Oct 31, 2017

色を間違える事がありますか?学校から消えていた色覚検査

 皆様は学校で色を間違える事があるかどうか、聞かれたことを覚えていますか?2003年以降、色覚についての検査が学校で行われなくなっており、年代によっては一度も検査や調査を受けずに社会に出た方もおり、一部で懸念の声が上がっているのをご存知でしょうか?

 

 先日の大田区議会決算特別委員会で、私は色覚検査の大田区の現状について取り上げました。

色覚異常とは、健常者にとって判別可能な色の違いが小さく感じられ判別が難しくなること等を言い、特に男性に多く日本人では20名に一人いると言われています。

 

 学校保健法施行規則の一部が改正され、健康診断の必須項目から色覚検査が削除され、2003年からほとんどの小学校で色覚検査が実施されなくなりました。

理由としては「色覚異常についての知見の集積により、色覚検査で異常と判別される者であっても,大半は支障なく学校生活を送ることが可能であることが明らかになっていること、これまでにも色覚異常を有する児童への配慮を指導していることを考慮し、色覚の検査を必須項目から削除した」とされています。

 その10年後の2013年、日本眼科医会から「教職員の色覚検査への関心は薄れ、表示方法や学習・生徒・進路に対する指導上の十分な配慮、そして学校における色のバリアフリーは十分に行われていない現状がある」と報告がされました。

 

 パイロット等の航空関係、自衛官や動力車操縦関係やメディア等映像関係など一部の進学や職業選択の機会において、現在も色覚による制限などはあり、色覚検査が義務から外れた事によって、自身の特性を全く知らないまま、突然就職や進学の場でその事実を知る事によって、混乱を招き、苦しむケースが懸念されています。

 

 色覚検査そのものが差別的な偏見の温床となりかねないという事も確かにかつてありましたが、同時に色覚検査が行われなくなったことによるリスクについても考慮し、再検討する必要性が生まれてきた事から、国から「平成28年度から学校での色覚検査の取り組みを積極的に進めるように」と通知が出されました。

 

 都内で調査の結果、大田区以外の22区では、体制準備中の2区と取組を行っていない1区を除き、色覚検査について他19区は何らかの取組を学校で行っており、大田区も平成28年度から、ようやく色覚検査についての全校的な取組を始めた所です。

 

 一旦、検査や周知を止めてしまった事により、社会の中で色覚検査への理解・啓発について空白が生まれています。今後も取組の前進のために声を上げていきます。

 

 

 

〇参考記事

学校で13年ぶり色覚検査再開 異常知らず夢破れた悲劇、繰り返さぬよう…

2016.4.14 yomiuri online

 

(画像は政策マンガ第9弾、解説はこちら➡政策マンガ第9弾「学校での持病への啓発について」)

 

 

【質問】

教育分野について伺います。

様々な生きづらさ、課題を抱えた子供への支援、また周囲の理解する土壌を作る事も学校教育においての重大な要素であると考え、健康診断について伺います。

日本眼科医会によれば、日本人では男性の20 人に1 人、女性では500 人に1 人の割合で色覚異常の人がいるとの事です。

2002年3月に学校保健法施行規則の一部が改正され、健康診断の必須項目から色覚検査が削除され、2003年からほとんどの小学校で色覚検査が実施されなくなり、15年が経ちました。

公益社団法人日本眼科医会が2013年に出した「学校で色覚検査が行われなくなって10年-色覚検査をめぐる現状と課題」という報道資料では、「教職員の色覚検査への関心は薄れ、表示方法や学習・生徒・進路に対する指導上の十分な配慮、そして学校における色のバリアフリーは十分に行われていない現状がある」と報告がされています。

一部の学校や職業選択の機会において、現在も色覚による制限などはあり、色覚検査が義務から外れた事によって、自身の特性を全く知らないまま、突然、就職や進学の場でその事実を知る事によって、混乱を招き、苦しむケースが懸念されています。

色覚検査そのものが差別的な偏見の温床となりかねないという憂慮があったことはもちろん考慮すべきではありますが、同時に色覚検査が行われなくなったことによるリスクについても考慮し、再検討する必要性が生まれました。

実際に平成26年に学校保健安全法の施行規制が一部改正され、文部科学省より「平成28年度から学校での色覚検査の取り組みを積極的に進めるよう」通知が出されました。

議会事務局を通じて、都内22区に調査を依頼したところ、体制準備中の2区と取組を行っていない1区を除き、色覚検査について他19区は何らかの取組を学校で行っています。

大田区はどのような取組を行っていますか?お答えください。

 

【答弁 概要】

大田区教育委員会としても将来の進路選択や職業選択において不利益を被らない為に、色覚検査の重要性についての周知を図り、実施していく事が重要であると考えております。

区立小中学校においては平成28年度から小学校第4学年以上を対象に申込制による色覚検査を実施しております。

特に大田区眼科医会が実施に最適であると推奨する小学校4年生につきましては、全児童に申込み書を配布し、配布の際には色覚異常の特性や制限を受ける職業を解説したリーフレットを合わせて配布することで周知の徹底を図っております。

それ以外の学年については保健調査で「色を間違える事がありますか?」との設問に「ある」と回答した児童生徒を中心として当該児童生徒自身や、その保護者の心情に配慮しながら申込み書を配布しております。

今後も対象者の心情やプライバシーの保護に十分配慮しながら必要な児童生徒が確実に検査を受けられるよう努力してまいります。

 

 

★関連ブログ

政策マンガ第9弾「学校での持病への啓発について」

学校現場での持病への理解・啓発について質問しました。

 

 

★大田区議会議員 おぎの稔 公式HP

https://ogino.link/

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