10月はてんかん月間。100人にひとりの「てんかん」とどう向き合うか?
10月はてんかん月間です。
突然ですが、てんかんについてのクイズです。
次の5つの中からYESは何個あるでしょうか?
【てんかんとは?】
①発作で死んでしまう事がある
②こころの病気(精神疾患、精神障害)である
③感染する
④発作中は舌をかむので、口の中にスプーンやハンカチなどを入れると良い
⑤発作が起きたら、救急車を呼ぶのがベスト
答えは、YESはゼロ、
すべてNOです。
10月16日に、一般社団法人日本てんかん学会、公益社団法人日本てんかん協会が主催した
メディアセミナー てんかんを正しく理解する月間(てんかん月間)2015に参加しました。
上のクイズはこのセミナーで行われたものです。
正解されましたでしょうか?
てんかん発作は決して珍しい症状ではなく、約100人に一人の割合でみられるものです。
国際抗てんかん連盟(ILAE)の説明によると、
てんかん発作は脳のニューロンの「過剰な」あるいは「同時期的に生ずる」電気活動に基づく徴候や症状が一時的に生じるものです。
まだまだてんかんについて、誤解があるのではないかと思っています。
てんかんについての過去の記事。事件報道についてもこちらをご覧ください。
メディアセミナー※では以下の事について、報告がされました。
●WHO(世界保健機構)の動き
2015年のWHOの総会で、最重要課題としててんかん医療が採択されました。
WHOの総会では
1 大気汚染に関する決議
2 てんかんに関する決議
3 非国家主体との関与の在り方の枠組みをまとめる上での次のステップを提示する決議の3つが決議されましたが、
てんかん医療への強化について、てんかん患者への医療を提供する為の努力を継続するよう、加盟国に促す決議をWHOは承認しました。
手ごろな価格のてんかん治療が存在するにもかかわらず、てんかん患者の90%は資源不足の環境にあり、適切な治療や診断を受けられない可能性があります。
(主に発展途上国)
この決議は、てんかん患者の権利の促進、保護する政策や法律を各国政府が策定、強化、導入する必要性を強調し、この疾患がもたらす負担をより明確にし、治療へのアクセスがどの程度改善しているかを測る為に、健康に関する情報、ならびに調査システムを強化する必要がある点も強調しております。
代表等は、専門家以外の医療提供者を訓練する重要性が、てんかん医療における格差を縮小するうえで重要なカギを握っている事を指摘しました。
更に下の3つが推奨されました。
・低~中所得国では抗てんかん薬の入手し易さや価格を改善するための戦略を最優先する事
・てんかんについての誤認を軽減し、より多くの人々が治療を求めるようにする事
・公共への啓発活動に各国が着手する事
障害者差別解消法による「合理的配慮」は、こうした誤解を招きやすい、偏見を受けやすい病気に対して、どう対応するのか。
例えばてんかん患者の場合の就労等での偏見や不当な差別に対して、何か対策は取られるのか。
自治体議員としても注視しなければなりません。
●市民意識調査とメディア
先日の事件報道を言うに及ばず、メディアでの誤解をまねかねないてんかんについての取り扱いや、法規制強化等について、
偏見を招く、誤解が強まると危惧している方は多くいます。
てんかん協会が無作為に行った市民意識調査でも、様々な誤解や課題、市民への情報不足が浮き彫りになっていました。
こちらは後日、別のブログにまとめたいと思います。
●てんかんと子供の理解、教育
平成23年8月にてんかんの子供への理解についての発行された冊子についても紹介が行われました。
★全国特別支援学病弱教育校長会より発行された、てんかんについての支援冊子。
~病気の子どもの理解のために~
表紙の絵もかわいいですね。生徒によるイラストが他にも多数掲載されています。
教育現場、保護者や医療機関との連携について書かれていますがてんかんについて、適切な対応が出来ない、また偏見をもった教師も多く、
まずてんかんについての理解が浸透していない事が問題との事でした。
下記からPDFでご覧いただけます。
https://www.nise.go.jp/portal/elearn/shiryou/byoujyaku/pdf/epilepsy.pdf
★病気の児童生徒への特別支援教育 ~病気の子どもの理解のために~(国立特別支援教育総合研究所)
てんかん以外の含めた病類別の支援冊子(平成19年~平成24年発行)がご覧いただけます。
https://www.nise.go.jp/portal/elearn/shiryou/byoujyaku/supportbooklet.html
私もこうした冊子がある事を知りませんでした。
まだまだ勉強が足りませんね。
日本のてんかん患者はおよそ100万人、割合として小児と最近は60歳以降の高齢者の発病率が高く
今後は専門家だけではない、かかりつけ医におけるてんかん診療も必要になってきます。
小児性などを除き、てんかんの完治は簡単ではないのですが、適切な治療薬により発作を抑える事は出来ます。
適切な診断・治療により、患者の生活の質の向上、就業状況も大きく改善することが出来るという事は、もっと知られるべきことであると思います。
一方で、てんかんの原因は脳腫瘍、くも膜下出血、脳出血に起因するなど、原因がはっきり判るものは約3分の1で、残りの3分の2は原因がよくわかっていない、
特発性のものです。
誰もが発症する可能性のある、病気、それがてんかんです。
てんかんをはじめとした、特に偏見や誤解を招きやすい病気については、
偏見や誤解を解消し、患者や家族、支援者が社会と適切に付き合っていけるようにしていかなければなりません!
※メディアセミナーでは他にも様々な活動をしている方が紹介をされました。
直接、改めてお話をお伺いし、ブログでも報告をさせて頂きたいと思います。