Aug 31, 2018

視察報告 福岡市のゲーム産業振興について

 大田区議会議員のおぎの稔です。8月28日から30日までの3日間。大田区議会地域産業委員会の視察で、九州方面に行ってきました。本日は2日目に訪れた福岡市でのクリエイティブ関連産業におけるゲーム産業振興についてご報告します。

参考:福岡ゲーム産業振興機構

〇福岡市を巡る環境

 福岡市の関わる特徴的な事業としては、福岡ゲーム産業振興機構が取り組むゲーム関連企業へのインターンシップ、学生及び一般アマチュアを対象としたゲームコンテスト、海外展開やイベント事業などがあります。ゲーム企業の集積では10年前とくらべ市内のゲーム企業の企業数は12社から31社(2・5倍)、従業員数は約400名から約1400名と(3・5倍)増えています。なぜこれだけの成果が得られたのでしょうか?福岡市の置かれた環境にも理由はあります。

 福岡市は海外20都市への定期航空路線を持ち、東京にも上海にも90分福岡空港にも博多駅から約5分で行けるという恵まれた環境にありました。若者・女性が多く、政令都市の中で人口に占める若者率(15~29歳の割合)19・2%、15~29歳の内の女性の割合51・3%と共に1位。更に人口千人あたりの学生数51・8人(政令都市中2位)となっていました。市内には約7万人の学生が住んでおり、理工系や専門学校などの教育機関も充実していました。他にもリーズナブルなオフィス賃料、生活満足度の高さ、アジアへの交通拠点としての好条件を福岡市は持っていました。

 東京都でも、羽田空港に隣接する大田区を含んだ城南地域には、参考に出来る事は多いのではないかと思います。

 

〇なぜゲーム産業なのか

 福岡市はクリエイティブ産業としてゲーム・音楽・アニメ・映像・デザイン(ファッション)の5つを大きく押し出しています。若者が多いなど前述の要素も大きいのですが、ゲーム産業をはじめとして、クリエイティブ産業の支援に大きく乗り出したことには別に事情がありました。

 福岡市も大田区と同様、物つくり、製造業が盛んな都市ではありましたが、時代の流れと共に製造業の力が段々と落ちてきました。人材流出の進行や新たにハードの整備も行うのも難しい中、目を付けたのが情報産業の集積だったとの事でした。先に市内ゲーム関連企業と九州大学との連携といった産、学連携が生まれ、そこから行政の連携へと広がっていったと聞きます。市内に教育機関が揃っている事や、ゲーム関連の大手企業からも協力を得られていた事、市の置かれた交通などの環境や若者多い街としての特徴などがうまく機能したのではないでしょうか?

 

 このあたり、東京23区特別区だと事情が異なるのですが、市の場合は、企業数の減少などは直接市の税制に大きな影響があります。都区財政調整制度※の影響で、大田区を始めとした特別区は区が頑張っても、なかなか区の実績、税収に結びつきにくい課題がありますね。

 

※市町村が徴収する税の一部を23区の場合は都税として都が集め、各区の財政事情に応じて財政調整交付金として振り分けられる。23区の行政サービスの水準化を図るといった意味もあるが、一方で港区のように交付されない区があったり、区の努力、実績が税収と言う結果に結びつきにくい課題がある。

 

〇行政はあくまで行政としての役割、支援を行い民間の力を応援する

 市を上げて大きな取組を見せているように見える福岡市。とはいえ、当然のことながら何でもかんでも協力、お金を出しているわけではありません。市としても人材育成、雇用創出、PRといったあくまで産業政策としての協力、支援であり、お金などの協力はそれらの部分への支援として行っているという事です。なし崩し的になってしまいそうな中、当初の目的を曲げないというのも大切ですね。

 また、市としても多くを注文、求めるわけでもありません。毎月、GFF(GAME FACTORY FUKUOKA)※という市内のゲーム関連団体での会議に参加、民間が課題に思っている事、テーマを抽出し改善に向けて取り組んでいるそうです。行政からなにをしてください、またこれをやってくれというのではなく、民間がやりたい事を応援していく姿勢。言うは易く行うは難しではあるのですが、こうした姿勢を貫いている事にも成功の理由があるのではないでしょうか?

 

※会長は株式会社レベルファイブの日野氏、他に株式会社サイバーコネクトツー様、株式会社ガンバリオン様などが参加。大田区のアプリコで開催されている、東京ゲームタクトの運営に関わっている株式会社ノイジークロークさんも加盟しています。

 

〇ゲーム脳や教育の面への配慮と対策

当時からゲーム脳などの意見、議論はあったそうです。市教育委員会でのインターネットやメディアリテラシーなどの啓発を行うとともに、あくまで産業振興。雇用創出、人材確保のための事業として行っているという立脚点に立っているといるという事を明確にしているそうです。市内の子ども達の憧れの産業でもある事から理解を求めてるそうですが、当時の議事録を読んでも議会でも特にゲーム産業を支援する事への反発などはなかったそうです。

 福岡市の取組には、人材流出を防ぐ、また人材、産業の集積といった目的もありました。他方、東京には黙っていても人が来やすい、消費行動が行われやすい環境はありますが、コストや環境面など課題もあります。東京・大田区に居続ける、仕事をし続けるメリット、意義もしっかりと提示していく必要があるのだろうと、今回、改めて認識を強めました。

 大田区も似た環境、そうでない環境双方ありますが、上手く区政の発展に活かせるよう区議会での発信の参考にさせて頂ければと思います!

 

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