Jul 17, 2017

自死遺族の一人として区長に大田区の対策前進を訴えました。

こんばんは、おぎの稔です。

代表質問で触れたテーマについて順次、ブログでご報告させて頂いておりますが、今回は自殺対策、生きる事の総合的な支援についての質問についてのご報告です。

私自身、2度家族を自殺で失った自死遺族である事からも、何度も議会で取り上げてきました。

 

 

●自殺対策のこれまでと自治体のこれから

 

2006年に自殺対策基本法が成立し、様々な議論や取組が行われ課題も明らかになりました。

この間、一時3万人を超えていた全国の年間自殺者が2万人台へと下がりました。

 

年間ベースで自殺者が減った事は喜ばしい事であり、対策が効果を発揮した事もあるでしょう。

しかし、自殺者は生き返るわけではないので、あくまで年間のベースが落ちたという事で、本質的な解決には至っていません。

 

また、一橋大学の金子能宏教授の調査によると自殺による経済は、損失が全国で4594億円(2015年単年)とも言われています。

沢山の人の命が失われる事には、経済の面で見てみそれだけの大きさがあります。

 

さて、自殺対策基本法の成立10年目の節目となる昨年、自殺対策基本法が改正されました。

 

改正法では自殺対策について

「自殺対策は生きる事の包括的な支援であり。全ての人がかけがえのない個人として尊重されると共に、生きる力を基礎として生きがいや希望をもって暮らすことができるよう、その妨げとなる諸要因の解消に資するための支援とそれを支えかつ促進するための環境の整備充実が幅広く適切に図られることを旨として、実施されなければならない」

と新たに定義され、対策の更なる前進のための施策やネットワーク作りの他、今まで明文化されてこなかった自死遺族支援、自殺未遂者支援、学校でのSOSの出し方(自殺予防教育)などが加えられました。

 

自治体ごとの計画策定も義務付けられました。次にこの点について触れていきます。

 

●自殺対策は地域づくり

自治体毎の自殺対策計画の策定も義務付けられた事から、大田区でも大田区版の自殺対策計画を作る必要性があります。

その計画策定にあたっては、地域づくりも同時に考えていかなければなりません。

 

なぜ、地域か。

社会が多様化する中で、地域の現場で起きる課題、個人個人が抱える生きづらさや困難、問題は複雑・多様化しています。

既存の枠組みだけでは対応しきれない課題も多くあり、そうした問題の終着点の一つが「自殺」であるとも言えます。

 

逆に言えば、自殺に対応できる地域づくりが出来たという事は、複雑・多様化した様々な地域の、個々人の生きづらさ、抱える問題への体制作りが出来たと追う事にもなります。

自殺という一つの結末の話だけではなく、自殺対策の為の計画策定・体制作りを進める事は、社会の様々な課題を拾い上げ、対策を行うための絶好の機会であり、誰もが生きやすい社会の構築にも繋がっていきます。

 

区議会で、健康福祉委員会の所属となったからには、自身の政策の柱の一つとして自死遺族支援や生きる事の総合的な支援としての自殺対策について取り組んでいきます。

 

 

 

●自死遺族支援について

 

自殺対策は自殺防止と自死遺族支援が二本柱です。

 

1人が自殺でなくなると、4~5人が遺族になると言われ、毎年10万人近い方が、自死遺族となっています。

全国に約300万人、国民の40人に1人が自死遺族であると言われています。

 

大田区でも、毎年平均100名近い方が命を絶っているので、毎年400~500人の方が自死遺族となっていると見る事が出来ます。

 

 

自死遺族の方かどうかまではわかりませんが、大田区では平成21年から26年の自殺者の合計865名の内、家族の死亡を理由に命を絶った方が17名います。

約2%の方が、家族の死を引き金に命を絶ち、また、死亡動機としては別の計算にはなっていますが、そうした理由を基に健康を損ねたり、生活が立ちいかなくなった事から命を絶ってしまう方も多くいるであろうことが容易に想像できます。

 

自殺の多くは追い込まれた末の死と言われており、背景には様々な要因が複雑に絡んでいる為、遺族の苦しみと言った事も含め一つ一つ、その原因を取り除いていく必要があります。

遺族支援事業 東京都福祉保険局より

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/iryo/tokyokaigi/torikumi/izokushien.html

 

●自殺対策は政治の責任

現代社会において自殺はもはや「国民的リスク」です。

 

NPO法人ライフリンクの調査によれば、自殺をする前に7割の方、期間でいう都命を絶つ1か月前に44%の方が専門機関に相談していたとの結果が明らかになりました。

政治の力によって救える命はまだまだたくさんあります。

 

 

一人一人の生活や幸福を守っていくのが政治や行政の責務ではないでしょうか。

人の命や幸せを切り捨てるような冷たい社会になる事を止める。政治にはその力と責任があります。

一人一人が生きていく為の支援を、生きる事を諦めないで済むための支援を行っていく、その為に出来る事をしていきたいと思います。

 

・代表質問全文はこちら

大田区議会第二回定例会 代表質問文面

 

・マンガの続き・解説はこちら

おぎの稔政策マンガ第8弾 自死遺族支援編

 

【関連ブログ】

遺族として自殺対策強化を大田区に訴えました。

再び家族を失って~平成29年予算特別委員会質疑【自殺・地域猫】

3月は自殺対策強化月間。大田区の自殺総合対策情報公開前進!

