別的言動、犯罪行為そのものであるヘイトクライム、市内での破壊活動、暴力行為などに対し、政府が効果的な対策が打てず、後手後手に回ってしまった事から、国際社会からの強く要請を受けた事も、今回の法律制定の背景にはあるのだと思います。
もっと早く、日本主導のもと効果的な対策を打てなかったのか。
ヘイトスピーチがどうのというより、人種差別そのものに対してももっと啓蒙が必要ではなかったのでしょうか?
残念に思っています。
とはいえ、その定義を誰が決めるのか?誰がその行動を縛るのか?権力にその決定権をゆだねてしまってよいのか?
時の権力に対し、都合の悪い表現が差別だと拡大解釈され、言論弾圧に結びついていく懸念はないか?
法律を逆手に取って他者に不当な攻撃を、不利益を被らせるようなことにはならないか?
一度、冷静になって考えなければかえって、自らの首を絞める事態になりかねません。
法律可決後も議論を見守っていきます。
さて、法案には
2 地方公共団体は、本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組に関し、 国との適切な役割分担を踏まえて、当該地域の実情に応じた施策を講ずるよう努めるも のとする。
とあり、国の責務の他に、自治体への努力義務も課せられています。
地方議員の一人として、この動きを注視するとともに、現在も行われている、特定の属性、性別、職業の方等へ行われている差別・不利益などにも目を向けていきたいと思っています。