Dec 11, 2019

イベントへの妨害、脅迫行為と表現の自由について

こんばんは。大田区議会議員のおぎの稔です。本日は大田区議会決算特別委員会で質問した、ヘイトスピーチ、また抗議や妨害活動などいわゆる迷惑行為要件と公共施設の利用要件についてです。公の施設の利用と、表現の自由については以前、大田区議会本会議での質問でも取り上げ、マンガにもしました。

 

 

 ヘイトなどによる人権侵害は許されませんが、定義をどうするのか、影響をどう考えるのかも議論しなければなりません。質問では「ヘイトを行っている団体が『ヘイトをしません』と書いて施設利用の申請をした場合、どうするのか?」を訪ねました。ヘイトと関係ない活動、ヘイトをしない場合でも、施設の利用を制限してしまっても良いのでしょうか?

 議論が分かれると思います。

 また、公の責務についても質問しました。

 2017年6月に一橋大学の大学祭で作家の百田尚樹氏が講演する予定だった講演会が、抗議の殺到により中止になりました。また、翌2018年11月江東区で予定されていた、精神科医の香山リカ氏の講演会も同様に抗議が殺到し中止となりました。まだ記憶に新しい出来事ですが、今年は愛知県でのトリエンナーレ、表現の不自由展がガソリンでの放火火災を語る脅迫を受け中止、11月に富山県朝日町で行われる予定だった、作家の竹田恒泰氏の講演会についても妨害予告が寄せられたことを理由に中止となりました。こちらもガソリン火災を匂わすものだったと報道がありました。私も現場に作品を見に行きましたが大田区でも写真展に対して、一部作品の除外が求められる事態が起きました。

大田区「政治的」一部除外求める 原発事故 復興写真展

 また、公の施設ではありませんでしたが、警察から要請を受け、演目の変更や表現の自粛の憂き目にあった「Voyantroupe 第四回公演 偏執狂短編集Ⅳ」などもあります。私も実際の舞台を見に行きましたが、劇場についても公共施設も多いため、他人事ではありません。

 このように右や左を問わず、民主主義社会の根幹をなす、表現の自由が不寛容や脅迫行為によって、破壊されようとする事態が起きています。自衛隊の参加するイベントへの抗議、以前は黒子のバスケという作品に対し※、イベントなどに対する犯行予告もありました。

 言論の自由等の表現の自由は日本国憲法で保障される権利であり、また、基本的人権の根幹をなすものです。特に公的施設はそうした妨害や犯罪行為とどう立ち向かうのか、その中でもどう権利を保障し、場を維持していくのか警察とも連携し、しっかりと考えていかなければならないと思います。脅迫者が喜ぶのは中止であり、萎縮です。そうしたテロ行為に屈せず、毅然とした態度で言論、表現の場を守っていく必要があると考えます。

詳細はこちら

大田区議会令和元年決算特別委員会質問【総務費】

【質問④】

 

 ヘイトスピーチ規制法の成立から約3年が経ち、東京都では「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」が今年4月施行されました。主な内容として、都知事がヘイトスピーチについて基準を設け、公共施設の利用を制限できること、実施団体名の公表、インターネット上の書き込みや動画の削除要請ができます。また、性的少数者への差別を禁止する努力規定も設けられました。差別は許されないことですが、一方で、言論、表現の自由との兼ね合いが課題になっています。

  隣の川崎市で条例制定された際、公的施設利用について不当な差別的言動の恐れが客観的な事実に照らして具体的に認められる場合、警告、条件付き許可、不許可、許可取り消しをすることができると定められましたが、ヘイトを繰り返していると批判を受けていた団体が、川崎市内で集会を開催した事例がありました。言論、表現の自由、結社の自由との兼ね合いの中で、ヘイト行為の恐れがある人間に対しであっても、それ以外の日常生活、また公的施設利用について「差別を行う人間だ」と差別的な取り扱いを行っていいわけでありません。