生活保護受給者への自殺対策、支援強化について

孤独な男性はなぜ死を選ぶのか?大田区の男性の自殺リスクについて

若者の自殺の現状と自死遺族支援の為の体制整備について

【記事紹介】自死遺族の1人として自殺対策に取り組む、荻野稔 大田区議からの寄稿

自殺対策体制強化のための体制整備と情報公開を!

大田区の経営者の自殺の実態。対策と支援について

更に自治体の取組が重要に!自殺対策基本法改正に向けて

家族の自殺も経験… ”オタク”区議が目指す社会

・大田区議会議員 

おぎの稔公式サイト

http://ogino.link/

 

 


★生きる力の総合的な支援について

 【質疑 荻野稔】

 最後に、生きる力の総合的な支援について伺います。

 私自身2度、家族を自殺で失った経験のある「自死遺族」であることから、大田区議会で自殺対策について取り上げてまいりました。私がこうして何度も自身の事を語るのは、皆様に「生きること」について一緒に考えて頂き、自殺対策の前進を望む思いがあるからです。

 

 昨年4月、自殺対策基本法の施行から10年が経った節目の年に改正自殺対策基本法が施行され、自治体毎の自殺対策計画の策定、自殺未遂者支援、学校での自殺予防教育、自死遺族支援といった今までにない要素が盛り込まれました。

 今回の改正が、自殺対策に取り組む方や自死遺族の方々にとって非常に待ち望まれたものであることは想像に難くありません。

 現在、都道府県では、自殺対策基本計画に基づく施策の推進とともに、区市町村自殺対策計画の策定を支援することを目的に、官民協働による自殺対策推進のために「自殺対策トップセミナー」を開催しています。

 厚生労働省のウェブサイトには、東京都も平成29年度に開催を予定しているとあります。

松原区長にも是非、ご参加頂き、区政における自殺対策推進のリーダーシップを発揮して頂きたいと考えます。

 

 さて、計画策定には区内の実情、特徴などを把握する必要があります。例えば大田区における自殺者の数は減少傾向にありますが、若者の自殺は減っていません。

 

大田区のH28年の自殺者は男女計117名。年々、減少傾向ではありますがそれでも毎年100名を超えています。

 自殺者は決して生き返ることはありません。数字の上では年間の自殺者が減少していることは望ましい事です。しかしながら、それでも毎年、自殺者は増え続け、同時に自死遺族も増えていきます。数字の一つ一つには、亡くなった方の人生が、遺族の苦悩があります。

 

 自殺は追い込まれた末の死であり、本来防げたはずの死です。政治・行政・社会の不作為によって生じた犠牲とも呼べます。

残念ながら、救えるはずだった命を救う施策が追いついていない現実があるのです。

救えたはずの命が、救えるはずの命が大田区にもまだたくさんあります。一日も早い、対策の前進を望みます。

 

 大田区は自殺対策基本計画を今後、いつまでに、どのように策定してくのでしょうか?自殺者は複数の問題を抱え、社会から孤立している事も多いのが現状です。

 

 自殺対策推進のための環境整備、自殺者を出さない為の地域作りは、様々な困難の解決、苦しみの緩和、心身の健康保持という点で、自殺以外も踏まえた、生きる事の総合的な支援であると言えます。

 

 人間らしいと思える普通の生活や幸福感。かつて「当たり前」だった日々が、だんだんと享受できなくなっていく、社会が不確かなものになっていくように感じ、危機感を頂いています。

 

 一人一人の生活や幸福を守っていくのが政治や行政の責務ではないでしょうか? 人の命や幸せを切り捨てるような冷たい社会になる事を止める。政治にはその力と責任があると考えます。

 一人一人が生きていく為の支援を、生きる事を諦めないで済むための支援を行っていく必要があります。自殺対策としての「生きる事の総合的な支援」について大田区の見解をお示しください。

 

【答弁】松原区長

 

次に、区の自殺対策計画についてでございますが、平成31年度からの次期おおた健康プランとあわせた策定に向けて現在準備を進めているところです。

策定に当たりましては、新たな自殺総合対策大綱等を踏まえながら、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、自殺総合対策協議会を活用して効果的な対策を検討して
まいります。

 

自殺対策としての生きることの総合的な支援についてですが、自殺の多くは追い込まれた末の死と言われており、背景には様々な要因が複雑に絡んでいます。このため、自殺を防ぐには社会的な視点も含めた生きることの包括的な支援を行うことが重要です。

誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現に向け、保健、福祉、教育などの関係機関を有機的に連携させた総合的な自殺対策を進めてまいります。私からは以上でございます。

 

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