 東京都の条例においても、公共施設利用の制限について規定があります。これは大田区も無関係ではありません。個人や団体がヘイトを繰り返した過去は判断材料の一つになると思いますが、例えば施設利用申請に「ヘイトスピーチはしない」と書かれていた場合、また、その団体個人が、ヘイトではない活動の申請をしてきた場合、どのように判断をしますか?④

 

【答弁】

外国人と日本人がお互いに尊重し合いながら、共生できる国際社会大田を築いていく事は大変重要であります。

区においては、各施設の設置条例で、公の秩序を乱す恐れがあると認められる場合、管理運営上支障をきたす恐れがあると認められる場合、利用制限を設けています。これを基準に、個別具体的に判断する事になります。

 

 

【質問⑤】

 

 明確にヘイトだけを事前に規制しようとするのは難しく、憲法で禁じられている検閲にもなりかねません。

 さて、私は平成29年の第二回定例会で、自治体での表現の自由について質問したところ、松原区長からは「言論・表現・集会の自由を保障するため、地方自治法では正当な理由がない限り住民が公の施設を利用する事を拒んではならないと規定されており、裁判所も厳格に限定に判断している所でございます。区の使用の不承認や承認の取り消しについても、憲法の趣旨に基づき適正に運用しております。」と答弁があったところです。

 地方自治法の趣旨に則れば、規定に沿って申請されたモノには利用許可を与えなければなりません。東京都のヘイトスピーチ禁止条例第11条にはいわゆる「迷惑行為要件」というものがあります。「ヘイトスピーチが行われることに起因して発生する紛争等により、施設の安全な管理に支障が生じる事態が予測されること」というものです。

 この迷惑要件については、東京弁護士会も本年3月4日付会長名で、声明を出しています。この声明で迷惑要件は、外部からの要因も多く、またヘイトスピーチに該当しない場合でも起きうる可能性があるため、最高裁判例や人種差別撤廃条約、ヘイトスピーチ解消法でも求めてはいるものではないとしています。

 先日の愛知県のトリエンナーレの表現の不自由展については、批判の殺到やまた脅迫行為によって事業継続が難しいと、中止とされました。特に脅迫という犯罪行為も含み、主催者の責任外に及ぶ理由で、利用の取り消しが行われるのは、表現の自由、言論の自由の点からも由々しき事態であります。近年はヘイトスピーチだけに限らず、政治的な言論、社会問題などについての講演会、トークイベント、また、展示などの芸術活動などについて抗議や脅迫で中止に追い込まれる事態が起きています。決して看過すべきものではありません。業務継続に影響を与えるような妨害、抗議活動が予想される中でも言論の場を堅持することが、民主主義社会における自治体の責務であると思います。大田区の見解を伺います。⑤

 

【答弁】

言論の自由等の表現の自由は日本国憲法で保障される権利でございます。また、基本的人権の根幹をなすものでございます。

公の施設の利用については区の設置条例について利用制限を設けています。

公の秩序を乱す恐れがあると認められるとき、管理運営上支障をきたす恐れがあると認められる場合でございます。

先ほどと同様に個別具体に慎重に対応していきます。

「黒子のバスケ」脅迫、懲役4年6カ月 東京地裁判決

朝日新聞2014年8月21日

人気漫画「黒子のバスケ」をめぐる連続脅迫事件で、威力業務妨害の罪に問われた住所不定、元派遣社員の渡辺博史被告(36)の判決が21日、東京地裁であった。前田巌裁判長は「犯行動機はまさに八つ当たりというほかなく、酌むべき点など一切ない」として、求刑通り懲役4年6カ月を言い渡した。

判決によると、渡辺被告は2012年10月、同作の作者の出身校・上智大東京都千代田区)のキャンパス内に脅迫文と硫化水素を発生させた容器を置いた。また、同作関連イベントの主催者に脅迫文を送ってイベントを中止に追い込んだり、毒物入りの菓子をコンビニ大手などに送りつけて商品を撤去させたりした。

判決は「作者の学歴や成功をねたみ、屈折した感情のはけ口として犯行にいたった」と指摘した。

●関連ブログ

政策マンガ20弾 自治体と表現の自由の関係編

自治体から始める「表現の自由」の守り方。

 

 

 

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